第五章(3):天下一品魔闘会への道!セラフィナ、参戦!?
魔王城の一室で、ルシアン様と二人、今後の魔界の統治について話し合っていた。
私の提案した『天下一品魔闘会』が採用され、気分は上々!
だけど、ふと、あることが頭をよぎったんだ。
「そういえば…最近、あまり剣を振るう場所がないなぁ…」
人間界では勇者として魔物と戦う機会も多かったけど、平和になってからはめっきり。
ルシアン様の護衛はしてるけど、大した戦闘はしてないし。
「あの!ルシアン様!私も、その天下一品魔闘会に出てもいいですか!?」
私の突然の発言に、ルシアン様は目を大きく見開いて、ちょっとビックリした顔をした。
そりゃそうだよね、まさか勇者が魔界の武闘会に出たいなんて言うとは思わないか。
「セラフィナが…?危険だ」
やっぱり心配するよね、推しは!
でも、私の瞳は真剣だ。
魔界の強者たちと戦ってみたい!
自分の力を試したい!
そして、なにより、魔界は強いものがすべてというこの世界で、私がルシアン様にふさわしいと、魔界の人たちに認めて欲しいから。
ルシアン様の隣に立つ存在として、誰もが納得する強さを示したいから。
「大丈夫です!」
「私だって、ルシアン様の隣に立つ者として、もっと強くなりたいんです!」
私が熱意を込めて訴えると、ルシアン様は少しの間、じっと私を見つめた後、フッと小さく笑った。
「…セラフィナがそこまで言うなら、いいだろう。ただし、無茶はするな」
やったー!!
ルシアン様、承諾してくれた!
本当に優しい!
これで、私も魔界の戦いに参戦できるぞ!
***
ルシアン様による『天下一品魔闘会』の開催が決定すると、魔界中にそのアナウンスが響き渡った。
数日後には、あちらこちらにド派手なポスターが貼られ始めたんだ。
魔物が集うバーやカフェの壁、薄暗い路地の片隅、どこにでも『天下一品魔闘会』の文字と、ルシアン様の威厳あるシルエットが描かれたポスターが目につくようになった。
魔物たちの間では、たちまちその話題で持ちきりになってるのが、城下町の様子からも伝わってきた。
「出るからには、本気で勝ちに行かないと!」
私はそう決意して、ルシアン様にお願いすることにした。
「ルシアン様!どうか、私の剣の稽古をつけてください!」
昔、ルシアン様が魔法使いの王だった頃、私もよく稽古をつけてもらっていたっけ。
あの時も、彼の力には全く歯が立たないと思ってたけど、今回はどうかな…。
魔王の稽古がどれくらいきついのか、想像もつかないけど、きっと人間界での訓練とは比べ物にならないだろう。
でも、ルシアン様の指導を受けられるなんて、これ以上ないご褒美だ!
「ああ、いいだろう。ただし、手加減はしないぞ」
ルシアン様が不敵な笑みを浮かべた。
その言葉に、私の闘志に火がついた。
魔王様の直接指導なんて、超豪華レッスンだ!
これなら、どんな強敵が相手でもきっと大丈夫!