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転生したら推しが魔王様になってた件~②魔界に行っても推し活は健在です!  作者: 銀文鳥


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第六章(1):魔王の貞操と、揺れる恋心


魔界に来てからというもの、ルシアン様はずっと私に自分のそばを離れるなと言ってくれている。


だから、私は、基本的には、ルシアン様の部屋にいる。



しかし!


ルシアン様の部屋は広大で、その部屋の中にもまた、いくつもの部屋があるんだ。


なので、一緒に話をしたりするときは、同じ部屋にいるけど、寝る時は、いつも別々の部屋だ。


私が、お風呂から出てきた時に、たまたまルシアン様と会うと少しおどおどしている時もあったけれど……



照れているのかな。



基本的に私と同じ部屋で寝ることはない。


人間界の白亜の城でも部屋は別々だったし……



それが、少しずつ不安になってきていた。


いくら能力が低いとはいえ、あのサキュバスの存在もそうだし。



そもそも、ルシアン様と両想いになってから、抱きしめてくれたり、手を握ってくれたりはしてくれるのに、未だにキスすらしてこない。


もちろん、一緒に寝るなんて夢のまた夢だ。



「ルシアン様って、そもそも今まで女性と付き合ったことあるのかな……」



思わずそんなことを考えてしまう。


私こと佐倉花は、もちろん男性と付き合ったことなんてない。


だって、11歳でルシアン様に初恋をしてから、ずーっとルシアン様一筋なんだから。



転生したり、魔界に来たり、色々あったけど、私の心にはルシアン様しかいない。


でも、ルシアン様は私以外にいたんだろうか?



佐倉花だった頃、えありす先生が書いてくれたルシアン様の物語には、彼の恋愛遍歴については一切触れられていなかった。


幼少期の話で、魔法使いの王の家に生まれ、幼い頃からたぐいまれなる魔法の才能を発揮していたこと、そして跡継ぎとして厳しく育てられたことだけは、うっすら知っている程度だ。


ルシアン様は、五光の勇者だった頃は魔法使いの王として、おそらく20代前半の設定だったはず。


それから十数年魔界で過ごして……


きゃー、オトナの男性の魅力!


……うーん、でも、魔界ではほとんど歳をとらなかったんだよね。


実年齢は前と変わらず、20代前半ってことなのかな?


うーん、年齢は関係ないよね……



「もしかして、私が魅力ないからかしら?」



ルシアン様に気づかれないように、必死で考えを巡らせていた。


そんな中、私はルシアン様に剣の稽古をつけてもらったりと、充実した日々を送っていた。





***





その日の午後、私はルシアン様との剣の稽古に臨んだ。


彼の城に併設された、広大な訓練場。人工的な光が差し込むその場所で、ルシアン様はいつものように優雅に、しかし厳しく、私の剣を指導してくれた。



「セラフィナ、重心がぶれている。もっと地面に根を張るように、足腰を安定させろ」


ルシアン様の言葉は的確で、私の剣の弱点を瞬時に見抜く。



私が竹刀を構え、面に打ち込むと、彼は軽く体を捌いて、私の攻撃をかわした。



速い。


まるで風のようだ。



「いいか、聖剣の使い手は、ただ力任せに振るうだけでは駄目だ。魔力を剣に乗せ、己の心と一体とすることで、真の力を発揮する」



彼は自らも訓練用の剣を手に取り、見本を見せてくれる。


流れるような剣さばき、無駄のない動き。


美しく、そして恐ろしいほどの強さ。



私の知るルシアン様は、魔法使いの王として、魔法での戦いが主だったけれど、その剣技もまた、王としての威厳に満ちていた。



「次は小手だ。踏み込みを深く、しかし無音で。相手に悟られるな」


彼の指示に従い、私は何度も剣を振るう。


汗が額から流れ落ち、稽古着が肌に張り付く。


正直、体力的に限界だったけれど、ルシアン様が隣にいると思うと、不思議と力が湧いてくる。


彼の蒼い瞳が、真剣な眼差しで私を見つめている。


その瞳に、私の未熟な剣がどう映っているのだろう。



「魔力を剣に乗せる……ですか?」


私が尋ねると、ルシアン様は小さく頷いた。



「そうだ。お前が聖剣に宿る魂、そして前世の記憶を思い出した今、聖剣とのお前の結びつきはより強固になっているはずだ。それは、聖剣をただの武器ではなく、お前の分身のように扱うことを可能にする。感じてみろ、剣の鼓動を。お前の心が、そのまま剣となるのだ」


彼の言葉は、まるで魔法のようで、私の剣に対する認識を根底から揺さぶった。



私は目を閉じ、剣に意識を集中する。



確かに、聖剣から微かな温かさが伝わってくるような気がした。



「よし、よくやった。今日はここまでにしておけ。無理をするな」


ルシアン様は、私の額の汗を優しく拭ってくれた。


その大きな手と、心配そうな眼差しに、私の心臓は高鳴る。



どんなに厳しい稽古でも、この瞬間があれば、全て報われる気がした。



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