アイデンティティの問題なんです
結果的に無事通れた。バーグは門番からかなり怒られていたが、僕の保証はなんというか・・・レン君の存在と父さんの恩恵で何とかなったらしい。
「いやぁーまいったな」
「最初から変に取り繕わずに状況を説明すれば良かったのよ」
「そうだな、ガハハッ」
結構な怒られ方してたのに笑ってられるおっさんすげー
「ナナもレンも変な手間取らせて悪かったな」
「いえ・・・こちらこそ色々ありがとうございましゅ」
『僕も平気でしゅ』
フードからボソボソと声が聞こえてきたのでそのまま伝えておく
「どうする?そのまま俺の店向かうか?」
「?」
「いや、俺の店こっからも結構距離あっからな、ギルドとか行く用事があれば先に済ませたほうが効率がいいんだわ」
なるほど・・・他に用事、日用品買うぐらいなんだけど・・・
「あ!僕、ギルドで登録出来るんでしゅか?」
自分だけの身分証明持ってたら何かと便利な気がする。
いちいち父の威光を振りかざすのは嫌だ。
「・・・ナナ、いくつだ?」
「5才でしゅ!!」
「・・・無理だな。ギルドの登録は10才からだ」
がーん。
いや・・・ギルドなんて普通危険が伴うところなんだから10才でもだいぶ早いと思う・・・思うんだが・・・
「メリンダ・・・商工ギルドは何才からだった?」
「明確な年齢記載はなかっと思うけど・・・5才で登録なんて聞いた事ないわ・・・」
がーん。
しかし人並み外れて目立ちたく無いので、身分証明は諦める方向になり・・・つまりしばらく僕は正体不明者なわけで・・・つらい。
「ま、レンっていう後見人がいればなんとかなっからよ!」
「・・・」
『問題ないでしゅ』
うぅ、違うんだ。問題とかそういう話じゃなくて・・・こう身分証明書を手に入れるっていうのは前世の車の免許と同じ事でこぅ自分のアイデンティティが守られるというか・・・
とにかく中身35才としましては、今自分は誰かの保護下にいなければ何も出来ないと真っ向から突きつけられてるこの状況がしんどいのであります。




