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自宅にあった古時計  作者: しまのうお
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仕事はじめました

「ただいまです~」

「お帰り、ちょっと待ってってもうすぐで終わるから」

 帰るのが早かったのかシマノの前には患者と思われる黒い服を着た者がいる。

「じゃあこのお札を寝るときに額に貼ってください」

 黒服の男はひときわ大きな体を揺らしうなずく。ようにみえた。

「じゃあお疲れさまでした」

 男は去り際に俺を一瞥する。

 男が帰っていくのを見た後、

「あの方はどうしたんですか?」

「ああ、見てほしいって言ってきたわけではないんだが、外出たときにやたらと呪がかかってたから、半額にするから来いって言って診てやったんだ、それと・・・いやこれはいい」

 こいつ、案外優しいところあるじゃねえか、ギャップ萌えするじゃん。

「?、でもやっぱりシマノさんやさしいところがありますね」

「うるせえな」

「それで?なにか俺に話すことがあるんじゃねえの」

「ああそうだったな、お前ここ来た時どうなった?」

「そりゃ、ビビりまくった、とか」

「その結果どうなったんだ?」

「殺されかけた・・・何が言いたいんだ?」

「結論だけ話そう」

 シマノは当然のように、しかし俺にとっては予想外の事を口にする。



「治療費払え」



 え?あ、そうだよね、日本でも病院行ったらお金払うし、シマノも慈善活動じゃないもんね。

「ええ!?シマノさんタダじゃなかったんですか!?」

「そりゃそうだ、俺は慈善活動で人を助けてるわけではない、おっと、俺が勝手に助けたとか言うなよ、俺が助けなかったらお前は死んでたからな」

「わかってるよ、いくらだ」

「まあ待て、お前はこの世界の通貨を持っているのか?持っていないだろ、しかし、お前の世界の通貨を渡されても俺には何の役にも立たないゴミだ」

「じゃあどうすればいいんだ?」

 まさか俺がこの世界で働くとか?まさかあのお茶屋?それは嫌だよ

「俺の手伝いをしろ」

「え!」

 いまの「え!」は驚いた時の「え!」ではなく、シマノのもとで働くかよの「え!」だ。つまりあんまり気が進まない。

「いやなのか?でもお前はここ以外で働くところがないんじゃないのか?」

 ないわけではないけど嫌なだけなんだよなぁ

「まあ仕方ないか、これからよろしく頼むよ」

「仕方ないって・・・お前、こっちは雇い主だぞ」

「あ、でも俺あと三十日しかここにいれないんですよ」

 俺は実家に帰ってるだけで八月の終わりになれば帰らなければならない、だから、治療費を払えるほど働けるかわからない

「チィッ、じゃあ三十日間はみっちり働いてもらうぞ」

「シマノさん、」

「なんだ?」

 紗子が不安というか焦りというか恐る恐る話しかけ、その顔には陰りがさしている。

「もしかして私なんかじゃ力不足でした?もっと頑張りますので解雇だけはしないでください!」

 紗子が涙ぐみながらシマノに問いかける。

「い、いや、解雇なんかしないよ、紗子、君はこんなカス虫より優秀だ!」

 珍しくシマノが焦っている。写真でも撮っておきたい。

 てか、めっちゃ本人の前でカス虫っていうじゃん、異世界の人たちは周りを気にしないの?

「じゃあ何で新しく雇うんですか?」

「ああ、俺がもうすぐ別の世界で大きな仕事があるんだ、だから紗子一人じゃ危ないかもしれないからな」

「なるほど、よかったです私これからも頑張ります!」

「まってくれ、話変わるが一つ質問」

「なんだ?」

「俺はいったん家に帰りたいんだがどうすればいい?」

 このことを紗子にも言っておきたいし、普通に家に帰りたいのもある。

「帰り方は紗子が教えてくれる。こっちくる方法は、来たときと同じことをすればいい、それと、仕事内容はもう一度来たときに話す」

 来たとき、確か柱時計をいじったような。

「ちなみにどれくらい働けば治療費にとどくんだ?」

「お前の世界の通貨を知らんから何とも言えない」

「なるほど、じゃあ、いったん俺は元の家に戻るわ、紗子、お願いしてもいいか?」

「はい任せてください!」

「戻ってきたら初仕事をしてもらう」

「ほいほい」

 二人で家を出ようとした時、ふと気づいた。

 家に帰ってそのままバックレるとかしても何も言われないんじゃねえの?だって、向こうは俺の居場所がわからないから、やらないけどね?

「どうしたのですか創貴さん、まさか、このまま逃げようとしてるんじゃないでしょうね・・・」

「いや!全然そんなことはないよ!」

 ちょっとびっくりして声が裏返える。

「まあ、やっても無駄なんですけどね、一度行ったり、来られた世界は本屋《転送装置》が記憶しますからね」

 そうか、じゃあ紗子たちを日本に招いてパーティーするのも楽しそうだな、こっちに慣れてきたらやってみてもいいかもな。

「それじゃあ行きましょう!」

 ああ、なんか最初は怖かったけどなんかたのしくなってきたな、なんて思うのはダメか。


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