目立つって怖い
「はい、これお詫びの品です。受け取って」
お姉さんから差し出されたのは可愛い感じのマントだった。
「えっと・・・そんな気にしないでくだしゃい。ジュース貰いましたし・・・」
なんなら現在進行形で今買いに行ってくれてるし・・・
「あーっと、あのね、これは受け取った方がいいと思うの」
「・・・?」
「キミさ、いい意味でも悪い意味でもすごく目立つんだよ・・・」
「目立つ?」
「まずその不思議魔導具に乗ってる事、小さな子が一人でいる事、顔が可愛い事・・・最後のは私のせいだけど・・・【魔道士リクト・アシカガ】の子供な事。どれをとっても誘拐されやすい傾向なの・・・わかる?」
言われてみれば・・・顔云々はわからないけど・・・他はよくわかる。
魔物がいるような危険な世界なんだから、人の死は元の世界より軽い事柄なはずだ・・・なら誘拐なんかの事件が日常茶飯事だとしてもおかしくない。
「・・・言われてわかりました」
「いや、その年齢で理解出来るだけすごいわ。さすがリクト様の子供ね。でね!そんなあなたに私が作ったこのマントは必須アイテムなわけ!」
「それ・・・お姉さんが作ったんでしゅか?」
「そそっ!このお店はお父さんがしてて、私は別の場所で洋服やアクセサリーに魔法の付与をしてるの。ここの2階にも私が作った冒険者向きなアクセサリーなんかは置いてるんだけどね」
「へぇ、繁盛してるんでしゅね・・・」
「ありがたい事にこの街では需要が結構あるからね。母が中心街で店やってるって聞いた?そこは日用品とか生活系の魔導具を扱ってるのよ」
得意な分野それぞれで店を経営して上手くいってるっていうのは・・・物作りだけじゃなくて商売の才能にも恵まれた家なんだろうな。
「で、今店に取りに行ったこのマントなんだけど、これね認識阻害の魔法が組み込まれたマントなのよ。キミが今着てるマントは防御力は高そうだけど・・・そういう視覚系の機能はついてないよね?」
「ついてないでしゅ」
住んでる所があれですし・・・悪い事してないのに人の視線から逃れなきゃいけないなんて考えてもみなかったもんで・・・
「これね、普通は女の子とかに売るアイテムだからちょっと可愛い感じなんだけど・・・キミならいける」
「・・・」
それは・・・褒められてるんだろうか?
お姉さんが言わんとしてる事はわかる・・・ただお姉さんの手にある青いマント・・・色だけなら別に問題ない。
そう、フード部分の大きな赤いリボンを除けば何も問題はないのだ・・・
ついったーやってます
@poko_taneda




