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転生したら推しが魔王様になってた件~②魔界に行っても推し活は健在です!  作者: 銀文鳥


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第十章(2):準決勝の組み合わせ、そして謎の魔物


準決勝まで残り一日となった。


魔王城の訓練場は、一層の熱気を帯びていた。



私は、昨日イザベルと交わした奇妙な連帯感、そしてルシアン様の「純粋さ」への驚きと、自分自身の恋心が加速していることに、内心では浮かれっぱなしだった。


もちろん、ゼフィルスはいつも通り冷静に、私の訓練を見守ってくれている。




その日の午後、準決勝の組み合わせが発表されると、アリーナの巨大スクリーンに選手の名前が映し出された。



「準決勝、第一試合!カイ…対…クラーケン・ロード!」



スクリーンに映し出された名前に、会場がどよめいた。


クラーケン・ロードは、深海の支配者として知られる、その巨大な体躯と触手で相手を絡めとる手ごわい魔物だ。



しかし、私の視線はすぐにカイに引き寄せられた。


例のイケメン魔物、カイ。


その容姿は、漆黒の髪に、切れ長の目元は涼やかで、端正な顔立ちをしていた。



そして、その瞳は不気味なほどに、金色に輝いていた。


彼もまた、ここまで圧倒的な強さで勝ち上がってきた。


準決勝で彼と戦うことはなくなったが、一体どのような戦いを見せるのか、興味が湧いた。



そして、第二試合の組み合わせが発表される。



「準決勝、第二試合!セラフィナ…対…ゼフィルス!」



私の目に映った文字に、ついに来たかと息を呑んだ。


隣に立つゼフィルスは、普段と変わらない無表情のままだったが、その瞳の奥には、どこか決意のような光が宿っているように見えた。



「ゼフィルス…?」



私の呼びかけに、ゼフィルスは静かに頷いた。


「はい。セラフィナ様。私も全力で戦わせていただきます」その声には、一切の動揺が見られなかった。


まさか、いつも冷静で、私を支えてくれるゼフィルスと戦うことになるとは。



私の心臓は、驚きと、そして少しの困惑で高鳴っていた。





準決勝を翌日に控えた夜、魔王城の特別応接室で、準決勝に進出した選手たちと、魔王ルシアン様を囲む夕食会が催されることになった。


豪華な料理が並べられた円卓には、私とゼフィルス、そしてクラーケン・ロードが座っていた。


クラーケン・ロードは、夕食会のためにその巨体を適度な大きさに変じて参加していた。



そして、その一角に、カイが一人、静かに座っている。



ルシアン様が、私たちに労いの言葉をかけてくれる。



「皆、明日の準決勝、悔いのない戦いを期待している」


その言葉に、クラーケン・ロードは深々と頭を下げ、ゼフィルスも「ありがとうございます」と静かに応じる。



だが、カイは無言で、ただワイングラスを傾けているだけだった。



ルシアン様が、カイに視線を向けた。


その瞬間、ルシアン様、ゼフィルス、そして私。


私たち三人の視線がカイに集中した。



彼の漆黒の髪、整った顔立ち、そして何よりも、その精悍な面差しは、カスパール君に酷似していたからだ。


しかし、カスパール君にはない、冷たく、そしてどこか歪んだ執着を秘めた金色の瞳が、その印象を大きく変えていた。



ルシアン様は、わずかに眉をひそめながら問いかけた。


「カイ殿。あなたについて、この魔界には多くの謎がある。私も、その力に並々ならぬものを感じている。差し支えなければ、自己紹介を願えるだろうか…」



カイは、ゆっくりと顔を上げた。


その金色の瞳が、ルシアン様をまっすぐに射抜く。



「カイ、だと?フン、それはお前たちが勝手につけた名だろう。俺に、名前などない」



会場の空気が、一瞬にして張り詰めた。



ルシアン様も、その言葉にわずかに眉をひそめる。



「なるほど。では、何と呼べば良い?」



ルシアン様の問いに、カイはフッと笑った。


「俺に名など不要だ。ただ、ルシアン、お前と戦うこと。それだけが俺の望みだ。」



クラーケン・ロードが、顔を青くして小声で呟いた。


「な、なんて無礼な…魔王様に、そのような…」



ゼフィルスも、珍しく表情を曇らせ、カイに鋭い視線を向けている。



カイの視線が、私に向けられた。


「セラフィナ。お前も、あの魔王の寵愛を受けているようだな。だが、お前がどれだけ強くとも、この大会など、取るに足らない。俺は、ただルシアンと戦いたいだけだ。他の試合などどうでもいい。」


その言葉は、アリーナでの私の勝利も、ゼフィルスとの試合も、全てを侮辱するかのようだった。



私の心に、静かな怒りが湧き上がる。



しかし、ルシアン様は、カイの言葉を遮ることなく、ただ静かにカイを見つめていた。



その蒼い瞳の奥に、何か深い思索の光が宿っているように見えた。


その時、ルシアン様は静かに口を開いた。





「やはり、お前は…カスパールなのか?」





彼はルシアン様の目を見つめたまま、その唇の端が、不気味な笑みの形に歪んだ。



「…そう、俺は、カスパール…だった、と言うべきか…」



カイの言葉が、部屋中に響き渡る。



ルシアン様の顔には、深い苦悩の表情が浮かんでいた。



「俺は、カスパールが狭間で生み出した、お前に対する執着、そして…負の感情だ。そして、ゼフィルス、お前がゲートを通過した時、俺は狭間からこの魔界に入ってきた。カスパールが、ずっと異界に執着していたからな…」


カイは、その禍々しいオーラを放ちながら、ルシアン様を睨みつけた。



ルシアン様の瞳は、その真実を前に、静かに揺れていた。

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