やっときた
目が覚める。周りはもう明るく今は朝の8時ほどだろう。
「あっ、目、覚めた?ごめんなさいね、まさか気絶するほど強く蹴っちゃうとは思わなくて・・・」
こちらもまたすまなそうにしょんぼりしている。一日で二階も女性に謝らせるとは、男としての恥ずかしい、ち〇こも握られるし。
「いいんだよ、俺の不注意もあるし」
「ほんとごめんね」
「いいんだよ、そんなに気にするなここにいる間ご飯作ってもらってるんだから」
それに花林は恐らく俺が起きるまで看病してくれていたのだろう、それだけで許せる。
「そう?じゃあもういいや、あとで仕事場に来てねおじいちゃんの手伝いもするし」
「切り替え早いな、お前」
別にいいけど。
俺のじいちゃんは陶器をやっている。信楽焼だ、なんでも昔は美大の教授をやっていたとかなんとか、今は家で陶器を作ったり、陶器を教えたり、インドネシアに行ったりしている。
「俺は何をすればいいんだ?」
「粘土が来ているから倉庫に全部運んでおいて」
粘土運びか・・・あれは質量が結構あるから結構重いんだよな
「わかった、頑張るよ」
俺たちはじいちゃんのいる仕事場まで向かった。
「おお~起きたのか、風呂場で転んで気絶するって不運だな~」
じいちゃんは作務衣に身を包んでいる。そして、手が粘土でめっちゃ汚れてる。
「おい花林・・・」
こいつ嘘ついてやがった・・・
「しょうがないでしょ!おじいちゃんに怒られそうだったから、それにソーキもばれるの嫌でしょ?」
「そうだけど」
なんかほんとのことを隠してるみたいでいやだな。
「それでおじいちゃん、どこに粘土があるの?」
「あ~そこの軽トラに積んであるよ」
じいちゃんのさした先は庭井置いてある軽トラ、見える限りでも結構数積んである。
俺はバリバリのもやしっ子だから結構骨が折れるぞ・・・
「ほら何ぼさっとしてるのよ、さっさと運ぶわよ」
「花林は元気だなぁ、俺なんか見ているだけで疲れてくるわ」
「何言ってんのよ、しゃべってるだけじゃ終わらないわよ」
「へいへい」
花林の言う通り俺は黙って作業を続けた。
「ふ~、もう疲れてきた・・」
まだ3個目を運んだところなんだが疲れた・・・ちょっとくらい休憩してもいいよな、でも花林に見つかるとまた小言を言われそうだし、花林が来なさそうなこの部屋で休むか。
俺が休憩に選んだのは昼なのに暗い埃のかぶった部屋だ。なんか見た目からして人が来なさそうだ。
「ごほっごほっ、ちょっと埃がきついな・・・ん?なんだこれ?」
目の前に大きな柱時計、ちょうど俺の身長くらいのでかさだ。素人目からしてもかなりの年季が入っているのがわかる。大きなのっぽの古時計をと言ったらこれだ。
触ってみると何か不思議な力を感じた。なんだろう、生きている?ような、生きてないけどな。
「針は動いてないな・・・うおっ、この針めっちゃ簡単に動く・・・もう完全に壊れてやがんな」
針はするすると動き、今にも取れそうなほどにもろく感じる。
「まあいっか、あとでじいちゃんに聞いとこ。ったく花林は人使いが荒いんだよな・・・」
「お~~~いソーキ!サボってんじゃないわよ~、早く出てこないとごはん抜きにするわよ~」
「うげっ、もうきやがった全然休憩できてないな・・・でもごはん抜きにされるのはいやだし行くか」
しぶしぶ重い腰を上げ扉を開けるとそこは見知らぬ道だった。
「おい、どこだここ」
扉をもう一度開けようとするが扉はもうない、あるのは前後に先の見えない道が延々とつづいているだけだ。
「くそっ、なんだここ、神様かなんかがサボった俺に罰でも与えたのか?」
とりあえず俺は道を歩く。しかし、歩いていると怖くなり走る。疲れて歩く、走る。を繰り返して10分ほどが過ぎた。
「なんか見えてきたぞ、あれは、扉か?やった、ようやく帰れる!」
俺はうれしさのあまり全速力で走り、扉を勢いよく開ける。しかし、そこは埃の舞う部屋でもなく、家の玄関でもなく、そこは、奇妙な町だった。
「どうなってんだよ」
焦る。俺は頭がどうにかなりそうだった。
「おい、なんなんだよここ!」ーーーーーー




