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作者: 人間椅子

これは未来の話。


 文明の進歩によってエネルギー問題や食糧問題などのあらゆる問題が解決した。戦争や紛争などはずいぶん前から起こっていない。そんな平和な世界になった。


 この世界の人間は性別や年齢、ましてや人間という形態にもとらわれない容姿を手に入れている。体の表面に極薄の膜を纏い、その膜から己の好みの人物を映し出しているのだ。これによってひとは誰にでも、なんにでもなれるようになったのである。


 技術の進歩によって、人間は労働を強いられることもなくなった。人々はあまりある時間を趣味やパーティーに費やしていた。


 そんなこの世界での、あるパーティーでのことだ。そのパーティーは盛大なもので、老若男女、様々な人種の人々がごった返し、高価な酒や料理がふるまわれていた。そんななかで一組の男女の目があった。男は女に気があり、女は男に気があるようで、数秒間見つめあった後に互いに近づいて話し始めた。しばらくすると連れ添って闇に消えていく。そんな光景があちこちで見られた。


 一人の男が女の視線に気づく。誘っているのか、しばらくすると女が近付いてきて、男にこう言った、行きましょうよ。ああ、と男は答えた。男の腕は女の腕に絡められ、解くのに時間がかかりそうだ。何とも言えない、よい香りが男の鼻腔をくすぐる。女の香水だ。男はもう完全に女に中てられていた。


 男はパーティーの喧騒を通り抜ける最中に誰かとぶつかる。すみません、と謝罪をして頭をあげると、どこかで見た顔であった。


「すみません何か?」ぶつかってしまった相手は怪訝な顔をしている。いや、なんでもなんでもないんです。すみませんでした。女に腕をひかれて、すごすごとその場を離れた。


 しばらくして男は隣の女に目をやると、あることに気がつく。さっきのぶつかった女の顔がそこににあったからである。周りを見ると、そこらじゅうに同じ顔の女がいた。

なにかあったかと女は男に話しかける。いや、なんでもない、と男は答えた。

 


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