12・ギフト
「神無しの物を贈り物に選ぶのはすっごく失礼な事なんだ!だから君は怒って僕の事を嫌いになるはずだったんだ!」
ぐっと拳に力を入れて、今にも泣きそうな顔でわっと言い放つ
白いリボンは失礼な贈り物だったのか、だから1人で選んだって念を押してたのね?
「そんな泣きそうな顔で綺麗だなんて言うなよ!思ってもないくせに!」
「これ、すごく綺麗だよ?」
さっきの仲良くしよう的な雰囲気と真逆だ。ちなみにこの目は白色を見て嬉し涙が流れそうだっただけだし・・・
「嘘だ!この部屋には色が無いものなんてひとつだってない!本当の神無しのくせになんでっ・・・」
ついに潤んでた瞳からポロッと涙が零れ落ちる
「私、自分以外でこの色を見たのは初めてなの。すっごく嬉しかったよ?なんで嫌われたかったか教えてく
「だったらこうするっ!」
私が握っていたリボンをバッと奪い取ると握った場所から白かったベースも色とりどりだった花の刺繍も全てが真っ黒に染まっていく
「わっ!やめて!せっかく綺麗なのに!」
垂れてるリボンを私も握って引っ張る
「こんなのっ全部僕の色に染まってしまえばいいんだ」
「わわっ!わかった!わかったから!」
ぐすっぐすっと鼻を啜り、泣きながらじっと私を見る。手はぎゅっとリボンを掴んだままで、さっきよりゆっくりじわじわと黒く染まっている
「えっと、何が何だかちっとも分からないけど、他の人がいる時は嫌いなフリするから・・・」
ね?手を離して?
アレクシスくんはゆっくり手を離すと、私は半分くらい黒く染ってしまったリボンをぱぱぱっとまとめてぎゅっと抱き締めるように抱える
「あの、でもね?リアムさんはアレクシ・・・」
名前を呼ぼうとするとキッと私を睨む
「きみ、の記憶を見ちゃうと、そういうのすぐバレるんじゃないの?」
「あの人は僕の記憶は見れない・・・グスッ。僕も似てる眼持ってるから」
おおぉ。魔眼だったっけ?アレクシスくんも似た感じの持ってるんだ?いいなぁ・・・
「そうなんだ・・・ねぇ?嫌いなフリ・・・だけでいい?」
「グスッ。あと、何を渡したのかは内緒に・・・して欲しい」
レゼルちゃんにも見られないようにしなきゃなのね、おっけー
・・・あれ?もしかして、これ。自由時間をゲットできるチャンスじゃない?
レゼルちゃんは記憶を見られちゃうから内緒話や内緒のお願いは出来ないし、私が外に出てるなんて言ったら・・・出れなくされるのは間違いないもんね
アレクシスくんは記憶を見られないって言ったよね?
「ねぇ?私と友達にはなりたくないのよね?」
「ならない」
「じゃあ共犯者にならない?」
子供が好きそうな言い回しを頑張って考える
私は3日おきに自由時間が欲しい、それに協力してくれるなら彼が望むままに私は動くよ?
「私、この後から君の事を怒って避けるわ、そうして欲しかった・・・のよね?その代わり授業が無い日の、朝食のあとに部屋に来て欲しいの。リアムさんには『謝りたいから』って2人きりにしてくれって言って欲しい。私はどうしても1人きりの時間が欲しいの」
「でも僕はここに来たって君と仲良くなんか、したくない」
「私はトイレから出ないって約束するわ!この部屋で好きに過ごしてくれて構わない」
「トイレ・・・」
私の発言に少し冷静になったのか、まだ瞳は潤んでるけど泣き止んでくれた
「もし、そうしてくれるなら私はリアムさんの前できみが動いて欲しいように動いてあげる」
「・・・。わかった。じゃあ、人の前では僕に話し掛けないで欲しい」
あれ?それだけでいいの?
「あと、僕の事を・・・嫌いになって」
そう言って眼を閉じて涙をふき、深呼吸すると扉へ歩いて行った
嫌いになって・・・か。
多分無理だな。うん。
だってね、可愛いもん。
可愛いは正義なのですよ。泣いてるアレクシスくんも実に可愛かった
期待に応えられそうに無くてごめんよ・・・
私はベッドへ行き、アレクシスくんには見えないようにぬいぐるみの1つにリボンを畳んで収める
1人になった時にゆっくりじっくり見よっと
授業を受ける予定の机まで行って椅子へ座った
「・・・。ねぇ、何でか・・・聞かないの?」
扉の横へ立って壁に背を預けながら、ボソッと彼はつぶやく
「うーん・・・聞いたら教えてくれるの?」
「・・・。教えない・・・」
だよね
部屋に沈黙が流れる
いたたまれなくなって本が並んだ本棚まで行って1つ取って、机へ持っていく
「読めるの?」
多分読めないだろうなあ〜
「分からない」
開くとうっすら黒ずんだ白色のページで、オフオワイトのような色の紙に見たことがない文字が並んでいた
これも白色じゃないのだろうか?
「ねえねぇ、このページの紙は何色なの?」
何言ってんの?
って言いたげな顔で首を傾げると、フンっと顔を背けられてしまった
自分は質問するのに、私が質問するのには無視ですか・・・
ふぅ、と小さく息を吐いてまた目を通す
パラパラっとめくるけど、やっぱり見た事の無い文字なので読めそうもない
また1から文字を覚えなきゃいけないのかぁ・・・大変そうだなぁ、やだなあ
本当に鑑定とか欲しかった・・・
そしたらさ、文字も読めてさ?森の中でも大活躍間違いなしだったんだけど
“”ピキっ“”
こめかみに鋭い痛みが走った
「いっいたぁ」
本から手を離して両方のこめかみを手で包み、頭を抱え込む
なんか目も熱くなってきた気がする・・・
いや、熱くなってる!!!
目が焼けるような痛みに変わると私は目を開けていられなくなった
「いたいっ!!ねぇ!ベッドのっ横の!!!鳴らして!!」
椅子から転げ落ちて目を押さえながら痛みで叫ぶように言い放つ
レゼルちゃん!
レゼルちゃん!!
痛いっ
誰か助けて!!
周りが騒がしくなったけど私の耳には何も入ってこない
痛みがっ目が燃えてるのっ
「ヴァ・・・。ヴァ・・ス!!」
おでこにひんやりした感覚が当たると目を抑えていた手を剥がされる
「目がっ!!目がっ燃えてっっ」
目から何かが溢れて零れ落ちる感覚が頬を伝う
「何を考え・・・聞こえ・・・すか?!ヴァ・・お嬢・・・」
痛いっ手を離してっっ!とけてるっ?!とけてるの?!
あああぁっ目がぁっ
「落ち着きなさい!ヴァイスっ!!!」
頬を冷たい手が包み込んでするっと目にあたると熱を放ってた瞳が落ち着きはじめる
「何を…考えてましたか?」
少し後ろからリアムさんの声がする
乱れてた呼吸も少し落ち着いてきて、暴れてた私の手を掴んでた手が離れる
「文字が・・・。読みたい・・・って」
私は目を包む冷たい大きな手に手をのせる
「お父様・・・」
あぁ、この手は絶対おとーさんだ、おっきくていつも冷たくて、硬い・・・安心する・・・
痛みが完全に引いた
何だったんだろう?凄かった・・・本当に目が燃えてるみたいに熱くて・・・痛くて・・・
目が開けられるだろうか?無かったらどうしよう?何も見えないのかな・・・
目を開けるのが怖い
「まだ痛むか?」
弱々しく、でも優しくそう聞いてくれるおとーさん
「痛みは、引きました。でも・・・目が・・・無くなってたら・・・どうしよう」
声と一緒に手も震える
まだ、この世界でたったの7歳なのに・・・
盲目で異世界なんて・・・笑えない
「大丈夫・・・ほら、可愛い瞳を開いてごらん」
ひんやりした手が離れてく
私は恐る恐る瞳を開いた
髪が乱れて汗だくのおとーさんが優しく笑いかけてくれた
良かった・・・顔が見え・・・
え?
おとーさんの頭の上に文字が浮かんでる
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ランスロット・ディー・ダイヤトリント
28 ♂ 10.11 Blue
《王家の牙》ダイヤトリント辺境領現当主
王家にのみ従う 独立高貴族 由緒正しき勇者の血を持つ
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ええ?
ばっと振り返ってリアムさんを見る
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ウィリアム・ビー・バトラー
24 ♂ 11.29 Magenta×Black 魔眼
《王家の賢者》バトラー領当主補佐 底無き探求者
王の婚外子 大公四家のバトラー家へ養子に出された
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みっ見過ごせないくらいヤバい事書かれてない?!
第一名前がリアムじゃない!!えっ待ってっ!どういう事?
ぎゅっと1度目を閉じてまた開いてみる
やっぱり文字が見える
「ど、どうした?見えない・・・のか?」
おとーさまがオロオロと挙動不審な私を心配してる
それどころじゃないので、私はそのまま少し離れた所から私を見るアレクシスくんを見る
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アレクシス・バトラー
6 ♂ 5.10 Black(�)魔導眼
ウィリアム・ビー・バトラーが養子に迎え入れた
元ピジョネット家四男 ヴァイス・デア・ダイヤトリント婚約者候補
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なんかよくわかんないマークが増えた・・・
ってか息子は息子でも養子なのか!さっきのあの人って言い方気にはなってたけども・・・
えっ?さっきの痛みはコレが見えるようになる為に必要だったって事?
なんでこのタイミング??何度も何度も私色んな事考えてたしもっと欲してた時もあるんだけど?
こんなに痛いなら目覚める前にしててよ!死ぬかと思ったじゃないか!
訳わかんないぞ!!
「ヴァイス?」
おとーさんの声でハッと我に返る
「あっ・・・大丈夫。見え・・・ます」
むしろ見えすぎてます・・・はい。
ホッとおとーさんは笑うとばっと口を押さえた。そのまま無言で立ち上がるとトイレの方へよろよろと歩いて行った
首を傾げてるとリアムさんが説明してくれた
「瞳から凄い量の魔力が溢れていたので魔力酔いでしょう。他人の魔力を沢山浴びるととても気分が悪くなりますので」
そう言いながら私の前へ座ると熱を測るように額、首に手を当てる
「身体は・・・何ともありませんね?先程、文字を読みたいって考えたと言ってましたね?文字は読めましたか?」
紫と黒のオッドアイで探るように私を見る。顔が心配というより嬉々としてて少しムッとする
私ほんとに死んじゃうかと思うぐらい痛かったのに
その質問には答えず、すっと立ち上がって椅子に乗り、机に開いたままになってる本を覗き込む
あ。
さっきまでチンプンカンプンだった文字の上に日本語がふりがなのように付いてる
読める・・・
どうしよう・・・
読めないフリをした方がいいのかな?
「・・・読めるんですね?」
「すまない、戻った。・・・どうした?」
おとーさんが口にハンカチをあてたまま、空いてる方の手を私の肩に乗せる
「レゼル、本棚の下の方にあるグリーンの本を」
私は何も言わないまま、どう答えるべきか・・・
読めないって言った方がいいの?読めるって言っちゃってもいいの?
頭を回転させるけどどちらがいいのか、どっちの方が過ごしやすいのか必死に考える
たたたっとレゼルちゃんは走り、直ぐにリアムさんに渡す。リアムさんは本を開いて私の前に置く
さっきと文字の形が違う。
数秒、見つめるとまた文字の上に日本語で本文が全て訳された
うわぁ・・・。どんな言語でも読めるのかも・・・
おとーさんとリアムさんさんが私の反応を見て顔を見合わせる
「「ギフト・・・」」
2人の声が揃うと、2人は項垂れるように頭を抱えた
ちょっとでもいいぢゃん!続き気になる・・・かも!
って思ってもらえるようがんばりまっす!
評価などしてもらえたら
飛び跳ねて喜びます!!
よろしくお願いします!




