2019/05/13
真夜中のリビング。そこで私はどんな文章を書こうか悩んでいます。
真夜中のリビング。冷蔵庫の音だけが響いている。そこでは空気の層がフワフワと漂っていて、暖かな室内灯に照らされながら沈黙を守っている。
私はそこで牛乳を飲みました。ゴクゴクとみずみずしい音が私の体内に流れ込みます。しばらくしてまた沈黙。ガラスのコップの底からは向こう側のカーテンが覗いている。
私はウトウトしはじめました。視界はぼやけていき、煙が立ち込めていく。
煙ではなく、霧でした。私は霧が立ち込める街にいたのです。私は思い切って家から出て道路に出ました。
道路には誰もいない。追い越し禁止の黄色い線はどこまでも続き、霧の中へと。向こうからかすかなピアノの音が聞こえる様な気がする。その音をひたすらひたすら辿っていく。
気づいたら知らない所へ来ていました。ここはどこなのだろう。誰もいない。
私は民家に助けを求めました。しかし誰もいない。誰もいないのにその民家は朝食の準備がされていました。冷めたコーヒー、冷めたトースト、冷めたスクランブルエッグ。
そして私が驚かされたのが、新聞です。テーブルの上の新聞は2021年の5月の新聞でした。あるはずのない未来の新聞・・そして私は更に疑問に思いました。今日はこの新聞の何日後なのだろうと。
そこで私は目が覚めました。新聞を確認してみる。2019年05月13日だ。
しかし誰が証明できましょうか。この世界が夢でないと。
私はいったい何年の何月何日からやってきたのでしょうか。
なんだかずっとそんな風に迷子になっている気がするのです。
私はどこから来て、どこへ行くのでしょう。
リビングは沈黙を守るばかりです。