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16・ソルの声



ドサッとベッドに倒れ込んだ体制のまま地面に落ちる




「いたたた」




思いっきりアレクを下敷きにしたまま飛んでしまった

直ぐに体を起こしアレクに向かい合って座る



「ごっごめん」




「いや、大丈夫。危なかったな」




頭を擦りながらアレクはほっと息を吐き出す

何が危なかったんだろう?

と頭を捻ると



「あのままどこか掴まれてたら、絶対ヴァイス眠らされてた。あの人一瞬であの子の記憶覗いてたから、飛ばれる前に眠らせるつもりだったはずだよ」



そうだとすれば

誰にもソルの事を助けてとも言えないままだったかもしれない




「あっありがとう!」



また涙がポロッと瞳からこぼれ落ちた



「っいや、だからさっ!さっさと見つけて部屋に飛んじゃおう」



泣き出す私にあたふたしながらアレクはクイッと私の帽子の鍔を下げる



「後で一緒に沢山怒られよう、あの子はもう大丈夫!あの人医者として凄いからさ」



ぽんぽんっと優しく頭を撫でてくれる



ガサッガサッ「ーーー。ーー?」



まだ6歳のアレクに慰められてると

人の話し声と足音が聞こえてきた


2人で顔を見合わせ涙をぐっと拭いて息を潜め、木の影から足音のする方を2人で覗き込む




「本当なんだってば!いきなりちっせえガキが空から降ってきてあのゴミを連れて消えちまったんだって!」



「その後に見えない何かに俺たちボコボコにされたんだ!」




ドルゴとガルドが必死に説明している声が聞こえてきた




「ここだな、チッガキに任せるじゃなかった」




ガタイのいい灰色の髪をした短髪の男の人がぬっと草陰から出てきた




_______________

マルド

37 ♂ 9.7 black

ナルシド商会に雇われている傭兵

人身売買を専門としている

_______________




人身売買が専門?

そう言えばソルは親方は鍛冶屋って言ってた気がするけど、さっきからナルシド商会って言葉が何度も出てきてる

多分ソルは鍛冶屋だと言い聞かされてたんだ



男の後ろから2人の子供も姿を表す




クイクイっとアレクに裾を引っ張られ私は覗き込むのをやめてアレクを見る



アレクは人差し指を立てしーっと私にジェスチャーして手に持ってた帽子をかぶり、ローブを指さした後地面に投げられたままの私のカバンを指さす


『持って』



口パクでそう言うと

行くよとでも言うように手招きする



移動するってことか



出来るだけ音を立てないように鞄を拾い、身をかがめたまま黙ってアレクについて行く




10分ほど隠れながらあの場から離れるとようやくアレクが止まった




「このぐらい離れたら大丈夫かな?」




そう言ってても声はひそひそと沈めたままだ


「なんで離れたの?あのままついて行った方が良かったんじゃないかな?」




私も声を落とし、小さな声で聞く




「いや、あの人魔力が身体から凄い溢れてた、手練だと思う。考えてる事もめちゃくちゃだったしたぶんあのままあそこに居たらすぐに見つかってたと思う」




そう言いながら木の影でマントを羽織るアレク

それを見て私もずっと手に持っていた鞄を肩にかける



「考えてる事が分かるの?」



あっしまった

という顔をした


「うん。たまに分からない人もいるけどね。身体から出る魔力が多いほど考えてる事が魔力に出ちゃうからそれを見たり、感じたりするんだ」





魔導眼はリアムさんの魔眼と違って考えてる事が分かるっていう目なんだ

アレクも凄い目をもってるんだな

良いなあ〜羨ましい


そんな事をぽやっと考えてると、アレクの顔が曇ってることに気付く



「大丈夫っヴァイスからは何も伝わって来ないから、だから心配しなくても・・・」



悲しげに揺れる漆黒の瞳

曇る表情に気付けばアレクの手を握っていた



「そんな事全然心配してないよ!凄いな、羨ましいな、なんて事を考えちゃったの。顔を見れば嬉しい事ばかりじゃないって分かった、こんなこと考えちゃってごめんなさい」



まっすぐ瞳を見て言う



「ん、いや・・・気持ち悪いでしょ?」




そう言われたことがあるんだろうか?



「全然!私なんて瞬間移動しか出来ないし・・・本当に凄いと思う!アレクの眼は真っ黒でキラキラしてて素敵だし!」



なんだか語彙力がなくて恥ずかしくなる

でも本当にそう思ってるし良しとしよう



少し頬が赤くなったアレクはサッと手を引っ込めてコホンと小さく咳払いをする


「まあ、とにかくあの男、色んな事考えてる中に建物のこと考えてるのもあって、ぐるっと回ってあの人達避けながら行ってみよう。もうしばらくヴァイス達の事探してると思うから」




「分かった」





私は、はいっと手を差し出す


「瞬間移動でサクッとあの人達避けながら行っちゃおう」





「分かった、あと、ここからはどこで誰に見られるか、聞かれるか分からないからアークとヴァン呼びで行こう」



そう言うと私の手をぎゅっと握ってくれる



私は頷き、視界でココ、と決めた場所に瞬間移動を繰り返しぐんぐんと進んだ






__________





「ここにはいないっぽい・・・ちょっと待ってて」





20分ほど進んだところに大きめの木でできた倉庫のような建物があり、そばに見張り役なのか1人の男が出入口に立っていた



鑑定さんも名前と生年月日だけでこれといった情報はない



その男にアレクは欠伸をしながらテコテコと歩いて近づいてく

目を丸くしながら草陰から何時でもアレクのそばに行けるようにハラハラしながら見守る



「なあなあおじさん!ドルゴにすげぇもん見せてやるって言われたんだけどここじゃねーの?」




いたずらっ子のように堂々と見張りの男に聞くアレク



「アッ?ンなもん俺が知るか」




「やっぱりな!アイツは嘘つきだって街中に言ってやる!ありがと!」




男に手を振り駆け出そうとした




「まままっまて!!えっと・・・ドルゴが今日見せるって言ってたんなら多分店の方だ!俺のせいでそんな噂広げられたら堪んねぇよ」




「店?」




アレクの瞳がじっと男から逸れない

考えを読み取ってるのかな?




「アァ。街の外れの方な」





「めんどくせーなぁ、分かった行ってみる!」


フリフリと男に後ろ手に手を振り草むらに駆け込んだアレクの側へ私も瞬間移動する



「アレク凄い!」





アレクは私に手をぱっと差し出す

私も迷うこと無くその手を握り、数回飛んで倉庫のような建物から離れる




「あー緊張した」




「場所分かった?」



「うん、考えてる事分かるけど魔力が弱い人はある程度近づかないと読めなかったからさ」




ニカッと笑う頬を汗が伝う

きっと緊張してたからだろう



「燃えるような髪色の獣人の子、あの人見掛けてたよ。街に行こう」





ごくんと唾を飲み込み初めての街にドキドキしながらギリギリまで瞬間移動で動いた




________________









「ねぇねぇおばさん!ナルシド商会のお店ってどこ?」





「まあまあ、綺麗なブラックさんとブルーさんだこと。それなら1本隣の大通りの・・・」




「ううん、街の外れの方のお店に来いってドルゴ達に言われたの」




「街外れの方は行かない方がいいと思うけどねぇ、でもあそこの息子さん知ってるなら大丈夫なのかねぇ?」




優しそうなおばあさんに街の広場で話しかけ2人で聞いてみる

心配そうに目を細めた後、おばあさんは行き方を教えてくれる



2人でありがとうと声を揃え走ってその場を後にする



「街に来るの初めてなの」




「僕も子供だけで歩いてるなんて変な気分」





街は素敵なレンガ造りの建物で溢れていた

建物どうしが隙間なく並び、3階建てのものや5階建てのもの

教会のような作りの大きな建物もある

中世のヨーロッパの街並みのようでイギリスを思い出し懐かしい気分になる

大通りはレンガで舗装され馬車がたくさん行き交う

でも馬ではなく馬のような見た目だか、ふた周りは大きく足が太い生き物が1匹で大小様々な馬車を引いている


建物からぶら下がる看板に文字はなく、絵が書いてある


心躍るような景色だけど、ソルのことを思えばゆっくり景色を見てる場合でもない




ひたすら走る




周りの建物がさらに古く、崩れかかってるような物が目につき始め、人通りがグッと減ってきた



はあっはあっ


息を整えるためか、前を走るアレクが歩き出したので私も歩き出す




はぁっ、はぁっ





アレクが細い路地に入り周りを気にしながら止まり、私に振り返るとローブを取って私に着せた




肩で息をしながらなに?と目で問いかける


身体が重い

もしかしたら沢山瞬間移動したから身体に疲れが見え始めてるのかもしれない



続いて手袋を脱いで私に差し出す




「ここからは1人、透明になって行こう」




「な、んで?」




アレクじゃなくて私?



「ヴァンの姿は一度子供たちに見られてるから、まだ誰にも見られてない俺が見える方がいいと思う」




アレクはまだ6歳なのに考え方が大人で、冷静だ



素直に感心しながら私は頷き、手袋を付けて灰色のローブを深く被る

すると視界がローブで見えなくなったと思ったらスっと透明になった




私はアレクの手を握る





「こうなってる間は手を離さないから」





アレクもギュッと握り返してくれ、2人で歩き出




『いたい』






ドクンと心臓が跳ねた





手を引き歩こうとするアレクの手を掴んだまま私はその場で固まる





『たすけて』





キーンと耳鳴りが鳴る

片手で頭をおさえる




『いたい』




『くるしい』






頭の中に直接声が聞こえてくる不思議な感覚に視界が歪む





「ヴァン?どうした?おいっ」





アレクは私のフードをめくり私の肩を掴む




頭が痛い






『るなをたすけて』



『ゔぁん』





ふっと耳鳴りと共に声が収まると

私はその場に崩れ込む




涙が勝手に溢れて止まらない



「ソルがっ、ソルの声がっ頭にっ」






自分の痛みを我慢する子だ

今だって

いたいって!くるしいって!

それなのに



妹の心配してる




リアムさんが助けてくれてる

ルナちゃんは大丈夫


だからね?ソル

ちょっとでいいから自分も助かろうとしてよ

たすけてって言ってくれたら

助けに行くって


そう言ったよ



「ヴァン・・・大丈夫?」



フラっと立ち上がる

アレクとつないだ手を一度離して両手でなみだを拭う



「ごめん取り乱しちゃった、アーク行こ







視界が変わった






同時にとんでもない異臭に襲われる



真っ暗な空間にいる




困惑しながら口と鼻を押さえる

さっ、としゃがんで周りをキョロキョロと見渡す

え?私どこに来たの?

身体の中の感覚で瞬間移動した事は分かったけどこんな場所知らない


とりあえずフードを被って透明になろう


パニックで心臓がうるさい



片手でフードを引っ張りながら手を伸ばして壁を探して少しづつ進む




怖いっ



赤い光が遠くで揺れている



目が慣れてくると壁だと思ってたのは木箱で、沢山積んである部屋のようだ。赤い灯りが揺れる中木箱の隙間を縫うように進んでいく





あかりに近づくと見覚えのある真っ赤な髪が見えた




ソル!!




駆け寄ろうとした瞬間




ギギギギギィィィイイ




と重い扉が開くような音が、

扉のある方だろう

光が入り込んでくるがソルのいるこの場までは木箱で防がれ光が届かない


息を殺し、木箱の影にしゃがむ



早くソルに触れたい

飛んで早くこんなところ出たい

こわいこわいこわいっ





息をするのも辛いほどの異臭の正体を私は気付かないように必死に意識をソルにだけ向ける



大丈夫

ソルは血を流してない

うつ伏せに倒れてるけど背中が動いてる

息してる!

大丈夫

大丈夫っ





なんとも言えない恐怖で足が震える

ソルは生きてる

大丈夫、と自分に必死に言い聞かせる



「まだ抵抗してるな」




コツコツと2つの足音がソルに近付き止まる



灯りはソルの上の壁についてる蝋燭だけ

真っ暗な影になってて細身で背の高い後ろ姿と小太りで低めな後ろ姿だけが見える



鑑定さんはまだ反応しない


もしかすると顔が見えないと鑑定は出来ないのかもしれない



ドッドッドッドッ

と自分の血の流れる音がやけに聞こえる





「おいナルシド。お前が情報を漏らしたのか?あと数日でこんな手間と金などかけずとも優秀な駒になっただろうに」



「もっもらすはずがありませぬ!私めは汚いゴミの弟まで飯の面倒みてたぐらいです!いきなり領主様に濃いレッドの獣人の子供を探せと言われた時は殺される思いで誤魔化したんですぜ!」




小太りなシルエットがナルシド商会のボスっぽい

その人が敬語を使っているから多分あの背の高いスラッとしたシルエットの人がソルが言ってた3日に1回来る旦那様というひとなのかもしれない

と頭の中で考える



あと数日でこんな手間かけなくて良かったって事はやっぱりソルの事を騙して利用するつもりだったのか、と

怒りで少し恐怖が濁る




「ナルシドの親方ーっ」



扉がある方から聞いた事のあるダミ声が響く




小太りなシルエットは離れていく



すると細長いシルエットの男はしゃがむ



「抵抗するのはよしなさい、抵抗しなければ弟の命までは取らないと約束しましょう・・・いや、妹の命ですかね」




蝋燭のあかりに照らされ

不敵な笑みを布で押えた横顔が見える




_______________

マルロド・マールバラ

38 ♂ 9.11 magenta

マールバラ子爵家当主 ナルシド商会所有者

ダイヤトモンドシティ経済部責任者

_______________




「そうそう、その調子だ」



「ゔぅぅゔう」



男は立ち上がると足でうつ伏せに伏せてたソルをゴロンと仰向けに転がす



苦しそうに唸るソルの首と手首には白い枷のようなものが付けられていて

それがゆっくり赤く染まり始めてるのが遠目に見えた



その白い枷がハッキリと見えた瞬間

ゾッ

と全身が震えるほどの悪寒に襲われた



あれはヤバい!

絶対ヤバイ!!

今すぐ取らなきゃ!!!


本能が、第五感様が、早く取らなければと私に訴える



今すぐにでも取らなければっ!!



頭にはそれしか考えられなかった

私はフードを深くギュッと力を込めて握り込むと

ソルのすぐ側へしゃがんだまま瞬間移動した




手がソルに触れる



部屋へ!!





・・・??





視界が切り替わらない





なんで?とソルの足を見ると鎖が巻き付き結ばれ、その鎖は壁に繋がれていた


誰かに掴まれてたら1人では瞬間移動できなかった



物理的に繋がれていても瞬間移動できないの?

鎖の中の足まで、と意識してもう一度飛ぼうとするけど飛べない

ソルの身体を一緒にと考えるのに

抵抗されてるような不思議な感覚に襲われる



そばに立ってる細身の男は私が目の前にいても気付いてない

汚いものを見る目でソルを見下ろし、クククと笑っている


大丈夫まだバレてない



ならせめてこの白い枷だけでも取らなくちゃ

この白い枷から感じる得体の知れない恐怖に歯が鳴りそうになりながらソルの左手の枷に触れようと手をのばす





ゴッ



「かはっ」






身体が吹っ飛び木箱にぶつかり衝撃で木箱の山が崩れ、壊れる






「おめえが坊ちゃん等ボコッたガキか」




しゃがんでいたので胸の当たりを思っきし蹴られた

うまく息ができない。もがくように息を必死に吸い込み

横に胃の中のもの全て、咳と共に吐き出す


今すぐにでもここを離れたいのにイメージが、できない

酸素を求めて必死にゼェッぜェッ、ともがく









さっきの聞き覚えのあったダミ声

涙で潤む視界で森の中で見たマルドが不敵な笑みを浮かべながら仁王立ちしていた







ちょっとでもいいぢゃん!続き気になる・・・かも!

って思ってもらえるようがんばりまっす!

評価などしてもらえたら

飛び跳ねて喜びます!!

よろしくお願いします!

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