暗黒騎士と魔剣
その日、オレは四人の男女に囲まれていた。一人は鎧を纏った体格の良い男、その横には、いかにも清楚という感じの娘と、怪しい雰囲気の女。そして、彼らの先頭に立ってオレに話かけてきいる男の四人だ。
「やっと追い詰めたぞ! 暗黒騎士! 覚悟しろ!」
リーダーっぽい男はオレにそう言うと、彼らはオレを倒すために武器を構えた。彼らの先頭に立っている男というのは、いわゆる勇者と呼ばれている存在であり、その仲間は戦士、僧侶、魔法使いである。
「追い詰めたって言われてもな… 。
そもそもお前らが勝手にオレを追いかけてきただけだろ?
何でオレがお前らに倒されなきゃならんのだ? 」
「ギルドの依頼にもありましたが、あなたはたくさんの人を殺めました。
そんな危険な人物を野放しにはできません! 」
僧侶の娘は正義感に溢れた表情で訴える。
「オレが危険な男だとわかってるなら、ガキどもはさっさと家に帰りな。」
「ふざけるなぁ!! 」
勇者はオレの言葉に腹が立ったようで、いきなり襲いかかってきた。だが、オレはその攻撃をいとも簡単に躱してみせる。
「あ~ 、もう面倒くせぇなぁ~ 。
おまえらマジで死ぬぞ? 」
「やれるもんならやってみろ!! 」
勇者と戦士は剣を構え、僧侶と魔法使いは、魔法を唱え始めた。
「はぁ… 。
おい、ダーイン。
おまえ、今、腹減ってるか? 」
ため息まじりに、オレはそう呟く。
「まぁ、そこそこにだな。我が主よ。 」
「じゃあ、飯の時間だ。」
オレはそう言うと、鞘に入っていた剣を抜く。
それは一瞬の出来事であった。オレの前には彼ら四人の死体が横たわっている。己の実力を見誤ったガキどもを憐れむとオレは剣を鞘に収めた。
「さすがだな、我が主よ。
そなたを主として選んだ我の目に狂いはなかったようだ。 」
先程からオレと会話しているのは魔剣「ダーインスレイブ」。オレは「ダーイン」と呼んでいる。こいつとの出会いがきっかけで、オレは暗黒騎士と呼ばれるようになったのだ。