2019/05/07
最近お腹が痛くなる。年齢を重ねるごとに胃腸が弱くなっている気がする。
胃腸の機能の低下は危険信号だ。
僕の頭上に危険信号が灯っている。
赤色が点滅している。激しく点滅している。
しだいに点滅は大きくなり世界を包む。
「・・・は、ここは?」
「ようこそ。」
「誰だお前は?」
「私は胃腸の聖。ここは胃腸が痛くない世界よ。」
「・・・なんだそれは?」
「胃腸の痛みは心の痛み。心の痛みはすなわち、それは世界の終焉の始まり。終わりの始まりだわ。だからあなたの頭上に危険信号が灯った。」
「・・・胃腸の痛みは心の痛み?」
「そう。全てが無に帰した時、あなたは始めて気づくの、全て胃腸だったと。粘膜の機能が低下した時世界は収束する。遥か遠くのこと。まだこの大地が宇宙だった時、粘膜は世界そのものだった。」
「???」
「粘膜は煙幕、煙幕は弁膜、弁膜は勉学、勉学は田楽、田楽は文学、文学は文楽、文楽は半角、半角は半額、半額は・・・・安い。」
「安い・・?」
「一斉大売り出し!!!並大抵の半額じゃあらへんで!!」
「いや半額は半額でしょ。」
「そういうこと!そういうことなのよ!」
そういって胃腸の聖は消えた。
僕の脳裏には彼女の言葉の余韻が残っている。
「並大抵の半額じゃあらへんで!!」
半額だよ。結局半額だよ。普通の半額だよ。