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33・プティのコトバ




頭が重い

気持ちが悪い



「・・・んっ」



「ユーリ、起きたか?」



少し冷たい手のひらがおでこを撫でる



瞳を開くとレーンが私を覗き込んでる


「お、はようございま・・・す?」




ゆっくり身体を起こす

半端なくだるい

全身に重りを付けられたみたいだ



レーンが背に手を添え、座るのを手伝ってくれる



私、市場で買い物してて・・・



左手首に手の形で青アザがついてるのを見て寝起きのボヤけた頭がハッキリと動き出す



「プティは?」



あの隷属の腕輪を体に取り込んでたはず



「動かない」



レーンが横にズレると奥のベッドの上で丸まってしゅわしゅわと音を立てていた


まるで溶かして食べてるみたいだ


元々隷属の腕輪と服従の首輪から出来てるプティだ大丈夫だとは思うけど・・・

今日私の血を吸収してたし、かなりの偏食?



「何があったんだ?」



レーンは隣のベッドに座り、心配そうに私を覗き込む



「えっと、何から話せば・・・」



話すよりも正直、この身体のだるさをどうにかしたいんだけどな



「ユーリ、大丈夫ですか?魔力が減っているようなので、これ飲んでください」



ポーションの瓶をデュードさんが私に渡す


「ポーション・・・」



あの激マズかぁ、嫌だなあ

本日2本目じゃん

そう思いながら受け取る


「悪かったよ、今日。まさかこんな事起こるなんて思わねぇ・・・し」



レーンが謝ってる!しゅんっと明らかにいつもの元気がない

以外な反応と言葉にビックリしながら、激マズを覚悟してグビっと一気に飲み干す


あれ、これそんなに不味くない

味もいつもと違う


「ハハッ激マズじゃなくてビックリしたね?これは魔法士御用達のメーテルという魔力回復を促すポーションの一種なんだ。少ししたら気分も良くなると思う」



ニコっと笑うデュードさん


優しさとそのほっこり笑顔に少し癒される



「私もごめんなさい。勝手に離れたりなんてしたから・・・お、怒ったのも・・・ごめんなさい」



「いや、素が見たくて怒るように動いてたんだ。すまなかった」




素が見たくて・・・

そうだよね、私も子供いたから分かるけどさ


普通の7歳の子供は今の私が振舞ってるように

聞き分け良く、我慢強くキツい訓練を受けたりなんてしないもん


試したくもなる・・・か


でもさっきのさ

私を見つめるような顔、見ちゃったらさ

本当に心配してくれたんだなって分かる



ぽおっと体の芯から温まるような感覚がして

身体のだるさが抜けていく


あっ、薬効いてきたみたい



「ベディヴィアさんとデレクは?」



話をするなら、みんなが揃ってからの方がいいよね

説明するの二度手間になっちゃうし



「あぁー。デレクがちょっと暴走してたが、ベディヴィアがいるから大丈夫だろう。そろそろ来ると思うが・・・」



ソルが暴走??



「えっデレク大丈夫なの?」



「お前に何かあったのを感じたのかもな、1人で列すっ飛ばして門通ろうとちょっと・・・な」



ぐはぁ、なんか想像出来てしまった

ソルは私に何かあったのを感じたのかな?それともあの首輪や腕輪の気配を感じたのかな?


ソルは感覚が本当に鋭いから



コンコンっ



「ベディヴィアだ。今戻った」


「ベディヴィアさん!待ってましたよ!」


デュードが安心した顔をして扉へ掛けていきすぐに扉を開く



「ユーリ!」



ソルは泣きそうな顔で私の元に駆け込んでくる



「デレク、ごめん。心配かけちゃって」



ソルの頬へ手を伸ばす

よしよしっ

ごめんごめん


ベディヴィアさん凄く真剣な顔してる・・・

あぁ・・・私の事を伏せてどれだけの事を話せる・・・か?




は?




嘘だよね?



なんで?ルティーナさん、子供達と貴族の御屋敷で過ごしてたんじゃないの?



_______________

ルティーナ・カルカロフ

27 ♀6.30 magenta×cyan

カルカロフ侯爵家三男 ベディヴィアの妻

シルバーシティギルド所属:A級冒険者

S級パーティ シルバーウインド・メンバー

_______________

状態》◎、〇

_______________



状態の所に白い丸が2つ




ベディヴィアさんを見上げる優しい瞳、心配そうに私へ移す視線

思わず口元を押さえて急いで視線を逸らす



どうしたらいい

考えろっ

考えろ!




あの男の腕輪を外した時、ソルの時よりも遥かに多く魔力を持っていかれた

首輪と腕輪両方外したら、私はまた死の淵をさ迷う事になる



でも、今のルティーナさんに私の情報は渡せない



私が何とかしなくちゃ・・・

私が・・・!!



「ユーリ?」



ソルが俯いた私を心配して背中をさすってくれる



「ご、ごめん気持ち、悪くて・・・」



「ルティーナ、水を1杯用意してやってくれ」


「分かった!ユーリちゃんちょっと待っててね」



リアムさんに怒られた時の事を思い出した

誰にも相談せず、私が突き進んで

怪我をして長い間眠ってしまった


周りを頼れって

私を説得する選択肢を選ばなかった事を怒っているのだ!って




話しても良いのかな?

今回は家族ですらない、でも助けたいと思う程にはこの人達が好きだ


このまま放っておくという選択肢はもうない





デレクをぐっと引き寄せひそひそと話す



「デュードさんに頼んで、ルティーナさんに強い眠りの魔法を掛けて欲しいの。こっちの2人が私の手を握ったら合図だって言ってくれる?」



「なんで・・・だ・・・」



クワッと私に食いかかろうとして、私と目が合ったソルは言葉を放つのをやめて黙って頷いた



ソルの顔色が一瞬で変わるほど、私酷い顔してるらしい



ベディヴィアさんはベッドの側へ来て小さめの声でレーンと話してる

プティを見て話してるからプティの事かな



デュードさんが何か部屋に魔法を掛けてる

何かわからないけど、終わったらデュードさんは動けるよね



ゆっくりと顔を上げてベディヴィアさんを見つめる



「ベディヴィアさん、私を信じて貰えますか?」



ベディヴィアさんはゆっくりと私のベッドに腰掛ける


「私を信じろと言っておきながら、君を信じないのは紳士のする事ではない。ユーリ、嘘偽り無く話してくれるのであれば私は君の話を信じよう」



「レーンも、信じてくれる?」



「ベディヴィアと同じだ。嘘偽り無く話すなら、信じるぞ」




「信じてくれるなら、私の手を握って」


2人は一度視線を合わせると私の差し出す手をギュッと握った


ルティーナさんが眠っても飛び出されないように

咄嗟に起こすような魔法をかけられないように




「何から話すべきか・・・ユーリ、君は

「絶対に離さないで」


顔が見れないっ

私が今から告げる言葉は、ベディヴィアさんにルティーナさんの心は死んだと告げるようなものだ


さっき男の腕輪を壊したから壊せることは知っているけど

腕輪と首輪が染まりかかってたソルと違って、ルティーナさんは完全に嵌められてしまってる

無事取れたとしても、心がどうなってるのか・・・わからない




「ユーリちゃん、お水持ってき・・・た・・・」




カランっ

バシャ




「ルティーナ!!」


握っていたコップを落とし、床に水が撒かれる

ベディヴィアさんが駆け寄ろうと立ち上がろうとする

私は手に力を込め、ベディヴィアさんを引き止める



あぁ、嫌だな

言いたくない


「えっ!?2人がユーリの手を握ったら眠らせる合図だってデレクが!」



デュードさんが混乱した声を上げる

ベディヴィアさんの指示だと思ってたんだろうな



「ユーリ!何が起きているんだ!何故デュードに眠りの魔法をかけさせた!」



ベディヴィアさんが私の肩を掴む

ゆっくり顔をあげる


嫌だ、こんな事言いたくない

でもこのままにする事も出来ない


涙が零れちゃいそう

でも私より辛いのはベディヴィアさんだ

泣いちゃダメっ



「ルティーナさんはっ、隷属の腕輪と服従の首輪を、付けられてます」



ベディヴィアさんの顔から血の気が引いていく


みんな私の言葉に衝撃を受け

誰もが動けず、思考を巡らせる

そんな中、ソルが黙ってルティーナさんに駆け寄って抱き上げると

入口に近いベッドにそっと寝かせた


ソルがルティーナさんの手首を触り、首もそっと触る



「俺には・・・分かんねぇ」




固まったまま言葉を失ったベディヴィアさんとレーンの手とをそっと放して私はベッドを降りてソルの隣、ルティーナさんの側へ行く



触れたら・・・いきなり魔力持っていかれるのかな?



恐る恐る、手を伸ばすとソルがその手をパシっと止めた



「今のユーリが触って、大丈夫なのか?」



「え?」



「体調は?魔力は?また寝ちまったらどうするんだよ」



「でも、ルティーナさんは?このままにしておけないでしょ?」



「・・・おいデュード。どのぐらいで・・・ルティーナは目が覚める?」



レーンが重い口を開く


「えっと・・・強く眠らせろと聞いてたから、明日の朝までは寝てると思うけど・・・」



「ユーリ、時間はあるみてぇだ。何かする前に、俺達にも分かるように話してくれ」


レーンは立ち上がるとベディヴィアの背を強めに叩いた


「ベディヴィア、しっかりしろ。信じられねえ事が起きてるみたいだが、俺はユーリがこんな嘘を着くような奴には思えない」



「・・・ああ。そう、だな。でも・・・いや、すまない、考えなければならないのに。頭が上手く働かないんだ」



「詳しくは、言えない・・・けど、私には腕輪と首輪を付けられてる人が分かるみたいです・・・。今日、男の人を見て・・・初めて付けられてる人を見て知ったんですけど・・・」


「路地裏の男・・・。さっき俺とベディヴィアで行ったんだ、プティが取り込んでるのはそいつが付けてた物なのか?」


ソルとベディヴィアさんあの男の所に行ったんだ



「うん。結構、持ってかれた・・・デレクの時よりも多く、今はデュードさんがくれた薬で良くなってきたけど・・・」



きっとこれだけ言えばソルに伝えたい事は分かってくれるはず

ソルの時、私は死にかけてる

ソルの時よりも多く、という事は、私の魔力量じゃ腕輪と首輪同時に壊すことはできないって



「待て待て、自分達だけで納得しないでくれ。今日の話はもういい、ルティーナが本当に付けられているのか我々が知る方法はないか?どうするつもりで眠らせたのか、話してくれ」



こめかみを片手で押さえながらベディヴィアさんは立ち上がると

私とソルの前に片膝を着いてしゃがむ



「ベディヴィアさん・・・。アレを付けられた人は普通どういう処置をされるんですか?」



「通常・・・か、通常は付けられてるかどうかなんて分からぬ。先程も、何一つ変わらないいつものルティーナだった。周りの人が知る事ができるのはその人物が死した時のみ。死体の代わりにあの首輪と腕輪が残るからな。もしも本当に付けられてるならS級冒険者である彼女は・・・立場や力を悪用されない為にも・・・消される・・・だろうな。彼女のユニーク魔法は唯一無二・・・拘束するのが難しい」


ベディヴィアさんが苦しそうに言葉にした


「そんな、他に方法が・・・っ」


デュードさんが息を飲む



やっぱり・・・このままだとルティーナさんは殺されるのか



私なら外せる

でも、外れた後にルティーナさんの心が帰ってくる保証はない



「ユーリ・・・君は外す事ができるのか?」


え?


咄嗟に私は隣のソルを見てしまう

ぶんぶんっと横に顔を振るソル

ソルが言ったわけではない・・・でも

こういう聞き方をするって事は私が何かできるって気付いてるって事だよね


「何言ってんだ、ベディヴィア。そんなの誰にだって出来ねぇだろ!」


レーンが噛み付くように言い放つ

そんなレーンの様子を無視してベディヴィアさんは私の手を両手で祈るように握り片膝を立てたまま頭を下げた


「私の命を掛けてもいい、もう残り少ないが私の命の残り全てを君の為に使うと約束しよう、何だってやり遂げてみせる。だから、どうか彼女を・・・ルティーナを、解放してやってくれないか」




「ベディヴィア!やめろ!こんな神の日を迎えたばかりのガキに!出来ねえ事をッ!大の大人がっ!」


レーンはベディヴィアさんの肩を掴み

私から引き剥がし立たせて壁へドンッと押し付ける



「傷付いてるのはユーリやデレクだって一緒なんだよ!ここにいる全員が!救えるなら救いてぇに決まってるだろ!」


そのまま頭を下げてベディヴィアさんに寄りかかると

レーンの背中が震える


「私は、このまま・・・何も出来ぬのか」



ベディヴィアさんは天を仰ぎ、真っ赤な包帯だらけの左腕をあげて包帯を見つめる


2人の姿をみてとうとうデュードさんは堪えられなくなって涙が溢れてこぼれ落ちる



そう、だよね

デュードさん、レーン、ベディヴィア、ソル

みんな、救えるなら救いたいよね



出来ないというのは簡単だ

このまま逃げ出してしまえばいい



でも理由も聞かず、ここまで良くしてくれた人達だもん

自分が後でどう思われるかなんて些細な事だよね


私はそっとソルの手を握った


「みんないい人たち・・・だね」


「・・・おう、俺もそう思う。いつも笑っててお互いを頼りあってる」



ぐっとソルを引き寄せて首に手を回してぎゅっと抱きついた

小さい声で囁く


「また逃げる事になったら、ソルは残ってもいいよ」


一瞬ビックリしながらも、ソルはそっと私の背に手を回して

ぎゅっと抱き締めてくれる



「バカだろ、俺はヴァイスに着いていく。来るなって言われても」





すぅっはあーーっ


ソルを離して大きく深呼吸をする



「デュードさん!」


気合いを入れるように大きな声でデュードさんを呼ぶ



「へっ」


ビクッと肩をあげるデュードさん



「魔力を爆発的に回復できるような薬ってないですか?今みたいに徐々にでは無く、こう・・・ぶわって!」



「え・・・あ、あるには・・・ある、けど」



「あるだけ出して、ベッドに置いて下さい」



ビックリして私を見つめる2人にツカツカと歩み寄って

ベディヴィアさんの目を真っ直ぐ見つめる



「ベディヴィアさん、私ベディヴィアさんの命なんて要りません。その代わり全部終わったらその包帯の事、全部教えて下さい」


今度はレーンを真っ直ぐ見つめる


「レーンさん、これが終わったらすぐにベディヴィアさんのお子さんのいる御屋敷に連れて行ってください」



カチンとビックリして固まってるみんな



パンパンっと手を叩く


「ほら!デュードさん早く!!」



私はベッドにあがってルティーナさんの傍に行く



「おっおい!ユーリ?!大丈夫なのか?!」



「わかんない!でもさ、このままなんて無理、何か出来るならやりたい!・・・私、ルティーナさんが知らない人に人形にされてるのなんて許せないの」


「や、やはりユーリ・・・君は」



「ベディヴィアさん、私が出来るのは外す事だけです。デレクの時は腕輪と首輪が身体の魔力に馴染む前でした。だから今、ルティーナさんの心がどうなってるのか私にも分かりません、それでもいいですか?」


「あ、ああ!頼む!」


決心が揺らぐ前に私はルティーナさんの手首を掴んだ


・・・あれ?なんにも起きない

腕輪ー!

出てきてー!



・・・ダメだ


あっあの時、確かプティが・・・



「ぴいっ!!」




いきなり大きな声で鳴くプティ

皆がプティに視線を動かす


「プティ!動けるようになったの?」




ぴょんぴょんっとベッドの上を跳ねて私の胸元に飛び込んでくる



ぱあっと赤い光がプティから溢れて私に入っていく

取り込んでた欠片はもうひとつもプティの身体に残ってない


『モット、タベル』


ハッキリと言葉になって私の頭に響く



『ボクノ、マリョク、アゲル、ハヤクコワシテ』



壊して?

ルティーナさんの腕輪と首輪?


『ココロ、タベラレテ、ナイ』


確か、2日前ちょこっと晩御飯時にベディヴィアさんに逢いに来てた時、ルティーナさんの鑑定に白い丸はなかった


付けられたのは昨日か今日ってこと?


プティの言葉が次々と頭に流れ込んでくる

もしかして食べた事で少し成長した?とか?

ルティーナさんの心はまだあるって事?


ねぇ、プティ

さっきの男の時みたいに腕輪と首輪、ルティーナさんの身体から出せるかな?

私じゃやり方がわからないの



『ヤル!タベル!』



「ぴ!ぴ!」




トロンっと胸の中でとろけるとルティーナさんの手首に絡みつく

数秒絡むと真っ白な光を手首が放つ



ゾワッと悪寒が走る


きっとこの部屋にいるみんなこの嫌な感じを感じてる

ルティーナさんの手首から真っ白なあの腕輪が出てきて白い光が収まる


プティがいそいそと今度はルティーナさんの首へ移動する


「ほ、本当に腕輪がっ」


ベディヴィアさんが絶句する


プティのおかげで、魔力も回復してる

大丈夫!怖くない!怖くないっ



ソルが震える手を私の腰に回した


「お、俺も付いてる。危ねぇと思ったらッ引き剥がす!!」



「待っ待てよ!それに触れる気か?!こんな禍々しい物・・・ユーリやめろ!」



レーンさんが叫ぶ



「私は大丈夫」




そう、ソルと2人で旅をしてる時も、ずっと考えてた

多分この魔術具は私の色の神様が消したいものなんだよ


この世界から


神様は7つの色の他にもう1人いる

私がいると信じてって夢の中で言ってた

なんの事か分からなかったけど多分私の色の神様はいる


優しい声のあの神様はきっと望んでこんなもの作った訳じゃない


男の人からプティが腕輪を出した時に頭をよぎった


だからきっとプティも生まれた

だから私は人を鑑定できるギフトを貰った


そう思い始めてる



「ルティーナさんを返して」



ぎゅっと握って力を込める



パキンっ


と割れて手首から外れる


ゴッソリと魔力が抜けていく



「ゆっ、ユーリ!早くこれを!」



冷汗がどっと流れる

震える手でデュードさんから瓶を受け取って勢いよく飲み干す



強いお酒を飲んだ時のようにクカッと喉が熱くなる

げっ、これお酒??



涙目でデュードさんを睨む

まるで喉が燃えてるみたい


「い、言う暇無かっただろ?まあ、沢山は飲まない方が・・・」



軽く睨みながら態度でもう一本っ!と手の平を突き出す


もう一本グビっと飲み干して瓶を落とす

魔力がゴッソリ持っていかれて気持ちが悪いのと体の奥から燃え上がるような魔力がぶつかって何が何だか分からない身体


心臓が激しく脈を打つ



プティはもう反対の手首に絡みついてる


ソルの時、片方壊しただけで、もう片方もこわれたはずだから身体から出れば腕輪はもう大丈夫なはず



首輪から出る嫌な感じにゾワゾワしながら触れられる場所に動こうとするけど上手く身体が動かせない


ソルがそんな私を見かねてぐっと抱き上げ、首元へ連れていってくれた


「あっありが、とぉ」



麻痺したみたいに口も上手く動かない



「1回休んだ方が・・・」



「やっ、今、やる」



すやすやと眠るルティーナさん

とても操られてるようには見えない綺麗な寝顔


今、解放するからね


首輪に手を当てぐっと力を込める


本物のルティーナさん帰ってきて




パキンッと割れる



「ゴホッ」



魔力がまたゴッソリと抜けて行って気分が悪い


吐きそう!

でも吐いたら飲んだ薬を吐き出してしまう

必死に両手で口元を抑える



プティも手首から離れ、反対の手首の腕輪も


パキンッ


と音を立てて割れた



これで取れた

3つともちゃんと取れた!


よかった

本当に良かった

私も気を失ってない


ベディヴィアさんがルティーナさんの元へ駆け寄り頬を撫でる



湧き上がってくる魔力と気分の悪さでガタガタと体が震えて止まらない

ソルが私を抱える



「本当に大丈夫か?今ユーリ変な感じだぞ」


凄い心配そうに私を抱いたまましゃがむ



『吐イテ、ボクノマリョク、アゲル』



いきなり私の顔にプティが飛び乗ると私の手を押しのけ口の中に入ってくる


我慢出来ずソルの胸を押して、床に胃の中の物を吐き出す


ちょっ無理やりすぎるでしょ!

吐くなら他の場所が良かった!!



案の定薬を吐き出してしまったので気分が悪くなるのが一気に加速する



プティは私の胸に飛び込むと、先程のように暖かい光を出し

その光が私に入ってくる



あっこれ、気持ち悪くない



プティのおでこの水晶のような石から魔力が溢れてる

真っ赤な瞳がニコッと弧を描く


『ボクトヴァイスハ、オナジマリョク』



今では真っ赤で半透明なプティの姿を見慣れてるけど、元々は私と同じ真っ白だもんね


ありがとうっプティ



ぎゅうっと抱き締める



身体に何も違和感が無くなるほどプティから魔力を貰ってしまった



プティは大丈夫?

辛くない?


『ボクタベル、マリョク、イラナイ』



そう頭に流れ込んでくると光が収まってぴょんっとルティーナさんの眠るベッドに登る



ソルの手を借りて立ち上がる



「もう、大丈夫そうだな・・・プティすげぇ」



ベッドの上で嬉しそうに跳ねながら全ての欠片を体の中に取り込んでいた


「ぴっ!ぴっ!ぴぃ〜!!」




『ヴァイス、ノベッド』



ん?


「プティどうしたの?」



『ヴァイスノベッド!』




連れてけって事?


「ぴいっ!」



手を伸ばし、全ての欠片を抱え込むたぽんたぽんのプティを抱き上げて私が使っている窓際のベッドへ連れていき、そっと枕に乗せる



『イタダキマス』




シュワシュワと炭酸飲料が弾けるような音を立て始めると

プティは動かなくなった



ついてこないってことだよね

いい子にしててね



「プティは本当はギフトじゃないんじゃ・・・」



デュードさんが私を心配そうに見つめながら小さな声を零す


私はニコッと笑って否定はしない



「レーンさん、私をベディヴィアさんのお子さんのいるお屋敷へ連れて行ってください」



ルティーナさんが首輪と腕輪を付けられてるならベディヴィアさんの子供達にも何かあったかもしれない


「私とレーンさんで行って子供達をここに瞬間移動で連れてきます」



私は窓を開けてレーンさんを見つめる



「レーンの魔法じゃ俺ついていけねぇんだろ?そんなのダメだ!俺も行く!」


ソルが私の腕を掴む

レーンさんの魔法は目にも止まらぬ速さで移動できる

空高く上がって行けば貴族街への門も通らずに済むはず

その代わり人1人抱えるのが精一杯だと聞いてる


「敵が何者かもわからない、子供達もどんな状態なのか分からない・・・なのに、俺と2人で突っ込む気か?」



レーンさんの視線が怖い

起きた時の心配してくれた優しい瞳と違って今は

“お前は何者なんだ”

と疑惑の瞳に変わってる



流石にちょっと傷付く

でも毅然とした態度で落ち着いて言葉を紡ぐ



「はい。腕輪と首輪を外した事をルティーナさんを従わせていた人物に気付かれる前に子供達の安全を確保するのが今しなければいけない事だと思います」



「そうだな、ルティーナが素直にあの腕輪や首輪に触るはずがない、人質に取られている可能性もある・・・か」



ベディヴィアさんは立ち上がると真っ直ぐ私を見る

私もコクンと頷く


私も子供達を引き合いに出されてルティーナさんが自分で付けたんだと思う

でもそんなに首輪や腕輪には数が無いはず、ソルの時も私の分がなくてすぐに取り寄せろ、って言ってたし

子供たちは付けられてはいないと思う



「レーンと2人で行って場所を覚えたら、1度瞬間移動でここに戻り、デレクを連れて行け、デュード、ルティーナとプティを頼む。もし我が兄の屋敷に何者かが居るなら排除せねばならん」



そう言うと出入口のクローゼットへ歩いて行き、木箱を3つ持って私とソルの前に歩いてくる


「この街に来た日ルティーナが服屋でコソコソしてたの覚えているか?貴族街へ行く可能性を想定して服を準備させていたんだ。それぞれ着替えてくれ、ユーリはどちらを選んでも構わない」



「でも・・・」



「屋敷の中を歩くのにその格好だと、動きずらい。今夜は父の屋敷で夜会が開かれる。行くつもりなど無かったが、私とレーンは正式に招待されている、私とレーンは正門から堂々と入る。夜会の開かれる1階の奥のホールで落ち合うとしよう」



「げっ、カルカロフ侯爵が?俺がそう言うの嫌いだって知ってんだろ?なんでわざわざ・・・」


「ああ、今思えば不自然だ。何かあったのかもしれぬ、普通であれば必ず兄一家と私の子供達も参加するはずだ。居なければ隣の兄の屋敷を探そう」



私が受け取った木箱は2つ

それぞれ開けてみると、ドレスと髪飾りのセットが入ってるものと

燕尾服を華やかにしたようなものだった



男の子スタイルか、女の子スタイルって事か


私は迷いなく男の子スタイルを手に取る



「私とレーンも準備しなければな、ルティーナが一応取っている隣の部屋わかるな?そこでユーリは着替えてきなさい15分後に戻って来てくれ」




ベディヴィアさんとレーンさんがマジックバックから服を出していく



「では15分後ここに来ますね」




私は瞬間移動で隣のルティーナさんの部屋へ行く




初めての貴族の夜会

2人の子供を御屋敷から逃がす事だけに集中しよう




プティのおかげで少し身体がだるいくらいで、魔力は大丈夫だ

気味が悪いって思われてもいいから

私が出来ることを全力でやる


みんなの前で無理に子供らしく振る舞う事も、もうしない


何も言わず手を差し伸べ、私達の為を思って行動してくれたベディヴィアさんを、ベディヴィアさんの家族を、救いたい


私はさくっと着替える



あ。バッグの中の使って()()作っとこっと




いそいそと思いたったものを作りながら

私はこれから起こる出来事で予想出来る範囲で思考を巡らせた




全部終わって、ベディヴィアさん達


みんな救ったら・・・





この街を静かに離れよう





そう、心に決めて・・・










ちょっとでもいいぢゃん!続き気になる・・・かも!

って思ってもらえるようがんばりまっす!

評価などしてもらえたら

飛び跳ねて喜びます!!

よろしくお願いします!

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