14・共犯者
「お嬢様。姿勢、崩れてますよ」
今日は授業2日目
昨日は全然勉強という勉強はせず
あらゆる言語の本を読まされ(なんでも読めました・・・)
あらゆる言語を書かされ、(なんでも書けてしまった・・・)
夢に出てくると言ってしまった
ソルとルナン君のことをしつこく聞かれて
夜ご飯の時間になってようやく解放された
しつこく聞かれたけど詳しくは、話してない
ソルが獣耳を持ってる私と同じぐらいの男の子、髪が赤くルナン君と言う弟がいる、という話しかしていない
その時ついでに7の神の日について聞こうとしたら、「そのうち授業で話します」と断られた
今はお昼ご飯中なのだが、リアムさんに「食事の際も一つの授業と思ってレゼルからマナーを学びなさい」と言われたので
レゼルちゃんに教えてもらいながら食べてる・・・けど!
「お嬢様?もっと手の力を抜いて下さい?優雅に、を意識して下さいね」
前はさ、日本とイギリスとのハーフだったからさ
小さい頃海外に住んでたこともあったし、ナイフとフォークの使い方は完璧なのよ
でも、フルコースばりにフォークナイフ沢山並べられるとさすがに緊張してしまう
たぶん、外からだったはず・・・
と恐る恐るレゼルちゃんをチラチラ見ながらなんとか食べ終わる
「そうですね・・・。50点と言った感じでしょうか?」
お皿を片付けながらレゼルちゃんはニコッと笑う
「えっと、100点満点で?」
「です」
道のりは長そうです・・・
「フォークやナイフの使う順番などは合ってるので、あとは姿勢と。スプーンの使い方やナフキンの使い方。こまかい事は多々ありますがまずは固くならず、優雅に食べる事を意識しましょう」
「はい・・・」
お貴族様って大変そうだ・・・
_______________
「本日から授業となっておりましたが、文字の習得はしなくて良さそうですし。アレクシスは少し前から先に学んでますのでヴァイスお嬢様にはこの本を、アレクシスにはこれを」
リアムさんの手からそれぞれ手渡される
「御父様、これは?」
アレクシスくんが渡されたのは手作り感のある表紙のない分厚い紙の束を紐でまとめたものだった
「私が直接書き込み、簡単にまとめたものです。アレクシスにはしっかりと読んでおいて欲しいのです」
「はい!」
アレクシスくんは目をキラッと輝かせながら嬉しそうに腕に抱く
昨日の“あの人“発言があったから嫌ってるのかと思えば、そうでも無いらしい
アレクシスくん謎だ
「ヴァイスお嬢様・・・そうですね、先生ですしこれからはヴァイスと呼びましょうか。ヴァイスにはこの国の歴史が物語にしてあるものを選びました」
「ありがとうこざいます」
本を読むのは元々好きだったし、物語になってるなら読みやすそう
「本日はこれらを最後まで読んだら、自由にして良いこととしましょう」
うえっ
結構分厚いよ?
今日読み切れるのかな?
「私は少々手が離せないので2人で仲良く本を読んで過ごしてくださいね?4時頃紅茶をレゼルに頼んでおきますので」
布越しだけど冷ややかな目で私を見てるのが伝わってくる
そのままリアムさんは部屋を出ていくと廊下で待ってたであろうレゼルちゃんがガチャリと鍵を閉める
アレクシスくんは鍵が閉まる音を聞くとそそくさとソファーセットの方へ行ってしまった
私は勉強用のテーブルに持っていき小さい体にしては大きめな本を開く
あ。思ったより字が大きいから今日読み切れるかも
私はほんの世界へ引き込まれた
____
4分の1ほど読み進めた頃、固くなった背中を伸ばす
若い2人の仲のいい青年が後に勇者と王様になり、
困難に立ち向かいながらこの国を作っていく
なかなかハードな建国記
そんでもって100%この勇者さんは前居た世界の記憶を持った人だと断言できそうな内容だ
私も当たり前のように使って過ごしてたけどこの本を読んで気が付いた。トイレが水洗式だし、水道を捻ると水もお湯も出るし、シャワーだって着いてる。部屋の電気もスイッチ式、原動力が電気かどうかは分からないけど私がいた世界の物の形に限りなく近い
そしてこの形にしたのはこの国を作った王様に様々な助言をした勇者らしい
伸びをしたついでにチラッとアレクシスくんを見る
パチっと目が合った
「もう読んだの?」
「まだ半分。」
「早いね!私なんてまだ4分の1ぐらい」
「4ぶんの1?」
あっ分数とか分からない感じかな?
「半分の半分ぐらいって事」
テーブルの隅に置いてある薄い水色の紙を数枚とインクと筆ペンを持ってアレクシスくんの座ってるソファーへ行く
線を書いて簡単に分数の説明をする
「この線を4つに分けてここまでだと4分の1って考え方になるの」
「なるほど・・・君は変わった考え方をするんだね」
「そういう計算方法なの。分数っていうの」
超基本的な計算問題を投げかけてみようかな?
「足し算は分かる?」
「足し算・・・計算とかは学校に行ってから習うものだろう?」
おっふ
日本では幼稚園とか小学校ですぐ習ってるものだよね?
こっちでは何歳から学校へ通うのだろう?
「学校って何歳から行くものなの?」
「12歳になる年から3年。魔法院や騎士校、貴族院へ行くならもう2年か3年だったと思う」
結構勉強のスタートが遅いんだな
「って、なんでしれっとこっち来て話してんの!僕は仲良くなりたくないって言ったじゃないか!」
ハッ!と気付いてしまったアレクシスくんは私から離れようとリアムさんお手製の本を持ってテーブルの方へ逃げてしまった
ちぇっ
しれっと仲良くなれたらいいと思ったんだけどなぁ
「・・・あの人は、僕が渡したのは濃いピンクで花の刺繍がされたリボンだと思ってるから。」
こっちを見ないまま言い放つ
なるほど、もし聞かれたら話合わせろってことね
「分かった、もし聞かれたらそう言うね」
そう答えるとまた沈黙
はぁ。
続き読もっかな?
私はソファーから立ち上がりテーブルへ本を取りに行く
「君、もっと僕を嫌ってる態度とらないとだめだよ」
視線を本におとしたままぶっきらぼうに言うアレクシスくん
チラッとアレクシスくんの上に浮かぶ文字を見て、なんで嫌われたいのか当ててみる
「このままだと婚約者にされてしまうから?」
ガタッ
「なっなんでっ!!知ってるんだ!」
「やっぱりね」
驚いて立ち上がったアレクシス君は、しまったと口元を抑える
「私から嫌われたくて、一般的には嫌われるような手土産渡すんだもん。シンプルに婚約者候補なのかなって思っただけ」
正直鑑定さんがなかったらわかんなかっただろうけど
「もし、お父様に聞かれたらちゃんと断っておくから、だから普通にしてくれると嬉しいな」
キッと私をひと睨みにして黙ったまま椅子に座り直し本へ視線を戻した
その態度だけで、仲良くしたくないと
ハッキリ伝わってくる
普通に仲良くしたいだけなのになあ
「ねえ、私って本物の神無しでしょ?」
アレクシス君が昨日言った本物の神無しのくせに、という言葉に引っ掛けながら私はアレクシス君のすぐ隣へ椅子をずらす
何をしてるんだと不思議そうな目で私を見る
「神無しは、神から色を貰わなかった、全身どこを見ても魔痕が無い、だから魔法も使えない。魔法を使う為の色を神様から貰えなかったから・・・」
私は言葉を続けながらアレクシス君のすぐ隣へ座って戸惑う漆黒の瞳をまっすぐ見つめる
「だから生きていてはいけない。殺さなければいけない存在だと、そう言われてる」
ごくんっ
とアレクシス君は唾を飲み込む
困惑した瞳が私の瞳を捕らえて離さない
「君は・・・それを知ってたの?誰も教えていないはずなのに、どう・・・やって・・・?」
実質、私は今アレクシス君の弱みを握ってる
この子はリアムさんに婚約者になりたくない事を知られたくない
単純に脅せばいいのかもしれないけど、出来ればそれはしたくない
ただでさえ知ってる顔は少ないんだ
私は敵を増やすんじゃなくて
仲間を増やしたい
この子を共犯者にするなら
私もこの子に弱みを見せないと、対等な立場にはなれない
だから私から距離を取って自分が下の立場にいる事に気付かれないように強くいるように振舞ってる気がする
私は何としても明日の午前中自由に動きたい
「私は本物の神無し。きっと今まで神無しは殺されてきたから、誰も神無しについて本当の事は知らなかったんだと思う」
すうー・・・はあー・・・
よし、覚悟を決めた
しっかりと目を合わせて私を見ていることを確認する
次の瞬間私はベッドの上へぽふっと瞬間移動した
「神無しも魔法が使えるの」
ぽかんと口を開けたままベッドの上の私を凝視して数秒固まった後、アレクシス君はばっ!っとベッド横のベルを見て駆け出す
いやっ!え?!
そうくる?!
ベッド横の呼び出しベルに手が届く前に私はアレクシス君の目の前に瞬間移動する
「わあっ!!」
いきなり目の前に現れた私に驚いて尻もちを着く
「いやいや!せっかく秘密を教えたのになんで人を呼ぼうとするのよ!」
「きっ君はきっとあそこの水差しになにか毒を盛ったんだ!!げっ幻覚だ!!」
はあぁぁ?!
流石にムカついて、瞬間移動でぱっぱっと一瞬でアレクシス君の飲んだ水差しとコップを手に持って目の前でその水をゴクゴクと飲んでみせた
「何にも入れてないよ!馬鹿!」
「だっだってありえないじゃないか!」
「今目の前で何回もしたでしょ!それが事実よ!」
手に持ってた水差しとコップをまた、ぱっぱっと瞬間移動して元のテーブルにおいてアレクシス君の目の前に戻ってくる
「だって、色がないじゃないじゃないか!」
「それ、私ずっと不思議だったの。別に白色だってさ、立派な色の1つだと思うのに」
きょとん、とするアレクシス君をみて白色を説明するのは諦める
「とにかく!私は魔法が使えるの!これで私と貴方の立場は対等になったわ」
両腕を腰にあててふんっと威張ってみせる
「あっ・・・。だから君は・・・。」
私が言いたいことが伝わったのか、顔を赤らめてむっと私を見上げる
「別に!君が気付いてないと思って脅されないように!いや感じを・・・っ。」
言えば言うほど顔が赤くなってく
やっばい、かわいいな!おい!
美少年の赤面はやばいな!!
「いいの、わかってる。これで私達ちゃんと共犯者になれる?」
尻もちを着いたままの彼へ手を差し出す
「ん。」
ガシッと私の手を掴む
私はそのまま引っ張って立たせてあげる
「アレクって呼んで、2人だけの時は。でも!誰かいる時は声掛け禁止だから」
「わかったよ」
そこでアレクシス君はニヤっと笑う
ん?
「僕、――――――。」
「へ?」
そこから2人でこれからの打ち合わせをした
明日午前中自由に動きまわれるようにシナリオを考え、準備の為の時間を作る為、私はすぐにベッド横のベルを鳴らした
コンコンっ
ガチャっと扉が開く
「お嬢様っ!何か「昨日は我慢したけど、貴方なんか大嫌い!」
レゼルちゃんが扉を開けた瞬間私は声を張りアレクをどんっと突き飛ばす
「今すぐ出てって!!」
涙目でそう言い放ちベッドの中へ潜り込んで布団をかぶる
「ご、ごめんなさいっあっ明日また・・・」
「レゼルちゃんもアレクシス君も出てって!今日はもう何にもしたくない!」
レゼルちゃんもオロオロとしながら突き飛ばされたアレクの側へ行く
「おっお嬢様?」
「でてって!!」
心の中でレゼルちゃんに謝りながら
扉の閉まる音を待つ
「お嬢様・・・また来ますね」
ガチャン。
扉の閉まる音がしてそっと布団をめくる
「ごめんねレゼルちゃん・・・」
誰もいなくなった部屋の中呟く
明日ちゃんと謝るからっ
そう思いながら扉を見つめた
ちょっとでもいいぢゃん!続き気になる・・・かも!
って思ってもらえるようがんばりまっす!
評価などしてもらえたら
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よろしくお願いします!




