訓練
一章完結です。
目を開けたら、見慣れた天井があった。
「俺は、ドラゴンと戦っていたんじゃ…。」
「あっ!師匠〜。」
顔を上げるとハーリアの姿があった。
「師匠が気を失った後、師匠の流星を見た抵抗軍の人が助けに来てくれたんですのよ。その時に、2人を守ってくれて有難う、って感謝されて、みんなと打ち解けたんですのよ。」
身体に、魔力が流れ込んでくるのを感じる。
立ってみると、身体が軽くなっていたように感じた。
剣を持つと、木の枝を持ったかのように軽かった。
「師匠、勝負しましょう。」
抵抗軍の訓練場に向かった。
この前のおっちゃんに、審判を頼んだ。
「始めっ!」
おっちゃんの掛け声で、俺は、一瞬のうちに距離を詰めた。
その速さは、獣人の動体視力を持ってしても、一瞬の事だった。
しかし、ハーリアは直ぐに距離をとった。
誰もいない空間で剣を振ってしまった。ハーリアが反撃をしようとしたが、剣を振った時の音を聞くなり横に跳んだ。すると、正面にあった壁が大きく凹んでいた。
「師匠、殺す気ですの?」
「いや…いつもの感覚で振ったんだが…。」
「前より、数倍速くなっていますわよ。だから、リアも本気で行きますわよ。」
詠唱を開始している。
「【強化】ッッ!」
ハーリアの剣の速さが、一段と速くなった。
ハーリアの上段斬りを、受け流して反撃を…
剣を受け流したとき、発生した気流によって俺は吹き飛ばされた。
しかし、空中で体勢を立て直して、飛んで行った先にある壁を蹴った。そして放った大上段からの斬撃を受け止めたハーリアは、反対の壁まで飛んでいった。
「やっ、やめ!」
おっちゃんの合図で、終わった。
おっちゃんの後ろに司令官がいた。
「どうしてくれるんだよ!ここ使えないじゃないか!」
「すみません。今直しますから。」
「修理代払ってく…。今、直すって言ったか?」
「ええ、【修復】。」
壁が元に戻っていった。
司令官は目を丸くして、あんぐりと口を開けていた。
「お前、今のは…。」
「え?修復って言う魔法ですが…。」
「魔法を使えるのか?人族は、魔力が無いんじゃ…。」
「俺も持ってないですよ。」
「なら何で…。」
「周りの空間や、植物から魔力を分けて貰っているんですよ。」
「そんな事が…」
司令官は唖然としていた。
暫くして、司令官は口を開いた。
「お前、ルクシア抵抗軍に入ってくれないか?」
「俺は、12歳ですけど。」
「おい、其処のウサギ。」
「ハーリア・クリルですわ。」
「ハーリア、お前も抵抗軍に入ってくれないか?こいつの面倒を見てやってくれ。」
「ああ、重要な任務以外には、参加しなくていい。」
「分かりました。」
「明日、基地に来てくれ。」
そうして、訓練場を後にした。
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一旦家に戻り、魔法の練習の為に森に向かった。
【飛行】を使って、飛んでいると、100匹ほどのゴブリンの群れがいた。
「【爆裂】」
ゴブリンの群れは、骨1つ残らずに灰になった。
少し、倦怠感を感じたので、村に引き返した。
村に帰ると、家の前にシルフィアがいた。
「あっ!ルー。目が覚めたんだね。」
「うん。」
そして、シルフィアは、綺麗な碧眼に大粒の涙を浮かべて、俺に泣きついてきた。
「ごめんね。私のせいでルー達を危険な目に合わせて。」
「いいんだよ、こうしてみんな無事なんだから。」
どのくらいの間そのままいたのだろうか。もう、日はすっかり暮れている。
「じゃあ帰るね。」
「じゃあね、フィア。」
シルフィアは、家に帰って行った。
「リア達も帰りましょう。」
「うん。」
俺達は、家に向かった。
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