亀可愛い
いやぁ・・・早かった。ちょっ早だったな・・・レン君達と別れてなんか間の記憶があんまりなくて今もう街の城壁のところ。さすがに行きのように上空から突入するわけにも行かないので、少しビビりながら検問所に向かう。
「止まれっ!!」
あ、よかった・・・行きと同じお兄さん。
「君は・・・リクト様の?」
「あ、はぃそうでしゅ」
「こんな時に街の外に出るなんて・・・危ないだろう」
いや・・・ほんとこの街見た目イカつい人ほど良い人すぎないか?
「しゅみません。従魔が外にいたんでしゅ・・・」
決してマーチンjrとは言わない。
「従魔?」
僕の言葉にフードから朱果がひょこっと姿を表す
「!?スライム!?」
「正確には精霊なんでしゅ。でもこの姿が好きらしくて・・・」
「せっ精霊!?君は精霊も従魔にしているのか!?」
「形だけでしゅけど・・・実際は友達でしゅ」
「そ、そうか・・・では、従魔登録をさせてもらおう」
「お願いしましゅ」
これは冒険者ギルドでカレニアさんに朱果がお世話になるという話をした時に、ならば街の中で面倒な事にならないように検問所で従魔登録してきなさいというお達しがあったのだ。
「では君とそのスライ…精霊の体液をこの棒の先に染み込ませてくれ」
綿棒のような物を渡されたので、僕は口の中を何往復かさせ唾液を染み込ませる。朱果は体の表面を撫でるだけでよさそうだ。
「よし・・・あとそこのミドリガメもだぞ」
「・・・?」
はて?亀とは?
慌てて朱果をフードからにゅっと持ち上げ目の前に持ってくる
そして僕の視線の先には確かにミドリガメのような子亀が朱果に貼りついていた・・・これは・・・考えるまでもなく奴らの子供に違いなく・・・ということは今は子供だけど立派なグラートニアタートルで・・・
「・・・ははっ・・君口開けて」
子亀は契約もしていないのに僕の言う言葉を理解しているのか口を大きく開けてくれる。
「・・・はい、取るよ〜大人しくしといてね〜」
まるで病院の看護師のような口調で淡々と綿棒を亀の口の中に突っ込む
そして頭の中に響く声。
ー∪∈∮∂∀タートルトノ契約ガ完了シマシター
だから何でっっっ!?




