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34・水色とピンクの双子



ーーーーーー



「なぁ、本当に大丈夫か?」




隣が見れない



「うん、すごく大丈夫だから今視界に入らないで・・・」




ソルと2人屋根の上から御屋敷の玄関を見下ろし、ベディヴィアさんとレーンの乗った馬車が来るのを待つ


そして先程鼻血を出した私を凄く心配するソル

すっごい恥ずかしい・・・


いや、でもさ!

反則なのよ!!



ルティーナさんとお店で試着して遊んだ服とは別格に良い素材に高級感

自分が袖を通した時は気付かなかったし、気にしてなかったけど

私は明るい赤と黒でソルは暗めの赤と黒

服は色違いで私はハーフパンツスタイル、ソルは長ズボンだ

元々素材のいいソル、しかも耳と尻尾を隠した人間モードでさ

髪型もピシッと整えられてしまえば


激萌えで

可愛い過ぎて


頭が沸騰しました

鼻血が出ました


はい…

イエス、マイロード

と跪きたくなるのを必死に耐えました


そしていつも右手に巻いてる布は手袋で代用

ソルも左手に手袋


マジッグバッグは肌身離さず持っていたいので

私は燕尾服の上着の下に、着膨れしないようぺったんこにしておしりの上辺りに忍ばせている



そんでもってベディヴィアさんとレーンの正装もイメチェン度合い半端なかった


ベディヴィアさんは髭を剃り、ボサボサだった髪もレーンの魔法で短く整えられ誰だか分からないぐらい若返った

歳の割におじさんだな

とずっと思ってた私はお目目が落ちちゃうかと思った

イケメンだったんですね・・・

ルティーナさんなんでこんなおじさん顔と、とちょっとだけ思ってたんだよ

ごめんなさいって心の中で謝った


レーンさんはポンチョの様な衣を纏い、長い髪を後ろで緩くリボンで縛り

黙っていれば男か女か分からないような中性的な出で立ちになり

カッコよくて美しい

エルフだからなのか、レーンが綺麗なのか分からない

ベディヴィアさんとあまりにも違う服の形なので聞いてみたらエルフの正装は大体こんなものだと言われ、話を切られてしまった


私とソルはなぜいつも赤い服なのか聞いてみたら

「貴族は自分の色、もしくはパートナーの色を普段から身に纏うのだ」


と言われた



「あっデレク、今からポケットに秘密兵器入れるから」



「秘密兵器?」


ここへ来る前、私が作った物はデュードさん、レーン、ベディヴィアさん、それぞれの上着の右ポケットに忍ばせた


3人に言ったことと同じことを言う



「もう、ダメ。どうにもならない、そういう場面になったらポケットに手を突っ込んで中の物を握ってね」



「何が起こるんだ?」



「秘密兵器だから秘密!でも必ずコレはデレクを助けるから。だからもうダメだって思ったら迷わず握ってね?」



「・・・。分かった」



私はソルの右ポッケにそっと入れた



「大丈夫な時は触るの禁止だからね?」



「わーってるよ」



「中で話しかけられたら


「ユーリが基本的に話す、分かってる!俺は貴族語クソだからな」



ソルはピクっと身体を震わせた



「・・・ベディヴィア達来たぞ」




1台の立派な馬車が門を通って真っ直ぐ敷地内に入ってきた



「じゃあ僕達も行こうか」



2人とも片目を隠す仮面を付ける


まだ正式にお披露目されていない貴族の子供は顔を隠すことが許されているらしい


貴族の子供は7歳の神の日を迎えてから1年間屋敷で家庭教師による教育が始まり、8歳の誕生月に盛大にお披露目会を開くとベディヴィアさんが言っていた


私とソルは双子の設定

お揃いの服だし私もソルが使っているブラックジェルで毛先を黒くしている


ベディヴィアさんのお子さんは水色の髪とピンクの髪色をしているらしい

いつも一緒にいるから仮面をしていても目立つはずと言ってた




「じゃあ庭から入ってホールに向かおう」



私は坊ちゃん

俺口調よりよっぽど話しやすい


ソルに手を差し出すとソルはグッと握ってくれる



庭の木の影を見つめてそこに屋根から瞬間移動する



「人気はねぇ、行くぞ」



ソルは私をグッと抱えると

足音を立てずに素早く窓へむかう



「鍵かかってるね」



何個か調べて見るけど1階の窓は鍵がかかってる


「使用人の通路の方行ってみるか?どこの屋敷も多分似たようなもんだろ?」



そっか、ソルは私の御屋敷で1ヶ月ぐらい過ごしてたんだもんね



「いや、この格好で使用人が沢山いるような所行ったら逆に目立つと思う」



どうしようか考えてると、2階の窓が目に入る



「2階から入ろっか、私が瞬間移動し、っわ!」



少し助走を付けると軽やかに1度壁を蹴り

ストンっと2階の開いた窓枠に着地する


やばっ。私を抱えて2階に軽々入るなんて

ソル身体能力さらに上がってない?




「このまま持ってていいか?」



「人に見られないなら」




とんっとんっと最低限しか床を踏まずに扉まで来るとソルは扉を少し開ける


人が居ないと確認して廊下に出る


私の家の廊下も綺麗だったけど

煌びやかな装飾につい目がいってしまう

このお屋敷の廊下にはたくさんの鏡が飾ってあり、明かりを反射してとても綺麗



突き当たりまで足音を立てぬまま駆け抜けるとソルはそっと私を下ろす

角を覗かずにソルが小声で呟く


「使用人が来るぞ」


「わざと転ぶからデレクが私を立たせてね」


たったったっ

と廊下を走る足音が近づいてくる

私はタイミングを見て角から飛び出してその使用人さんとわざとぶつかってこてんっと転ぶ



「たっ大変申し訳ありません!大丈夫でしょうか?」



チラッと目を合わせてしっかり鑑定さんをチェックする


_______________

マミナ

14 ♀9.21 yellow

カルカロフ侯爵家使用人

3世代に渡り住み込みでカルカロフ家に仕えている

_______________



彼女のスっと差し出す手をわざと無視してソルを見上げる



ソルがスっと手を差し出し、私はソルの手を握る



「屋敷の中を駆けるなんて、随分お急ぎなんですね」



「えっあっ!大変申し訳ございません!」



サッと血相を変えてスカートの裾を少し摘み腰を少し落として目線を下げ、敬意の体制を取る使用人さん



「何を急いでいたのですか?」



この子には少し可哀想だけど、私達が偉い人の子供と勘違いさせるように少し威圧的に話かける



「カッ、カルカロフ侯爵様のご子息であるベディヴィア様が到着されましたので、アクルミーア様とベルベティーナ様をお連れしろと仰せつかいまして・・・つい、廊下を駆けてしまいました。ぶつかってしまいました事、大変申し訳ございません」



「それってベディヴィアの子か?」



ソルがぶっきらぼうに言い放つ

ちょっ話すのは私って言ったのに


内心少し焦りながら、でもその一言でますます使用人の女の子は顔色が悪くなる


「その・・・通りで、ございます」


女の子の手はカタカタと震え出す


あ。なるほど

自分の仕えている侯爵様のご子息をこんな幼いうちから呼び捨てにできるぐらい偉い人だと今思い込んぢゃったのか


ソル!ナイス!



「父上から好きに遊んでいいって言われてたけど、飽きちゃったし、僕達も連れて行ってもらおうか。案内頼めるかな?」


私はニッコリ笑う



「い、いえ。それは・・・」



「名前は?」


「…マミナ、と申します」



「ねぇ、マミナ。素直に連れて行ってくれたら、おしりが痛いのなんてすぐに忘れちゃうかも?カルカロフ侯爵も使用人が駆け回って()に怪我させたなんて知らない方がいいと思わないかい?」



「す、すぐにご案内させて致します」




淡い赤と黒のメイド服の彼女は目に涙を溜めながら、真っ青な顔で私たちが来た廊下を歩いてく


ベディヴィアさん達とホールで落ち合う予定だったけど

先に子供達を避難させとくのもありだよね


なんせそれが目的だし



私達が忍び込んだ部屋も通り過ぎ、どんどん奥へと歩いていく

廊下の端の扉を開けるとその奥が階段になっていた



普通の部屋の扉っぽかったのに、開けたら階段?

隠し階段ってやつ?


階段の前でソワソワして上がろうとしない使用人


「あ、あの・・・発言を許して頂けますでしょう・・・か?」



「・・・許します」



「この先は・・・カルカロフ侯爵様の許可がなければご案内でき兼ねますので・・・」



「ああ、問題ないよ。屋敷を好きに回っていいと父上に許可を貰っている。もちろんカルカロフ侯爵からもね」



堂々と言い切って見せる



この子さえ騙せれば行けそうだね



「かしこまりました」



薄暗い階段を彼女の後に私、ソルが続いて上がっていく



階段を登り切った先には扉が1つ



コンコンっ


「マミナです。ベディヴィア様がお越しになられました。アクルミーア様とベルベティーナ様にお会いしたいそうです」



この薄暗い階段の雰囲気、屋根裏感が否めない

この先が普通の子供部屋には思えないんだけど



「チッ。もう来たのか、予定より早いな」



低い男の声が聞こえて

ガチャッと扉が開く



「マミナか、2人はまだ準備出来てないと伝え・・・」



男と目が合った



「デレク!」




その瞬間私は叫んでしゃがんだ

私の後ろにいたソルが男に飛びかかり部屋の中へ倒れ込んだ



_______________

ダクト

34 ♂8.27 green×red

色淘汰教団NEMO所属

王都より派遣されている言の葉の1人

_______________

所持奴隷:<アルラ> <マルナ> <ドュンベルグ>

仮奴隷:<アクルミーア><ベルベティーナ>

_______________



仮奴隷にベディヴィアさんの子供たちの名前があったから


それにさっきの予定より早いって言葉どういう意味?



私はスっと立ち上がると口元を押さえて驚く使用人のマミナの手首を掴む


「この家に、アルラ、マルナ、ドュンベルグという名前の人物はいる?」



「ひっ」



咄嗟に身を守ろうとしたのかバチッと電気が私に流れ込んでくるけど手を離さないままグッと力を込めた



「この男は今言った名の人物を奴隷にしてる!」



カッとマミナの目が見開くと



「まっマルナは、私の母です!」



「ユーリ、無力化した」



ひょこっと扉からソルが顔を出して小さい声で私を呼ぶ


私はマミナの手を掴んだまま扉を開けて中に入った

扉のすぐ横には気を失って倒れている先程の男、ソルは素早く男の手足を縄で縛る



「そんなっ!アクア様!ベルナ様っ!」




木の床に黒い光を放つ2つの魔法陣

それぞれの魔法陣の中心に目隠しをされ、椅子に縛り付けられたピンクの髪の男の子と水色の髪をした女の子



「その声はマミナ?」


「マミナ!?マミナも捕まっちゃったの!?」



混乱する2人

魔法陣は私も分からない、入って目隠しと縄を解いてあげたいけど

どうすればいいんだろうか

2人の首元を見ると黒く光るチョーカーが付いている

仮奴隷の所に2人の名前があるから・・・

まだ奴隷の契約は出来てないはずだよね?


私はそっとマミナの手を離す

マミナは目の前の光景に絶句し、呆然と立ち尽くす

逃げる様子はないから大丈夫かな?


「ねぇ、どう思う?」



「分かんねぇけど、あのブラックの光の中には入んねぇ方が良さそう、ピリピリしてる感じがする」



「誰?」



「僕達はベディヴィアさんの仲間です、部屋にいた男は気を失ってます。君達を助けに来ました。君達の今の状況をわかる範囲で教えて貰えますか?」




「今日、お母様にこの部屋に連れてこられたの。今日着る服をよく見せてって言われて」


「そしたら足の下が光って、魔法が何も使えなくなって・・・あれ、多分母様の偽物だったんだ!」



2人が交互にどんどん言葉を吐き出していく



「今日お父様にも何かするって言ってました!だからお父様にお母様が偽物だって伝えてください!」


お父様に何か?

今日はベディヴィアさんが目的?

さっきの男が言ってた“予定より早い”の言葉が私の中で重みを増す



「僕達、このままでも大丈夫だから!父様と母様を助けてくれ!」



私は2人の話を聞きながら、魔法陣をそばで見てみる

何か黒いインクのようなもので床に直接書かれてるみたい

この魔法陣が、中で魔法を使えなくするようなものなら、シンプルに魔法陣を壊せば大丈夫なんじゃないかな?



「この男は君達に何をしていたんです?」


部屋の中を見渡しながら何か使えそうな物はないか探す



「僕達と契約を交わそうとしてたんだ、でも僕達だって馬鹿じゃないッ。契約をずっと拒否してた」



「拒否してれば、お父様が助けてくれるって信じてたの」



奴隷の契約は両方が同意しないと発動しないって事なのかな?

相手が子供だから言い含められるって思ってたとか?


「マミナ、誰から2人を呼べと言われたんですか?」



「へ?」


目に涙を溜めて、キョトンとする



「だから、誰から2人を呼べと・・・」



「あっベディヴィア様のお兄様、ルーディン様です」



ああ・・・

ベディヴィアさんが危ないかもしれない

この屋敷に入ったらまず兄に接触してみるって言ってた



「デレク!この床を剥がして、この魔法陣どうにか壊せないかな?!」



バールのようなものがあればいいんだけど、都合よくそんなもの無いし

何でもいいから床の木継ぎ目に刺して、魔法陣の外から壊したい

急いでホールに行ってベディヴィアさんと合流しないと!



「マジッグバッグ持ってよな?」



私のすぐ隣にしゃがむソル


「持ってるけど・・・」



「俺の剣出してくれ」



私はカバンを背中から前に回して手を突っ込み、剣を掴んで引っ張り出した


家を離れた日、ソルが執事さんから貰ったあの剣だ


ぐるぐるに鞘に巻いてた布を解くと

シャキンッと剣を抜いた



ドスッと床に刺すとグイッと

てこの原理で魔法陣が描かれた床の木を剥がした



黒い光が魔法陣から消える



「ピリピリしたの無くなったぞ!」



「そっちも頼んだ!」


私はすぐに水色の髪の女の子へ駆け寄り、目隠しを外す



「こ、子供?」



髪の色と違うピンク色の大きな瞳が私を真っ直ぐ見つめた


ぐえッ

超可愛いんですけど

ルティーナさんをさらに可愛くしてちっこくして

少しタレ眉で小動物かのような上目遣い


ダメだ

興奮するとまた鼻血が・・・

破壊力はソル程じゃない


私、落ち着け



「もう大丈夫」



私は縄を解くと彼女へ手を差し伸べる



綺麗な水色に沢山のリボンの着いたドレス

長い髪はふわふわっと巻いてあり

お人形さんみたい・・・いや、お人形さん以上に可愛い


_______________

ベルベティーナ・カルカロフ

7 ♀2.22 cyan × magenta

カルカロフ侯爵家三男ベディヴィア・ジェイ・カルカロフとその妻ルティーナの娘

アクルミーアの双子の姉

_______________

奴隷契約具装備(未契約)

_______________



「同じパーティのデュード様とレーン様だと思ってました・・・貴女達はお父様とどんな関係なのですか?」



「パーティメンバーじゃないけど仲間、かな」



私の手を取り、椅子から立ち上がりながら

少し離れたところでもう1つの魔法陣を壊すソルをチラッと見るベルベティーナちゃん



奴隷契約具って何?

黒く光ってるこのチョーカー?

左手を伸ばしベルベティーナちゃんのチョーカーに触れると光が一瞬消えて私の指に黒い線が指輪のように浮かび上がった



「わっ何コレ」



「主の権利がそこの男から貴方に移った・・・のかな?目隠しをされた後、首に何か付けられて・・・男の人の声がさっき言ってました、魔力量が多い方に権利が移るからお前は触るなって・・・あっ」




「じゃあ、この男の他にまだもう1人?」



それなら早くこの部屋を出なければ


「わっ!お前誰だよ!レーン様じゃないじゃん!」


「ああ゛?うるせぇな。暴れんなよ!縄切れねぇだろ!」



私はベルベティーナちゃんの手を握ったままソルとアクルミーア君の元へベルベティーナちゃんと駆け寄る



「アクア、大丈夫だよ。お父様の仲間なんだって」


ソルが縄を切ると素早く立ち上がり、ギロッとソルをひと睨みするアクルミーア君


私達の違ってベディヴィアさんのような大人の着る服を小さくした感じの装い

色は髪に合わせてピンク色で夢かわいい色合い


やべぇ女の子並の可愛さ溢れる美少年

ソルのやんちゃ感と違ってまたいい

涎が垂れてしまいそう


_______________

アクルミーア・カルカロフ

7 ♂2.22 magenta × cyan

カルカロフ侯爵家三男ベディヴィア・ジェイ・カルカロフとその妻ルティーナの息子

ベルベティーナの双子の弟

_______________

奴隷契約具装備(未契約)

_______________



可愛いの言葉に頭が支配されそうになりながら

必死に切り替える


私はアクルミーア君の首の黒いチョーカーにも手を伸ばし、触れる

左手の指の黒い指輪のような痕が2本になる


「その首の、外せる?」



2人は首を触るが取れる気配はない



「試していい?」



「はい」



私も外そうとつなぎ目を探してみるけどピッタリと首にくっついていて取れそうも無い



「取れない・・・か、じゃあ一時的に僕と契約した方がいいのかな?」



「「えっ」」

2人がびっくりした顔をする



「このままにしておいて、僕より強い魔力を持つ人に主になる資格が移るのが怖い。こうやって触るだけで僕に主になる資格が移ったんだし、間違って誰かと契約する方が怖いと思うんだけど・・・」



「とりあえず1回デュードの所へ行こうぜ、使用人もこっちに来い」




「皆、僕に触れてください」


ソルは剣を鞘に収め、左手に持ったまま右手を私の肩に手を置き

ソル以外の3人は不思議そうに私の手や腕を掴む



私は宿屋の部屋をイメージし、皆で瞬間移動した




「わ!」


「えっどこですか?」



あれ?部屋の様子がおかしい

ルティーナさんが寝ていたベッドは空になってるし

デュードさんもプティもいない


皆が手を離す前に私は咄嗟に街を囲む壁が見えるフローラルトシティと刻んだ石へ瞬間移動する




「おかしい、デュードさん居なかった」



「ああ、それにプティとルティーナも」



いきなり森の切れ目へと連れてこられた3人は言葉を失い私を掴む手に力が入る



「あそこに避難するはずだったのに・・・どうしよう?」



「自分が覚えてる場所と、物の所へ飛べるんだよな?」



ソルが考えながら私の目を覗き込む


「そうだけど・・・」



デュードさんやルティーナさんが何か私の目印になるようなもの身につけてないと思うけど・・・



「人を思い浮かべて、瞬間移動はできないのか?」



も、盲点だった!!

考えたこと無かった

木の枝に結んだリボンとかには行けたんだから、よく知ってる人なら

イメージしやすいし出来そうだ



「やった事無かった・・・デュードさんを思い浮かべて移動してみようか?」


「その前にこいつらどうすんだよ、デュード達が安全な場所にいる保証もねぇだろ?それに、デュードがもし人のいる場に居たら魔法が人に見られるぞ」


「そう、だね・・・」


「おっ!置いていっちゃ嫌です!」



「そうだよ!僕達も連れてってよ!」



「いや、ダメだよ。君達を人質に取られない為に助けに行ったのに連れて行けない」



「でも、僕達より父様の方が危ないじゃないか!僕達も一緒に行って戦いてえ!」



「何馬鹿なこと言ってんだ?実際偽物のようなルティーナ見てんだろ、あれは身体を操られたお前等の母さんそのものだぞ。お前等はベディヴィアまでああしてぇのか?」



ぐっと悔しそうに下唇を噛むアクルミーア君

ベルベティーナちゃんが私の手をそっと離した



「アクア様、ベルナ様・・・お2人はベディヴィア様とルティーナ様の弱点なのです。ここは彼等の話を聞いた方がよろしいかと・・・」



カタカタと震えながら使用人のマミナちゃんが2人の袖を引っ張る



「クソっ・・・」


アクルミーア君も私を渋々離した



少し離れた所の木の影へみんなで行き、私はバッグから自分のマントと、予備のマントをだして2人に渡す




「ここで僕達を待ってて、絶対ベディヴィアさんを連れて帰ってくるから」


「待って!さっき覚えてる場所へ行けるって言ってたましたよね?見たところへも行けますか?」



「おい!?ベルナ!」



「早くお父様の所へ行って欲しいからいいの。私、まだお母様みたいには出来ないけど、自分が見た記憶なら写せるのです」



写せる?


ソルに『わかる?』と視線を向けるけど、ソルも分からないみたい、首を小さく横に振る



ベルべティーナちゃんは目を閉じて手のひらを上に向けて両手を前に出すと、その手の少し上に水の玉が浮かぶ

それを薄ーく伸ばしてどんどん大きくしていく

すると縦横2mくらいの大きさになった水の鏡が出来上がる


「ふぅ・・・ではいきます」



ゆっくり瞳を開くベルべティーナちゃんは少し緊張した顔で宙に浮かぶ水鏡に手を触れた


手から波紋が広がるように鏡のようだった表面に水色の光が広がっていくと暗い中でアクルミーア君がいたずらっ子の笑を浮かべて笑っている景色が映し出された


携帯で撮った動画みたいだな

ベルべティーナちゃんの視線で動く映像にふとそう思う

記憶を写すってこういうことなんだ

凄い、記憶を見れるなんて

魔法すげぇ案件


声は聞こえない、映像の中でベルべティーナちゃんの手を引き、暗い空間から布をめくって外に出ようとするアクルミーア君


ベルべティーナちゃんの視線が後ろを振り返る

そこには可愛らしい服を着た角の着いた兎のぬいぐるみが置いてあり、手を伸ばすけどベルべティーナちゃんの手は届かない


そのまま暗い空間から明るい空間に出ると広いホールの机の下で遊んでいた事が分かった

テーブルクロスのかかった机の下で秘密基地のようにして遊んでいた時の記憶だったらしい


「私の大事にしてるぬいぐるみがまだあのテーブルの下にあるの、あれをイメージしたら一気にホールのお父様の所へ行けませんか?」


大きさはこれぐらいで、と宙に浮かぶスクリーンにぬいぐるみを写して身振り手振りで必死に私へ伝えようとするベルべティーナちゃん



「ありがとうございます。多分行けると思います」


安心させるようにニッコリと笑顔を向けるとホッと肩から力が抜けたのが分かった


「あ、マミナちゃんさっきはごめんね。2人のこと頼んでもいいかな?この木の影で、ベディヴィアさんのパーティの人間が来るまで隠れていて欲しい」


「はい!・・・でも、行く前にアクア様とベルナ様の為に条件付きの主になっていただけませんか?」


「条件付きのあるじ?」


「はい、私の母に聞いたことがあります。例えば借金の返済が終わるまで、とか何年奴隷として働くとか、契約に条件を付けることが出来るはずなのです。双方が納得した条件でなければ契約は成立しません」


「あの男、殺されたくなければ俺を主と認めて完全服従しろって言ってたぞ。そんな条件僕たちが認めるとでも思ったのだろうか?」


奥歯を噛み締めながらアクルミーア君が言葉を吐き捨てる


「子供だから怖がって認めると思ってたのかもしれませんね」



私は考えながらそう答えると指輪のように黒い2本の線の入った左手の小指を見る


「今夜の午前零時まで、自分達の命を最優先とした上で私と奴隷契約を、午前零時を超えた時点で奴隷契約は解除とし、奴隷契約具も破棄されるものとする」


黒い線に自分の魔力が吸われていく感覚がある

この条件でなら午前零時までで、契約が切れるから大丈夫かな?

奴隷契約の首輪も壊れるように指定しとけば、誰かに触れられてまた契約される心配もないと思うし


「私、ベルべティーナはその契約に同意します」


「おい!ベルナそんな勝手に!!」



ベルべティーナちゃんの首に魔法陣が浮かび上がると私の指から私の魔力の色である白い光が溢れて魔法陣へと流れ込んでいく



「暖かい、です。とっても優しい魔力・・・」



魔法陣が消える

ぽうっと赤く頬の染ったベルベティーナちゃんが笑う


「ほら、アクアも!例え、私達を利用したってこの条件なら今日の12時までの数時間ですもの!大丈夫ですわ!」


「でもなベルナ!コイツらの名前も知らねーでなんで勝手に・・・」



あ。そう言えば名乗ってなかったっけ



「私はユーリ、こっちはデレク」



「ユーリと、デレク・・・?あ。お前ら父様の・・・」




アクルミーア君はじとっと私を見つめると、小さくため息を吐いた



「僕も、その契約に同意する」



アクルミーア君がそう呟くとさっきと同じように私の魔力が浮かび上がった魔法陣へと流れていく



「確かにあったかいな・・・。お前の魔力」


ふっと優しく笑うアクルミーア君

眼福っ




「終わったか?じゃあ行こう」





「じゃあ3人とも隠れていてくださいね?私達はベディヴィアさん達を連れてきますから」


「待て」


そう言うとアクルミーア君は腰からベルトを外してソルへ投げた



「父様から貰った俺の宝物だ。後で返せ」



ソルが投げられたベルトを受け取る

綺麗な黒いベルトに、所々金の装飾が施され、剣を収めるポケットのようなものが着いている



「ソードベルトか、助かる。必ず返す」



ソルはさくっと腰に付けて、まだ体のサイズには合わない大きな剣をそこへ通した

紋章の刻まれた石はちょうどベルトのポケット部分と被って見えていない、これなら大丈夫そう



ソルが私に手を差し出す

私はソルの手を迷わず掴む



ソルと2人しゃがんで、さっき見せてもらったぬいぐるみを思い浮かべた




魔力が抜けた感覚と同時に薄暗い景色に変わる

そしてざわざわと沢山の人の話す声、オーケストラの伴奏の響く音が聞こえる


私は可愛らしいぬいぐるみを手に取るとマジックバックへ収めた

後で会った時に渡してあげようっと




ソルはテーブルクロスを少しめくり、ホールの様子を伺う




「あ、レーン居た」


「ベディヴィアさんは?」



「んー・・・。ここからじゃ全部は見えねぇから、わかんねぇけど、一緒にはいねぇな」



コソコソと小さい声で話す



「とりあえずレーンの所行く?」



「そうだな」



とりあえず、アクルミーア君とベルベティーナちゃんは森に移動させたし、デュードさん達が宿屋に居なかった事も話さなきゃ


あと、今夜はベディヴィアさんが狙われてるかもしれないと伝えなきゃ



「人がテーブルから離れた、行こう」


2人で静かにテーブルの下から出るとスっと立ち上がる



え。



なんでみんな仮面付けてるの?





「か、仮面が・・・」




「そんなのどうだっていいだろ、こっち」



グイッと私の手を掴み、スタスタとレーンの元へ向かうソル



全然よくない!!

なんで大人まで仮面つけてるの?!


仮面で顔を隠すのはお披露目されてない子供だけって言ってたのに!


顔が見えなきゃ鑑定できないんだよ!!




「遅かったな」



ホールの隅で、会場に目を光らせる

黄緑色の狐のような仮面を付けたレーンが小さな声で私達に気付いて声をかけてくる



「なんで大人も仮面つけてるの?」



私も小さな声で隣に立って目を合わせないまま話す



「来たら用意されていて、渡された。『今夜は仮面舞踏会にしてみたんだ』ってな、胡散臭さがより増したな。ベディヴィアは兄さんを探してくるって行ってさっき離れた所だ」



「ベディヴィアさんが狙われてるっぽいから、すぐ探さなきゃ」



「なっ・・・。クソッ、ベディヴィアのとこのガキ2人は?」



「さっき、見つけたぞ。移動して、門のそばの石ん所にいる」



「門の?宿屋は?」



レーンはビックリして視線をソルに移す



「空だった」




「おいっそれじゃあ・・・」


何かを言いかけて、静かにレーンが周りを見渡した




「何かが、おかしい」





レーンが私達を自分の背に隠す



「ユーリ、出入口が」




ソルの声に、ぱっと扉に目を向けていくと全ての扉が閉まっていて、それぞれの扉の前に剣を腰にさげ、仮面を付けている男がぴしっと塞ぐように立っている




「これはやばいな、ホール入る前、魔力を持ったものは調べられて、徹底して持ち込めなかった。剣などの武器の持ち込みも許可されていない。俺もホールに入る前に預けて来てる。それに・・・」




レーンが自分の手のひらを睨むように数秒見つめると、チッと舌打ちした




「やっぱりな。このホールは今、魔法が使えねぇようになってる」



「「えっ!?」」




ソルはうーんと唸りながら指を1本、2本と立ててみたりして首を横に振る



ソルも使えないんだ?

でも私、ここへ瞬間移動で来たよ?

ためしに指で丸を作って息を吹いてみる


あっなるほど


魔力が吐き出す息に乗っからない

体内の魔力を魔法として身体の外に出せない感じ


感覚的に、私の瞬間移動は体の中で魔力を消費してる魔法っぽいから使えるのかもしれない



「私たちついさっき直接ホールの中の机の下に飛んできたので、私のユニークは使えると思います。あと、ポケットの中に入れたものも預けたのですか?」



「それは朗報だな。そばにいろ、いつでも飛べるように。秘密兵器って言ってたやつなら入ったままだ、魔力が無かったのか身体検査の時何も言われなかったぞ」



「なら、」



パンパンッ


と手を叩く音がホールに響いた



ざわざわとしていた話し声、オーケストラの弾いていた音楽も小さくなりホールが静まり返った



まだレーンに聞きたいことがあったのに




「本日はお集まり頂き、感謝する」



ホールの中心へ伸びる階段の上に赤い短髪で細身、ベディヴィアさんと似たデザインの服を着た真っ赤な仮面を付けた男性が立っていた








ちょっとでもいいぢゃん!続き気になる・・・かも!

って思ってもらえるようがんばりまっす!

評価などしてもらえたら

飛び跳ねて喜びます!!

よろしくお願いします!

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