亀じゃない
『亀じゃない』
「・・・いや、どうみても亀」
あれから水面までこの亀が引き上げてくれて、そのまま陸地に連れて行ってくれた。
で「亀さん!ありがとう!!ほんとに助かったでしゅ!」と伝えたところの返事がこれである。
『亀じゃない』
怒るわけでもなく淡々と同じ言葉を返されるのでもしかしたらワイバーンのように自分の言葉が通じないのかと思ったんだけど
「助かったでしゅ。君がいなかったらそのまま湖底までおちてました」
『気をつけるんだ、この地底湖は深い。人の子など湖底まで落ちたら簡単に死んでしまうぞ』
あ、通じてるんだ。
「ほんとに亀さんがいてくれたから・・・」
『亀じゃない』
すごい全否定なんだけど…どうみても姿は亀なんだよ。
僕の知ってる亀と違うところがあるとすれば、あしが8本あって4本は陸亀仕様で、残りの4本は海亀の足のようにヒレの形をしている。今は陸地なので陸亀仕様でヒレの部分は甲羅に沿って収納されてるようだ
背中の甲羅部分は陸亀のような体高のあるタイプじゃなくて、海亀のように平べったい形をしてる。
「なるほどそれで乗りやすかったんでしゅね」
安定感ばっちりの甲羅だった。
とにかく亀呼びすると話が進まなさそうなので…
「グラートニアタートルさん…でいいですか?」
『亀じゃない』
「いや、亀って呼んでないじゃん!」
『タートルは立派な亀だろう!」
・・・あ。
とにかく亀が全拒否なのはわかった。
これはあれかな?
…亀な見た目と内面が一致してない個体なのかも?
ちょっと自分をどう自覚されてるかはわかんないけど…、僕を助けてくれた優しい個体なので出来ればこの個体とお友達になりたいところである。
「か・・・じゃなくて、えっと何とお呼びすればいいでしゅか?」
『マーチンjrだ』
「マーチンjr・・・」
この世界の生き物って立派な名前を持つ個体が多いなぁと感じた亀との出会いであった。
ついったーやってます
@poko_taneda




