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貧民出身の俺、王立剣術院で半年間ただ素振りしてただけなのに“完成された剣”だと見抜かれて最強への道が始まった〜姉妹を取り戻すために成り上がる〜  作者: シラセユウ


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型の正体

はじめまして、またはお読みいただきありがとうございます!


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

第二話 型の正体




連れてこられたのは、訓練場の奥にある小さな石造りの建物だった。


普段は絶対に近づけない場所だ。



「ここって……」



「特別訓練室だ。見習いが来る場所じゃない」



だよな。

俺もそう思う。


なんで俺ここにいんの?



「立て」



言われるまま中央に立つ。


床には、薄く線が引かれていた。円……か?



「今と同じように振れ」



「いや、だから俺、普通に――」



「いいから振れ」


有無を言わせない声だった。



……はぁ。


なんなんだよ、ほんと。



「えーと……こんな感じで」



軽く、棒を振る。


――その瞬間。


ビキッ、と。


足元の石床に、細い亀裂が走った。



「……は?」



自分の目を疑う。


いやいやいや、今の何?


俺、そんな力入れてないぞ?



「……もう一度だ」


ケッヒル隊長の声が、低く沈む。



さっきまでと違う。

妙に静かで、嫌な感じだ。



「は、はい……」



今度は少しだけ意識して振る。

さっきの動きをなぞるように。



スッ――



空気が、裂けた。


耳に残る、妙な余韻。



振り抜いた後の軌道が、やけに“通っている”。



「……っ」


隊長が、息を呑んだ。



「おい……もう一度やれ」


声が、わずかに震えていた。



え、なにこれ。

そんなやばいことしてる?



三度、振る。


同じ軌道。

同じ感覚。


迷いなく、まっすぐに。



――スパッ。


今度は、空気の音がはっきり聞こえた。


まるで何かを“切った”みたいな音。



「……やはりか」


隊長が呟く。



だが、その顔はまったく落ち着いていなかった。



「な、なんなんすか、これ」



「お前、自覚はないのか」



「ないっすよ。普通に振ってるだけで――」



「それが問題だ」


即答だった。



隊長は一歩近づき、俺の手元を軽く叩く。


「その動きは“基礎”じゃない」



「……は?」



「“完成形”だ」



意味がわからない。



「剣の型というのはな、何年、何十年とかけてようやく辿り着くものだ」



じっと、俺を見る。


「それをお前は――無意識でやっている」



いやいやいや。


「そんなわけ――」



「ある」


また即答だった。



逃げ場なし。



「そしてもう一つ」



まだあんのかよ。



「お前のそれは、どの流派にも属していない」



「は?」



「見たことがない。だが――理に適いすぎている」



……なんだそれ。



「つまりだ」


隊長が、はっきりと言う。


「これは“型”じゃない」



「……え?」



「完成された剣、そのものだ」




頭が、追いつかない。


意味がわからない。



でも――


これ、絶対ヤバいやつだってことだけはわかる。



「……面倒なことになってません?」



「なっている」


即答だった。


「しかも相当な」



うわ、最悪だ。



「安心しろ」



全然安心できない声で言うなよ。



「お前はこれから、通常の見習い課程から外れる」



「……え?」



「俺が直接見る」



は?


は???



「嫌だって顔をするな。逃げられると思うなよ」



いや、逃げたいに決まってんだろ。


めちゃくちゃ面倒そうじゃねえか。



でも――


姉ちゃんと妹の顔が、頭をよぎる。



「……そ、それで、剣士になれます?」


俺は、聞いていた。



「なれる」


即答だった。



だが、その直後。


隊長はわずかに言葉を切る。


「ただし――」



一歩、距離を詰められる。


逃げ場がない。



「お前はもう、普通の剣士にはなれん」



「……は?」



隊長の口元が、わずかに歪む。



「なるのは――」



ほんの一瞬、空気が張り詰める。


「“化け物”だ」



……うわ。


これ、ガチでやばいやつだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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