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11・漆黒の瞳





・・・寝れなかった。




昨日は散々な1日だった




リアムさん訪問もヒヤヒヤ、ドキドキの連続だった




絶対私が外に出てるってバレてるよね、やばいよね・・・

本格的に私の唯一の自由時間が奪われようとしてる


何とか3日に1回のお休みは確保したけど、ちょこちょこと部屋にこられそうで凄く嫌だ。居ない間に部屋に入られたらすぐばれちゃうんだよね・・・


どうにか出来ないかな・・・


せめて、ソルが仕事を始める10日後・・・1日経ったからあと9日か、それまでは今まで通り遊びに行きたいんだけど・・・





コンコン



「お嬢様、おはようございます。失礼致します」





ガチャっと扉が開くと既に起きてベッドの端に座る私を見て首を傾げるレゼルちゃん



「あら、本日は少し早めに来たのですが・・・早いですね?顔色があまり良くありません、眠れませんでしたか?」



いや、もうほんと、昨日は爆弾発言だらけで悶々としちゃってたから全然寝付けなかったのよ

寝付けなさすぎて、簡単な作りだけどお洋服上下一式を一晩で作り上げてしまった




「お勉強が楽しみすぎて、ワクワクしちゃった」




「まぁ!リアム様も張り切っていらっしゃいましたよっふふふっ」




私が立ち上がると今日の服を準備して着替えをぱぱっと済ませてくれ、髪を梳かしてくれる


あれ?いつもの動きやすそうなワンピースでは無く、今日はピンク色のふわっとした裾の長いドレスなんだ?


髪型もいつもはストンと下ろしているだけだけど、今日はハーフアップにするみたいだ



「今日はなにかあるの?」



「本日はリアム様の御子息様との顔合わせがございます」



顔合わせ・・・。こんな張り切る必要あるのか?



「頭に添えようと思って私、早起きして庭師さんに頼んで頂いてきたんですよ」



いつも朝食を載せてくるサービスワゴンの下からカゴに入った色とりどりの花が顔を出す



「わあ!素敵!」




「お嬢様が前に、奥様の髪に添えてる花を見て素敵と言っておられましたので。編み込み方を勉強しました!」



どやっと、満面の笑みで言ってくれるレゼルちゃん



やだ、うちのメイドちゃん天使すぎます!



「レゼルちゃんいつもありがとう!」



1度手が髪から離れた隙にぎゅっと抱き着く


「わわっ!き、昨日も言いましたが人前ではこのように抱き着っ・・・しめちゃダメですからね?」



「はーい!あっそう言えば、ずっと聞きたかったんだけど、レゼルちゃんって歳いくつなの?」



13.4ぐらいかなーってずっと思ってたけど、昨日の話し方とか聞いてるともうちょっと上なのかもしれない



「あぁ、そう言えば言っておりませんでしたっけ?私、11歳です」



んな!11?!小学生じゃん!中学生ですらないじゃん!

しっかりしすぎじゃない?!


「うそ!!そんなに私と変わらないの?!レゼルちゃん仕事しすぎじゃない?」



労働環境どうなってるんだ?いや、でも・・・7歳から仕事出来るってソルも言ってたし・・・子供のうちから働く事はこの世界では普通の事なのかも?



「私なんてまだまだです。我が家は代々ダイヤトリンド家に仕えてきました。私のお母さまは奥様の専属ですし、お父さまは筆頭執事見習い、お爺さまは筆頭執事で、お兄さまは騎士見習いとして日々鍛えております。皆、ダイヤトリンド家にお仕え出来る事こそが幸せと考えておりますわ」



髪をしてくれてるから顔は見えないけど声色はとてもるんるんで話してくれてるから、多分本当にいい事だという認識で話してくれてるんだろう



前は未来が、仕事が、自由に選べる世界にいたからか、少し複雑な気分だ



「嫌になったりしたら、その時はちゃんと言ってね?」



寂しくなるけどちゃんと自由にしてあげるから



「・・・嫌になんてなりませんから大丈夫です。さあ、出来ました」




すると手のひら程の小さな鏡をポケットからだすレゼルちゃん



「この部屋に鏡は置けないそうなので、こっそり私の持ってきました」



ウインクしながら差し出してくれる




私、初めて自分の顔まともに見れるんだ!



ドキドキしながら渡された鏡を覗き込む



うっひゃあ

おめめクリックリ!お人形さんのような顔!!

髪型も花が編み込まれてとても可愛い!



なんか自分の顔って信じられないくらい美少女なんだけど!




「私のご主人様のヴァイスお嬢様はとーーーっても可愛いです!」



心がぽかぽかしてきて幸せを感じる


「レゼルちゃんも私には勿体ないくらい素敵です!」



2人で向かい合って笑いあった





_______________




朝食を済ませて一息付くと、今日はリアムさんの息子さんとの顔合わせ、そしてその後はこの部屋で一緒に授業をうける事になっている





私がいつも食事をとっていた小さめのテーブルと椅子は無くなり、4人が横に並んで座れるほど大きなテーブルと椅子4脚が持ち込まれ、小さな本棚もベッドのそばに配置された。それでもこの部屋は広いのでまだまだ走り回ったり、午後の運動をするスペースが確保できる


授業を受ける準備はばっちり


レゼルちゃんの風魔法でふわふわ浮かんでる家具を見て1人めちゃくちゃ興奮したのはナイショの話




今はお父さんやお母さんが来た時に団欒する出入口に近い、ソファセットでそわそわと息子君が来るのを待っている




コンコン



「リアムです。失礼致します」




「はい」




扉の前で待っていたレゼルちゃんが答えると扉を開く




分厚い本を1冊持ったリアムさん、続いて、見た事のある鎧の2人、2人はたくさんの本を抱えてる

そして、真黒の髪色をした少年がギクシャクと入ってきた



わぁ!かわいい!美少年!




出来るだけ優雅に見えるように、ゆっくりと腰をあげてソファから立ち上がる


リアムさんたちは持ってきた本を本棚へ入れて私の前へ来た

その間も私の目は美少年に釘付けになってしまう、可愛いは正義。可愛ければ大抵の事は許されます。はい、これ、絶対。

緊張している少年が可愛くて、表情筋が緩みそうなのを必死に隠しながら微笑みを崩さないよう静かに気合いを入れ直す



一瞬、沈黙が流れる



「・・・お初にお目にかける、我が息子に挨拶をさせてもよろしいでしょうか?」



「はい」




貴族のあれこれはさっぱり分からない、私から何か言わなきゃいけなかった感じかな?



リアムさんがそっと少年の背に手を添え前へ優しく押し出すと、背筋を真っ直ぐと伸ばしたまま屈み、少し見上げる形で彼の漆黒の大きな瞳が真っ直ぐ私を見つめた



(わたくし)、アレクシスと申します。お目にかかれて大変嬉しく存じます。本日のこの出会いがご交誼へと至る縁になります事を願い、神に祝福を捧げます」


両手を合わせぱっと開くと黒い光が表れ、私へふよふよとゆっくり飛んできた



え?飛んできたけどどうすればいいの?これから勉強するんだよ?私、こういう挨拶とか全然知りませんけど?



「ありがとう存じます」



とりあえずお礼だけ言ってみる



レゼルちゃんを見ると

扉の傍で立っていたレゼルちゃんが小さく手を使ってジェスチャーしていた。口もパクパクさせているけど全然何を言いたいか分からない



何となくソルと手を合わせた時に出てきた光の玉と雰囲気が似てるなー


なんてことを考えながら優しく人差し指でつついてみた



パチッ



すると、静電気が走った時のようにピリッとしたので、サッと手を引っこめる



黒い光に少し白がほんの少し混ざってぴゅんっと天井へ飛んでいくと、ぱっと強い光が弾けて細かい黒と白の光が部屋の中にキラキラと降り注いだ



「・・・綺麗」


わあ!貴族の挨拶?めっちゃ綺麗!!



天井から降り注ぐキラキラとした光に見とれていた




「やめなさいリューナ」




天井へ向けていた視線をリアムさんにおろすと、リアムさんはいつの間にか目元の布を外していた。

そして、前傾姿勢で腰の剣を握りしめた怖い顔のリューナさんがいつの間にかリアムさんの隣にいて今にも飛びかかってきそうな体制で止まっていた




「ヴァイスお嬢様は何もご存知ありません、悪意など全くないのです。これから勉強をされますから」



そう言って手を振るとリューナさんはさっと後ろへ下がる。リアムさんは瞳がこぼれ落ちそうなほど目を見開いたまま驚いて固まってしまっているアレクシスくんの隣に同じようにさっと膝を着いた



「改めてご挨拶申し上げます。私リアム・ビー・バトラー、ヴァイスお嬢様の教師として、良き理解者として、ご交誼へと至る縁になります事を願い、神に祝福を捧げます」




さっきのアレクシスくんと同じように手を合わせ、開くと黒と紫の先程より大きめの光が私へふよふよとまた、漂ってくる




さっきのリューナさんの反応的にも私の行動はダメだったと思うんだけど、ほらっテンドさんとレゼルちゃんもぽかんと口開けちゃってる・・・




「あ、ありがとう存じます」



とりあえずお礼だけ先に言う



触っていいんだろうか?



・・・。



リアムさんの眼力が凄いっ。

普通に笑ってればもはや美人なイケメンなのに・・・


『さあ!さあっ!早く!光に触りなさい!』


少し赤く染った頬とキラキラした瞳でそう訴えかけてくる




人差し指を立ててみると小さくコクコクと頷くリアムさん



先程と同じようにつんっと人差し指でつつくと、ピリッとせず今度は光の塊が解れていくようにふわんっと空気中に飛散した


テンドさんの緊張した顔がホッと緩む

あっこれが祝福の普通なのかも



「何が違ったんでしょう?」



リアムさんはさっと立ち上がり顎に手をあて、うーんと頭を捻る



この残念美人め、もう1回キラキラが見たかっただけだな?



「ごめんなさい。私、挨拶などさっぱり分からなくて。そういうものもこれから学ぶものだと思ってて・・・」



どうすればいいか分からず固まったままのアレクシスくんへ謝りながら手を差し出す



手を取ろうと伸ばした手が途中で止まる。私の手を取っていいのか分からないようでチラチラとリアムさんを見上げるが考え込んでいるリアムさんはその視線に気付かない



私は両手でアレクシスくんの手を包み、引っ張って立たせてあげる




「私はヴァイス。仲良くして下さると嬉しいです!」




「ぼ、僕なんかで・・・良ければ・・・」




顔を赤くして、俯きながら答えるアレクシスくん


ぐはぁ。何ですかこの可愛い生き物

可愛い可愛い可愛い可愛い



さっき自分の顔みて美少女とか思っちゃったけど

私がこの世界に来て見てきた人達ってみんな顔面偏差値がえぐいぐらい高めなんですが?

私の顔なんてもしかしたら中の下なんてこともありそう




「お嬢様?アレクシスと私の祝福の違いは何でしょう?」



知りませんよそんな事。



「わ、わかりません」



大体、何が正しいかすら私分かって無かったんだからね?



「コホン」




後ろに控えているテンドさんが控えめに咳払いする




「ああ、そうでした。私の騎士の2人も今後同席する事がありますので、紹介します。彼がテンドリウスで、彼女はリューリクナです」



名前を呼ばれた2人は右手を胸に添えて背筋を伸ばしたまま軽く屈伸する


日本人は頭を下げた会釈をするけど、こっちの世界では頭は下げないスタイルで挨拶するみたい



「私はまだ用意するものがありますので、2人でお話でもしながら待っていて下さい。レゼル、君も来て下さい」



「かしこまりました」



するとそそくさとみんな部屋から出ていき、鍵が閉まる



部屋には私とアレクシスくんしかいない



「・・・あの、手・・・」



手?

視線を下げると握ったままだった



「ごっごめんなさい!えっと・・・とりあえず座ります・・・か?」



男の子がいつまでも女の子に手を握られてちゃ恥ずかしいよね!

ごめんごめん


心の中で謝ってさっとソファまで行って座り、ぽんぽんっと隣を叩く




少し迷ったみたいだけど隣に座ってくれるみたい

・・・ちょっと距離空けて座られちゃったけど




「えっと、御父様がご交誼へ至る縁にする為に、贈り物をしろって・・・僕が、1()()で選びました」




なるほど!そそくさとリアムさん達が出て行ったのは2人きりにして、この贈り物を渡す為だったのか




ごめんね、まず何度かでてきてるけど“ごこうぎへ至る縁”ってのがピンと来てない私です

日常生活で使う言葉で言って欲しいんだけど

多分仲良くして下さい的な意味であってる・・・よね?



着ていた服の内ポケットから黒い布の包みをだして、私との間に置いた



「1人で、選びました・・・」




また強調して念を押してくる



「ありがとうございます」




そっと開くと、白の布に色とりどりの可愛らしい花が刺繍してあるリボンが出てきた



「わあ!凄いっ!綺麗!!」



リボンを手に取る

刺繍が細かくしてあって繊細なつくりなのに裏表どちらも綺麗なリボンなんて見たこと無かったし、凄くオシャレだし、何より私の髪以外で初めて白色を目にした



神無しだと殺される世界で、白い物は私以外にはないのかもしれないと、そっか・・・不安だったんだ・・・私


なんか・・・

嬉しくて泣いちゃいそう




「ちっ違う!」



バッとアレクシスくんは立ち上がる


うぇっ??



「なんで?!怒ってよ!!僕は君とは友達になんかなりたくないんだ!!僕の事なんか嫌いになってよ!」





な、なんですと?!





困惑した表情の中、潤んだ漆黒の瞳が私を睨んだ






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