大地の魔術師
遂に、魔法が登場です。
村に向かった俺とハーリアは、門の前で止められていた。
「なんでダメなんですか‼︎」
「いや…お前さんは良いんだが、横の獣人は…。」
「村長と司令官を呼んでください!」
「確かにそうだな、この件はあの2人に任せよう。」
そう言って、門番は村長のところに報告に駆け出して行った。
2人は、彼らが来るまでの間、立ち尽くしていた。
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一時間ほどした頃に、村長と司令官がやってきた。
「お前…なんで獣人を連れているんだ。」
「彼女は、ハーリア・クリル 兎人族最強の剣士らしいです。僕が、勝負して叩き潰したら、師匠とか言いだして、絶対ついてくるんだ、って…。」
「兎人族は、獣人の中で最弱な種族でしたので、隣町に住んでいる虎人族に皆殺しにされたんです…。リアは、虎人族と対等に戦えたので、逃げ出してエルリオール大森林に逃げてきたんです…。なので、私は、獣人王国に敵対するあなた方の仲間にと…。」
「因みに、虎人族って獣人最強の種族なんじゃないのか?」
「魔法は初歩の初歩くらいしかできないけれど、剣の実力で言ったら、最強じゃないかなぁ。」
「本当に敵ではないのか?」
「断じて違いますわ!」
村長と司令官は小声で確認しあい、声を出した。
「わかった。村に入れ。もし、裏切ったら殺すからな。」
「はいっ!有難うございます。全力で頑張りまわ。」
「お前は、魔法を使えるのか?」
「兎人族は、魔法の研究をしていた種族なのですわ。」
俺は、ハーリアとともに帰宅した。
両親は驚いていたけれど、村長と司令官が許可したことを伝え、先ほどの会話の内容を話すと、同胞は大歓迎よ。と言って家に住む許可をくれた。
その後、2人は庭で剣を振っていた。
庭に向かって駆けてくる人影が見えた。
彼は、シルフィアの父親だった。
「なんで獣人が?」
説明をすると納得してくれた。
「ところでどうしたんですか?」
「ああ、シルフィアがさっきの地震の地点に抵抗軍と一緒に向かったんだが、帰ってこないんだ。」
彼は、大粒の涙を浮かべていた。抵抗軍は、ハイオークの群れに襲われて、乱戦になったらしい。その時にシルフィアは逃走したハイオークを追って森の深部に向かってしまったそうだ。
「其処の獣人。」
「ハーリアですわ。」
「わかった、ハーリアお前さんは、シルフィアを捜すことができるか?」
「出来ますわ。兎人族は、索敵能力が高いのですもの。」
「じゃあ、シルフィアを捜してくれるか?」
「やります。彼女は、僕の幼馴染ですから。」
俺は、そう言って森に向かった。
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森の中では、ハーリアが耳を立てて懸命にシルフィアを捜している。
ハーリアの耳がピクッと反応した。
「いましたわ。」
「本当か。」
俺は、ハーリアに続いて深部に向かって行った。
草木を掻き分けて進んでいると、大きな咆哮が聞こえてきた。
其処には、真っ黒なドラゴンが金髪の少女と相対していた。
その後ろ姿は、シルフィアのものであった。
ハーリアは、それをみつけるなり何やら呟き始めた。
「【氷槍】っ!」
ハーリアが魔法を使うと、3本の氷の槍が出てきた。
それは、ドラゴンに命中したが、大したダメージになっていないようだ。
それでも、ハーリアは魔法を撃ち続ける。
シルフィアの元に2人がたどり着いた。
「大丈夫かフィア。」
「なんとかね。」
3人が、逃げようとするとドラゴンが尻尾をしならせて、3人を薙ぎ払おうと向かってきた。
「【氷盾】!」
ハーリアが魔法を使うが、圧倒的な威力に負けて横に飛ばされる。
木にぶつかったハーリアは気を失っていた。
ドラゴンは、俺とシルフィアに向けて、大きな顎門を開けた。
ドラゴン系の魔物の使う唯一の魔法、ブレスを放ってきた。大人のドラゴンのブレスは、一撃で村を潰しかねない威力を持っていた。2人は、死を覚悟した。
その時、耳ではなく、脳内に声が響いてきた。
《生きて…私の力を使って…『大地の魔術師』ルークレイアス…》
その時、沢山の魔法に関する知識と漠大な魔力を感じた。
「【対魔法盾】ッッ!」
途轍もない威力を内包したブレスは、ドラゴンの口の前で、俺の魔法によって防がれ、行き場のない炎は、ドラゴンの口の中で爆発を起こした。
ドラゴンは、弱っていたが、まだ立っていた。
「【飛行】」
俺は浮かび上がり、20メートルほど飛び、静止した。
「【流星】」
魔法を使うと、空から1つの隕石が降ってきた。
それは、ドラゴンの頭部を粉砕した。
地上に降りた俺は、意識を手放した…
読んでいただき、有難うございます。
今後もよろしくお願いします。