亀やらかし隊!!
レンが杖を砂地に突き刺したと同時に地面が揺れた
『なっ何でしゅか!?』
『グルゥゥゥ』
インフェルノドラゴンの到着まではまだ時間の余裕があったはずで、こんなに早く着くなどありえない。ならば他が原因の何かが起こったと考えざるおえない状況にレンは頭を抱えたくなる
何かこちらより多い情報を持っているかもしれないのでマーチンjrに慌てて通信を繋げる
『jr!!』
『どうした?無事杖はブッ刺したぞ』
『あ、それはありがとうでしゅ・・・じゃなくて!!』
『・・・?』
慌てふためくこちらと明らかに温度差がある返事に段々とレンも落ち着きを取り戻していく
『今・・・結構な揺れを感じたんでしゅけど、何が起こってるんでしゅか』
『あー・・・あれか・・・』
マーチンjrのはっきりしない返事に嫌な予感を覚えつつも、慌てる事では無いのだろうとレンはゆっくりとマーチンjrの返答を待つ
『あのだな・・・我らグラートニアタートルはだな・・・少々気が短いというか・・・不快感の苛つきを抑える事が難しいというかだな・・・』
『・・・つまり残してきた亀が何かしたんでしゅか?』
『この湖は火の力が若干強いのでな・・・少々・・・水の精霊を召喚してだな・・・』
『はい?』
・・・しょ、召喚?水の精霊を?
『まぁ我らの中ではよくある事だ。5000年前にもな、今我らが住む地底湖があるだろう?あそこには元々火蛇が住み着いておってな・・・共存は無理そうだったので周りを全て水の力に変えて追い出してやったわ』
よく見れば元いた浜辺で立ち昇る水の気配が尋常じゃないほど濃く、そこから次々と球体のような何かが湖に投げ込まれている・・・
『とりあえず・・・今はやめさせてくだしゃい!!!』
「りょ、了解した!!!』
それでなくても何が起こるかわからない非常事態に自らの計画を歪ませる何かが身内から起こるなんて・・・頭痛しかない
「敵を騙すにはまず味方から」とリクト様に聞いた事があったが、この場合「敵を倒す(・・)にはまず味方から」なのではなかろうか・・・と真剣に悩むレンなのであった・・・
そしてレンはまだ気づいていない・・・
先程まで静かだった湖面が緩やかにだが確実に大きくなりながら波を立て始めている事を・・・




