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卵へ・・・

長いです...戦闘...ありません...

インフェルノドラゴンは七色の光に包まれた・・・



聖女に呪をかけられたが、意識はずっと体の奥深く失われる事なくただの傍観者となり、ひたすら殺戮龍となった自分を見つめていた。


誰か止めてくれと願った・・・古龍の自分を止められる存在が都合よく現れるわけもないのに・・・


こんな状況にしてしまった自分の弱さ・・・この世界の調整者としてただ存在してればいいという自分自身に苛立ち、そんな世界をどこかで恨み・・・しかし何もしなかった自分に帰ってきた罰だと思った


裏切る事ばかりの人間への復讐・・・そんな事は望んでいないんだ

理不尽を強いるこの世界への叛逆・・・違う、生き方を選択する事を放棄してしまったのは自分なんだ


人間と共にあり、幸せだった時間も確かにあったんだ・・・彼らの子孫は未だ古龍である私を敬ってくれているんだ・・・全ての人間が悪では無いんだ・・・


お願いだ・・・やめてくれ・・・

自分が全ての力を解放すれば大陸など消し飛んでしまう・・・


【火を・・・龍よ・・・聞・・・ますか?】


深層の自分に語りかけてくる声が聞こえた。

忘れていた自分が生まれた時に聞いた声・・・そうだ、僕はこの声の主によってこの世界に生まれた


【愛しき我が子・・・いたら返事を・・・お・・れ】

『主よ・・・至らぬ私を罰しに来られたか・・・』

【良かった!個が破壊されたわけではなかったのだな!】


こちらが返答した事で何かが通じたのか、より鮮明に相手の声が聞こえる


『主よ・・・しかしすでに身体は呪を受け、我ではどうすることも叶わず・・・どうか情けを授けてくだされ・・・この身体が世界の調和を乱す前に、我が肉体に滅びを・・・』

【火の子よ・・・どうか諦めないでくれ・・・】

『・・・主?』

【我では火の子を消滅させる事は出来ても、呪に干渉する事は出来ぬ・・・】

『ならば!!!!』

【だが!!!今火の子の呪を解こうと動く人間がいる・・・】

『・・・この呪は聖女からのもの・・・この世界の人間にはどうする事も叶いませぬ・・・』

【動いているのは聖女と同じ異世界の魂を持つ者・・・解呪手段さえ得れば火の子の呪にも干渉できる】


・・・絶望という暗闇の中、真っ直ぐ伸びる一筋の光


【だが解呪取得には今少し時間がかかる・・・その間、火の子の身体を抑えておく手段が必要なのだが・・・上手くいく手段が少しトラブルでな・・・】

『・・・?』


すでに何かの段取りをして頂けてるらしい・・・


【ちょっと・・・火の子には死んでほしい】


・・・そうか、用意していた手段ができなくなったのか・・・一筋の光だと思ったがどうやら我がそれを掴む事は無さそうだ


【あ!いやいや・・・輪廻に戻るんじゃなくてさ!ちょっと卵までいったん戻ってもらおうかな?ってさ!そしたら動けないし、解呪者に見つけるように伝えとくから!!】


・・・どんどん話し方が砕け・・・いや、気にするまい。

卵まで戻る・・・そして新たな龍生を歩けるのであれば・・・もう二度と後悔するような生き方はすまい・・・


【卵に戻っても呪はそのまま残っちゃうからさ〜ちゃんと見つけてくれたら解呪するように伝えておくから!一旦リセットしよう!!】


リセット・・・ちょっと我の龍生、軽すぎやしないだろうか?


【じゃあ!今からとんでもないビームが飛んでくるから!それ避けずに浴びてね!】

『ビームとは・・・』


何ですか?という問いを投げる前にトンデモな熱量を持った何かが自分に向かって放たれたのがわかる


『これは・・・死んだな』


だが多分これが避けるなと言われた「ビーム」という物だろう。もしかしたら輪廻の輪にも戻れない自分への主からの最後の嘘だったのかもしれない・・・


まぁ最後に主と会話出来た我が龍生・・・捨てたもんじゃ無かったさ


さよなら・・・世界・・・








【だから!!!死なないっつぅの!!!】




七色の光が通りすぎた後残されたのは、黒い蔦が巻きつく赤い卵だった。

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