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6・炎の色



 「ふんふふ~ん」




 あー!!自由最高!!森最高!!

鼻歌を鳴らして、景色を楽しみながらゆっくりと、でも確実に森の中を進んでいた



森探検を始めて思ったのは


 わかんないもの多すぎぃぃぃぃ!!!



1人時間に森探検を始めて今日で三日目。

興味が尽きない!!!

どこを見回しても、見たことがないものばかりで誰でもいいから色々教えてほしい!!!




 小さい子がよく『これ何ー?』『なんでー?』とたくさん聞いて、大人を困らせるのはよくある話だけど

まさに今!私がそれをしたい!!!



・・・


 あの真っ赤な木の実は食べられるの?

 大きくて虹色のようなこの花は何て名前なんだろう?

 わ!オレンジみたいなフルーツ発見!えっ?!中黒いんだけど!

 よく見かける緑色のリスみたいな生き物なんて言うんだろう?

 ピンクのうさぎだ!かわいぃ・・・ん?角が・・・3本?


・・・



もう見るもの触るものが私の常識と違っていて

楽しくてたまらない!!




 なんかあっちは()()()()がするな・・・



進もうとしていた方より、もっと右の方へ行ってみよっと




なんだかわからないけど、この()()()()を信じて進んでる



一度、紫色の水風船のような実を触ろうとしたら()()()()がして、手で触るのをやめた

でも気になったので遠くから石ころを投げて当ててみると、水風船のような実は、パンっと弾け、液体が飛び散り辺りを濡らすと



ジュジュジュワー



と液体がかかった地面や草木が煙を上げて溶け出した




触ってたら・・・・今頃・・・





この、うっかりドロドロだったかも事件が発生してからは

謎の第五感?的な()()()()を感じたら避けて進んでるのだ



そのおかげなのか、この三日間。一度も大きな生き物に襲われてない




鞄に入れてる時計をチラッと見る

 ぐはーっ もう10時過ぎてる!時間があっという間すぎてびっくりしちゃう

そろそろ一回座って休憩しよっかな~

楽しい時間はあっというま・・・あれ?この音って・・・




少し離れたところから聞こえる音へ向かって足を進める




 「川だ!!」



うっそうとした森が開けるときれいな川が視界に広がる

迷わず水辺へ駆け寄る

鞄を下ろし、水へ手を入れてみる



 んん~~~ひんやりぃぃ~~


すぐに靴、靴下を脱ぎ、両足を川へ入れてく




 「きもちいい~」




別にアウトドア派じゃなかったけど、一つの部屋にずっといる反発なのか?外に出れるすばらしさを実感しちゃう


ふと。嫌じゃない、不思議な感覚がした



 呼ばれた? 



ぱっと横を見て、一輪の花が目に留まった

タンポポのような形の緑色の花、茎や葉っぱは濃いピンクで何ともちぐはぐに見える


 ふつう色逆じゃない?



クスっと笑いながら摘み取り、じっと見つめる




 ガササササッ!



斜め後ろの方から音がしてハッと振り返るとすごい勢いで真っ赤な燃えるような髪色をした男の子が飛び出してきた





 「んなっ!!」「わっ!!」



 バシャンッ


そのままの勢いで男の子はぶつかると2人で川の中へ落ちる

流れも深さも大したことなくて、すぐに立ち上がる




 「ちょっと!あぶな「バッカ!!立つんじゃねえ!頭以外水の中に沈めろ!!!」



ぐいっと腕を掴まれ水の中へ引き込まれる

 

 「ぅぷっ」




ぴっぱる力が強くて顔まで浸かってムッとしつつ男の子が見つめる先を私も見つめてみる

すると縦横2、3メートルはある大きなどす紫のドロッとした塊が男の子が飛び出してきた草むらからぬーんと表れた



 「わっ!なにあれ?!」


小さめの声で男の子へ聞いてみる

男の子は目を丸くして


 「あれが、どっか行ってから」



くちに人差し指をあて、とにかく静かにしてほしそうに早口で言い放つ

ドロッとした塊は川に近づいたが、水には入ろうとしない



私は川辺に置いた荷物と靴を見つめながら

 どうかあのドロッとした奴がつきませんように‥・と祈り続けた




_____






 「はあ、もういいか」




ブンブンっっと勢いよく頭を振り、水を飛ばしながら男の子は立ち上がった

それを見て私も立ち上がる


2~30分くらい?じーっと水の中にいたのですっかり体が冷えてしまった



 「こんな森の中で、ガキが何してんだよ」




ずっと森の奥を見つめてた燃えるような真っ赤な瞳が鋭く私を睨む



 「そんなの、君だって・・・」




男の子は私よりは背が高いけど、顔も幼く、おそらく私と同じ7歳前後に見える

互いに上から下まで睨み合う



ぼっさぼさの真っ赤な髪・・・あっ!!




 「ケモミミ!!!!!」




 「?!??」





ケモミミーーー!!!ギャー!もうそれだけで存在がかわいい!!!

人間以外もいるのね!この世界!!



 「け、けもみみ?ってなんだ?お前変な奴だな」




いきなり睨み合ってた瞳がキラキラとした目にかわったもんだから、警戒が薄れ、戸惑いにかわる



 何の動物だろう?犬?狼かな?!猫っぽくはないんだよね!

毛量の多い髪から少しだけ見えてる耳が立ってたのと雰囲気で犬系だと推測する



 あー!触りたい!尻尾は??しっぽあるのかな?!




 「あ!そういえば、言いそびれてた!さっきはありがとう!」




 川に引き込まれたときはちょっとムッとしちゃったけど、結果的に助けてもらったし大人としてお礼はきちんと言わないとね!

私はケモミミを見つけた瞬間にすっかりご機嫌になっていた




 「へ?いや・・・俺も悪かった・・・その、前見てなくてぶつかっちまって」




オドオドと、少し恥ずかしそうに謝るケモミミ少年

 ぐっはー!眼福!!!犬歯もしっかり!たまらなーい!!!


 あっそういや今は少年に変装してるんだった!言葉に気を付けなきゃ



 「僕も助かったし!気にしないで」


 「僕??いい匂いすっし、いいとこの・・・?ますますこんな森で一人で何やってんだ?」





あ。この世界の普通の男の子は僕って使わない?俺って言った方がいいのかも?

匂い・・・はしょうがないし、なんて返したら友達になれるだろう?

もう是が火にでもお友達になりたい!!



 「つーか!お前マッドスライムも知らねーで森の奥にはいるなんて馬鹿すぎんだろ」




バサッと上に着ていたボロボロのシャツを脱ぎ、川から出ながら吐き捨てるように言う

あのドロドロはマッドスライムっていうんだ!

この三日間あーゆーのに出会ってなかったけどやっぱり魔物的な生き物はこの世界にいるみたい



ケモミミ少年の後ろ姿には首元から右肩、腰のあたりまでワインレッドのような濃い赤色の大きな痣

そしてたくさんの傷跡があった



 「す、すごいね!魔痕?」


 これが魔痕・・・

一度魔痕を見てみたいとレゼルちゃんに言ったとき、

『魔痕はその人の力量がある程度わかってしまうので普通は隠すものなんですよ、まぁ大きい魔痕の場合はわざと見せびらかす人などもいたりしますけどね』

と言ってたっけ



 「ん?ああ、でっけえだけで、特に何もできねえよ」



ケッと吐き捨てるように言い放つ



 「でも神に深く愛されてるってことなんでしょ?」


 「神にどんだけ愛されたって、目の前のもん守れねえなら意味ねぇ。」



ギロッっと背中越しに私を睨む


 「ご・・・ごめん」




川辺にあがりながらおもわず謝る

 何か事情でもあるのかな?この様子だとレゼルちゃんが言ってた自慢したいタイプの人ではないな

とにかく服、絞れるところだけでも絞って・・・あ。



手を開くと、握っていたことをすっかり忘れてたタンポポモドキがびしょ濡れになってしょぼんとしていた



 「いや、別に・・・。荷物は大丈夫か?・・・って!!その花!!」





ケモミミ少年は飛びつくように私の手に迫る


 「ど、どうぞ?」



その勢いにびっくりしながらびしょ濡れの花を差し出す



 「これっ!!この花!!どこにあった!!」




荷物を置いてる奥の方へ指さすと走っていき地に手を付け、見つけるとすごい勢いで掘り始めた

土がかからないように荷物を回収して、鞄から何かあった時用に入れてた布を取り出してタオル代わりに身体を拭きながらじーっと必死に掘り進める少年の様子をうかがう




 「あっあった!!」




そっと後ろからのぞき込むと、アボカドのような実?根っこ?が4個ほどでてきてた


 「これ!お前が見つけたもんだけど、俺にくれないか?!これを探しに森の奥まで来たんだ!」



吠えるように言う言葉とは違い、瞳は切なそうに滲む


 「いいよ!」


もちろん私は二つ返事で快く言う

 そもそも私はそれが何なのかわからないし、掘ったのはケモミミ少年だし!



 「い、いいのか?!助かった!!これがあれば・・・あ!俺ソル!!」



ニカッとすごく嬉しそうに笑う



始めてみた笑顔は太陽のようにあたたかくて、私も嬉しくなる



 「ぼく‥あ。俺はヴァン!」




 「ヴァン!俺すんげえ急いでこれ持って帰りてーんだけど、また会えねーか?俺にできることならなんでもやるからさ!」



 「じゃあ、森の事とか、色んなこと知りたいんだけど、教えてくれる人がいないんだ。だからいろんなこと教えてほしい」



ソルは会話をしながら脱いでた服で大事そうにアボカド的な実を包む



 「そんなことでいいのか??あ!これ持っててくんね?俺マッドスライムから逃げてる時、荷物投げたまんまだから取ってくる」



てきぱきと動きながら私に実を渡すと風のように森の中へ飛び込んで行った

 これ、そんなにすごい物なのかな?すっごく嬉しそうだな~


なんてのんきな事を考えていると5分もしないうちに違うシャツを着て木の枝がたくさん入った大きなかごを背負い、両脇に大きめの肩掛け鞄を2つ提げたソルが帰ってきた

 凄い荷物の量だな・・・シャツも替え持ってたんだ


実を渡すとそっと鞄に入れる



 「ここから1日半ぐらい川下ったとこに、丸太が橋みてぇになってるとこあんだけど、3・・・や、4日後にそこで待つ、俺が森の事教えてやるよ」



 「わかった!ここから川下ればいいだけなら、大丈夫!!」




 「ヴァン!絶対こいよ!」



 「うん!」




ニカッっと眩しい笑顔を見せて小走りに川の下流方向へと走っていった

一人残った私は鞄を覗いて時間を確認する


 今日はここまでかな?



近くを見回し手ごろな枝に黄色の布の切れ端を結び付ける


また明日、ここに瞬間移動する為にありきたりな森の風景をイメージするのが難しいので布の色でイメージしやすくしてみたのだ



1日目はそんなこと考えてなくて、続きから森探検するために一生懸命景色を覚えたけど、二日目にピンクの布を枝に結んでみたら簡単に瞬間移動できたので今日は黄色で試してみる


靴も履いて、荷物をしっかり肩にかける

目を閉じてイメージする



 まずはピンクの布・・・



目を開けるとピンクの布を結んだ枝があった、ちゃんと今日の森探検スタート位置にこれたみたい




次はついさっきあえて周りの景色を見ないように黄色の布を結んだので

目を閉じて、黄色の布をイメージする



これができればすごい楽に瞬間移動できるってことなんだよね・・・




目を開けるとちゃんと黄色の布を結んだ木の枝が目の前にあった




 よっしゃ!周りの景色のイメージ関係なく、イメージしたものそばに瞬間移動できるってことだ!





明日ここから探検始めれば、4日後には確実にソルのいってた丸太の橋にはたどり着けそう!





ソルの真っ赤な髪色を思い出し、また会えることに心を弾ませてると

びしょ濡れの身体はどう乾かそう・・・?!



とハッとして、急いで自分の部屋の浴室をイメージした









ちょっとでもいいぢゃん!続き気になる・・・かも!

って思ってもらえるようがんばりまっす!

評価などしてもらえたら

飛び跳ねて喜びます!!

よろしくお願いします!

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