戦ってないけど戦いの終わり
目の前にそびえたつは亀タワー…
8頭の亀が円状に配置されていているのが1段目、この8頭が内側に海ひれを出した状態でそこにまず朱果の分離帯がのり、インフェルノドラゴンの卵が分離体の上に設置される事によって微動だにする事のない完璧な移動手段となった。
そしてその下に2段目となる少し大きな個体が4頭、四辺をささえているこいつらが空を飛んだり、進んだりの役目を果たすらしい……
「…うん。ありがたいけど…これが空飛んでたら目立つでしゅ」
絶対通報案件…きっとまた町で警報が鳴り響いて…この世の終わりのような騒ぎになるにきまってる
『大丈夫だ、卵に火属性のエネルギーを蓄えさせるのに火山を経由して帰る』
まじかよ~とか、ふざけんな~とか亀タワーから聞こえてくるんだけど…マーチンJrは全く無視…
うん…水属性の亀達にとって火属性の場所に近づくのはなかなかの試練なのかもしれない
「それは…亀達に影響ないの?」
『ふんっ、その程度でくたばる奴ならこの場にいない』
…望んでいた答えではないけど、気にするのはやめよう
『では、先に家に帰る。何かあれば連絡入れろ』
ほんとにマーチンJrは仕事が出来ると感心する。亀なのが残念だわ…
気を失ったまま放置されてたレン君はどうするのかと思ったら、レン君はマーチンJrが海ひれ部分で巻き込んで連れてくらしい…
「え?レン君も火山連れてくの?」
『火属性のエネルギーは麓の温泉でも十分蓄えられるだろうから安心しろ』
うん、後ろの亀達が温泉だ!ヒャッフー!!とか言ってるんだけど…亀わかりやすすぎる…
え?もう浮上してるんだけど??浮上したと思ったらすごいスピードで飛んでった…
いや…大丈夫なのか??
『…落ち着きのない奴らだ…では行く』
「うん、気を付けてね。また家で!」
『うむ』
そういうとマーチンJrもレン君を掴んで、浮上して先に飛んでった亀タワーを追いかけてった。
集まっていた亀達はタワーの選抜後すぐに解散、帰宅だったので…この場に残されているのはボクだけになった。
「…終わった」
ーソウデスネ。帰宅シマスカ?ー
そうだなぁ…帰宅するのはそうなんだけど…
…なんか、もっとこう…壮大な戦いになるとか想像してたから…いや、何も被害がなかったのはいい事なんだけどね?なんだけど…
「…気持ちが消化不良でしゅ」
ーデシタラ、丁度夜二差シカカッテマスシ、コノ先二アンデットガ発生シテイル村ガアルノデ、ソコデチュートリアルシマスカ?ー
「…え?リフィさん?」
今大きな問題を解決したところで…ちょっとだけ期待外れだったなぁ~って愚痴っただけで…別にそんな冒険は求めてないんですけどっ!!
ー早メ二対処スルニ越シタ事ハ無イデスー
いや、そもそもそんな情報いつ仕入れたのさ!
ーギルドデ貼リ紙ガアリマシター
いつの間に貼り紙なんてみたのさ…
ーイツイカナル時デモ情報収集ハ基本デスヨー
ごもっともな意見を返された…
ー浄化魔法ハ実戦ガ大事ナノデ、ナナ様ノ浄化ノ訓練二ピッタリデスー
いや…ボク、ホラー系苦手なんだけど?アンデットってあの…不気味な人型ですよね?
骨までいってくれてたらまだ耐えれる…中途半端なのがきた時にはもう発狂する…
ゾンビとかの見た目はほんとに無理です。
ードウイッタ形態ノアンデットカハ…行ッテミナイトワカリマセンネー
ですよね~それって行かなくてもよくない?
ー帰路ノ途中デスシ、ソノ村デ一泊サセテ頂キマショウー
いや…きっと町では今回の件がどうなったか気になってるはずで、早く帰って事の経緯を説明する必要が…
ー予定ヨリカナリ早ク解決シタノデ、ソンナ焦ッテ戻ラナクテモ大丈夫デショウー
「いやだっ!!!」
ーサァ、スケーターニ乗リマショウ!ー
チュートリアルが進む時、リフィの声が3段ぐらいトーンアップするんだね…
あぁ…行きたくない。




