フィーネとケネス
おはようございます!
今日もあついですね。
ケネスのことをフィーネとグレイにも相談しなければならない。
スラニーベルグを出てからずっと考えている。時間遡行。行動が遅くなれば、ケネスの魔人化に間に合わなくなる。なるべく早く情報を共有して、みんなで考えていきたい。
だが、万が一にもケネスに聞かれてはいけない。一人ずつ、確実に二人きりになれる時間に相談するべきだ。
スラニーベルグに向かって3日目、そのタイミングがやってきた。昼飯の準備でフィーネと二人で食材を探しに行くことになった。手早く食材を集めて話しかけた。
「フィーネ、感知魔法を使えるか?」
「え、使えるけど、敵!?」
「いや、敵はいない。だが、重要な相談だから他の人に聞かれるわけにはいかないんだ」
「相談・・・恋の?」
「ちがわい!!」
「なんだ・・・いいよ、感知魔法を張ったのと、ここ周辺の音が外に漏れないようにもした」
「便利だな。ありがとう。実は、ソンニ村で泊まった日の夜、エアラインが部屋に来たんだ」
「え!エアラインちゃん、お部屋に行ってたんだ・・・」
「いや、大事なのはそこじゃないし、真面目な話をしただけだよ!恋話から頭を離せ!」
「なーーんだ」
「・・・それで、昼間の俺たちへの説明に誤魔化しがあったと聞いた。まず、時間遡行をミスしてこんなに大きく遡ってしまったというのは嘘で、実は計画的なものだったらしい」
「・・・やっぱり。それはちょっと変だなって思ってたんだ」
「え、そうなのか?」
「うん、だっていくら緊急で時間遡行したからって、そんなに遡っちゃうことってあるのかなって」
フィーネはそういう察しがいいんだな。
「その通りだ。実際、時間遡行する前の俺たちは、いきなりこんなに大きく遡ったわけではなく、何度も短い時間遡行をしたらしい。でも・・・」
「魔神を倒せなかったんだね」
「・・・そう。それでどうにかするために、大きな時間遡行をするという、ある意味賭けに出たんだ」
「なるほど。でも、だからってこんなに大きく時間遡行する必要があったの?それに、どうしてエアラインちゃんはその時の記憶を保持しているの?」
「エアラインは、記憶保持はちょっと工夫が必要だったって言ってたな」
「ちょっと工夫・・・。そんなに簡単なことじゃないと思うんだけどな。まあいいや」
「こんなに大きく時間遡行した理由だが、それが今二人で話している理由にも繋がる」
俺は深く息を吸って続けた。
「単刀直入に言う。魔神ってのは、人の間に生まれる、魔人だったんだ。そしてその魔人が・・・ケネス、だったんだ」
「あ・・・え?おにいちゃん?」
「ああ。そうだ」
「え?うそ。どうして・・・どういうこと?魔人って」
「落ち着いてくれ、フィーネ。それに、今のケネスが魔人ってわけではない、のだと思う。これから旅をしていく中で、そのタイミングが訪れるらしい」
「・・・。」
「そして、これはエアラインが考察したらしいが、魔人化には二つの可能性がある。一つは魔神が人に乗り移るっていう可能性。これの場合、ケネスに乗り移ったのはある意味たまたまだったのかもしれない。もう一つは、ケネスの思いに、魔神の力が呼応して魔人化してしまうという可能性だ」
「魔神が乗り移るか、お兄ちゃんの思いで魔人になるか・・・。」
「そうだ。ケネスは仲間想いで、正義感が強いだろう?だけどその分、それを守れなかった時にとても苦しんでいる。そんなことがこれまでになかったか?」
「それは・・・。確かに、村の人が傷ついた時や死んでしまった時なんか、すごく自分を責めていたわ。なぜ守れなかったんだ。なぜ死ななければならなかったんだ。自分に力が足りなかったから守れなかったんだ、って。でもだからって、それで魔人になんて!」
「俺だって自分で見たわけじゃない。信じたくはない。・・・でも、現になってしまうんだ。そして、未来の俺たちは迷ってまともに戦えなかった。ただでさえ終末の魔人だ。勝てないはずの相手に、戦う覚悟もない俺たちでは全く歯が立たなかったそうだ」
「そんなのって・・・!」
「だから、俺たちは時間遡行をした。大きな遡行をするのは賭けだったが、それでもやった。それは、ケネスを魔人にしないためだ!やるしかないんだ、今の俺たちが!」
「っ・・・!」
フィーネは頬を涙が伝う。どれだけだろう。兄が魔人になってしまうなんて、どれだけのショックだろう。
「・・・分かった。まだ信じられないこともあるけど。。。嘘じゃないように思うし。何より、お兄ちゃんを助けられる可能性があるなら、それに賭けたい」
「酷な話だったと思う。聞いてくれてありがとう」
「いいえ。何より、お兄ちゃんのために何度も時間遡行を繰り返してくれてありがとう」
「覚えてないんだけどな」
「それでも!ありがとう、キョウタロウ」
フィーネが泣きながら笑顔を見せてきた。やっぱり、フィーネには笑顔が似合う。何しろ、可愛いからな。この子の笑顔を守るってのも、頑張る理由になるのかもな。
「俺らでなんとかしようぜ」
「うん!」
そう固く誓ったのだった。
ありがとうございました!




