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貧民出身の俺、王立剣術院でただ“素振り”してただけなのに最強の剣士になっていた~姉妹を救うため成り上がる~  作者: シラセユウ


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彼女の手

お読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


「……はぁ」


訓練場の隅。


誰もいない場所で、俺は座り込んでいた。


思ったより疲れてる。


体っていうより――


頭が。


「なんだよ、あれ……」


さっきの模擬戦。


見える。


読める。


勝手に体が動く。


気持ち悪いくらいに。


「俺、そんなことできたっけ……」


手を見る。


いつもの俺の手。


なのに、さっきは全然違った。


「……わかんねえ」


ぼやいても、答えなんか出るわけない。


「でもまあ」


勝てたのは事実だ。


それだけで、十分かもしれない。


「……ちょっとは、近づいたかもな」


姉ちゃんと妹のことを思い出す。


ほんの少しだけ。


届きそうな気がした。




「――大丈夫?」


声がした。


……誰だ?


顔を上げる。


そこにいたのは――


女の子だった。


柔らかい雰囲気。


でも、目はしっかりしてる。


「さっきの試合、見てたけど……」


あー、見られてたのか。


恥ずかしいな、ちょっと。


「すごかったよ」


「いや、たまたまっすよ」


反射的にそう返す。


「そうかな」


小さく首を傾げる。


「ちゃんと“見えてた”でしょ?」


……なんでそれ知ってるんだよ。


「え?」


「相手の動き」


まっすぐ見てくる。


ごまかせない感じの目。


「……まあ、ちょっとは」


観念して答える。


「やっぱり」


少しだけ、安心したように笑う。


「よかった」


「何が?」


「ちゃんと戦えてたから」


……なんだそれ。


よくわからないけど。


悪い気はしない。


「それより」


彼女が近づいてくる。


「手、出して」


「は?」


「いいから」


なんだよ急に。


言われるまま、手を出す。


そっと、触れられる。


――あったかい。


じんわりと、何かが流れ込んでくる。


「……これ」


「軽い回復」


やっぱり魔法か。


「無理してたでしょ」


図星だった。


「まあ、ちょっとは」


「“ちょっと”じゃないよ」


少しだけ、呆れたように言う。


でも、優しい。


「無理すると、崩れるよ」


「崩れる?」


「うん」


彼女は俺の手を見ながら言う。


「あなたの剣、きれいだから」


……またそれか。


「きれいって言われても、よくわかんないっす」


「だよね」


くすっと笑う。


「でも、きれいなものって壊れやすいんだよ」


……なんか、妙に刺さるなそれ。


「だから」


ふっと、顔を上げる。


「無理しすぎないで」


真っ直ぐな目。


なんか――


ちょっとだけ、ドキッとした。


「……あー、はい」


なんだこの感じ。


調子狂うな。


「私はリシェル」


あ、名乗るのか。


「リシェル・アストリア」


やっぱりいいとこの出だな、これ。


「回復科」


「……エイゼンシュタインです」


なんか、ちょっとだけちゃんと名乗る。


「知ってる」


即答。


え、なんで?


「有名だよ」


……マジかよ。


「例の見習いって」


あー、そっちね。


全然嬉しくねえ。


「でも」


リシェルが言う。


「私は、ちゃんと見たから」


「何を?」


「あなたの剣」


少しだけ間を置く。


「好きだよ、ああいうの」


……おい。


それはちょっと。


「……そっすか」


なんとかそれだけ返す。


心臓が、ちょっとだけうるさい。


「また怪我したら来て」


にこっと笑う。


「ちゃんと治すから」


いや、怪我前提なのかよ。


まあでも――


「……助かります」


素直に言えた。


「うん」


満足そうに頷く。


「じゃあね」


軽く手を振って、去っていく。


その背中を、なんとなく見送る。


「……なんだよ、あれ」


変な感じだ。


でも。


悪くない。


手を握る。


さっきまでの疲れが、ほとんど消えていた。


「すげえな……」


回復魔法って。


いや、それより――


「……また会うかもな」


ぽつりと呟く。


なんとなく。


そう思った。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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