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第四章(1):黄金の魔王城、波乱の幕開け!?


黄金の魔王城に到着!



深紅の長い絨毯が敷かれた玄関ロビーは、想像以上にきらびやかだった。


足を踏み入れると、フカフカした絨毯が心地よくて、思わずスキップしたくなるほどだ。



左右には、毒々しい色合いの、見たこともない奇妙な花々が飾られ、不気味だけどどこか目を引く美しさがある。


そして、絨毯の左右には、これまた見たことのない魔物たちがズラ―――ッと整列し、私たちを出迎えている。



中には、ギョロリとした目玉が複数あったり、触手がうごめいていたり、色も形も様々で、まさに魔物の大博覧会だ!





ルシアン様が私の手をぐっと握り、堂々と一歩を踏み出すと、それまで騒がしかった魔物たちの声がぴたりと止んだ。


彼らは一斉に頭を垂れ、深々と、まるで大地にひれ伏すかのように恭しくルシアン様を迎えている。


その圧倒的な畏敬の念に、背筋が伸びる思いだった。



まるでルシアン様だけが、この世界の時間の流れを支配しているかのようだ。



しかし、ルシアン様が私を連れて歩き始めると、魔物たちは再びざわめき始めた。


「魔王様が人間の女を連れてきたぞ!」


「なんでも、伝説の勇者らしいぞ!」


「へぇ、なかなかいい女じゃないか」


「いやいや、あれで魔王様の相手が務まるとでも思ってんのか?」


と、彼らの目には私たち人間が珍しい生き物と映るのか、まるで動物園のパンダになった気分で、好奇の視線と好き勝手な言葉が突き刺さる。



そんな騒がしさの中、城の隅の方で、ジッと私たちを見つめている一人の男がいた。


長い黒髪、鋭い目つきの彼は、なかなかハンサムで、魔物にしては人間に近いタイプだ。


ちょっと誰かに似ているような……。





魔物たちの視線も言葉も無視して、ルシアン様は私を連れて奥へと進んでいく。


そして、ゼフィルスに「自分の部屋へ行く」と一言。


私には「慣れない場所で疲れただろう」って、優しい言葉をかけてくれるんだ。



ああ、尊い!


やっぱり私の推しは最高だ!



ルシアン様は、私の手を握ったまま、ちらりと周囲を見渡した。


彼の蒼い瞳の奥に、わずかな警戒の色が宿る。


「セラフィナ、絶対に俺のそばを離れるな。そして、その指輪も絶対に外すな」


帰還時の魔物たちの態度を見て、やっぱり何かあると感じ取ったのだろう。



ルシアン様の表情は、少し険しい。


これからどうするか、考えているみたいだ。





***





ルシアン様が、私に楽な洋服を用意してくれているらしい。


ルシアン様の自室には、着替えるための部屋があって、そこへ案内されると……びっくり!



私のために用意された衣装が、ずらーーーーっと並んでるじゃないか!


シルクのような滑らかな生地のドレスから、魔界の素材を使った斬新なデザインのものまで、色とりどり!アクセサリーから、何やらフワフワした生地のドレスみたいなものまで、種類も豊富だ!



私が目を丸くしていると、ルシアン様が「ゼフィルスに用意させた」って、ちょっと照れくさそうに教えてくれた。


え、ルシアン様が!?


私のために!?


こんなに!?愛されてるぅ!



私が衣装の数々に目を奪われていると、ルシアン様はそっと私の腰に手を回し、耳元で囁いた。


「気に入ったか?お前が、この魔界でも一番輝くように選ばせたんだ」。


彼の声は低く甘く、全身がゾクゾクした。



きゃー!



推しからの甘い言葉!


私がこの魔界で輝くって……


もう、ルシアン様、どこまで私をメロメロにすれば気が済むの!





フィッティングルームに入ろうとしたら、そこに控えていた妖艶な雰囲気の、すごくきれいな女の魔物がいた。


どうやら彼女が、今回私の衣装を担当してくれるらしい。



ブロンドの髪は艶やかに輝き、深紅の瞳は吸い込まれそうなほど魅力的だ。


体にはぴったりと張り付くような薄いローブを纏っていて、スタイルも抜群で、肌もツヤツヤしている。



思わず見惚れちゃった。


魔界には、こんなにきれいな人もいるんだ……。



ふと、自分がいない時、ルシアン様はどうしてたのかな、って心配になった。


こんな綺麗な女の人がそばにいたら、もしかして……?


万が一、人間界に帰れなかったら……もしかして、このきれいな人と一緒に……なんて、ありえない妄想が頭をよぎる。



その時、彼女が私の服を着せながら、小さな声で言ったんだ。



「大したことのない人間の女ね。魔王様には、イザベル様の方がずっとふさわしいのに」って。



その言葉と、彼女の完璧なスタイルを目の当たりにして、なんだか急に自分が小さな人間のように思えてきて、恥ずかしくなっちゃった。

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