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宰相の息子3

エドワード殿下は決して馬鹿ではない。考えが足りないだけだ。しかも無駄に行動力があるせいで「頭の軽い王子」と見られてしまう。

それが一番問題なのだと分かっているが、殿下だけのせいとも言い切れない。

 

幼少期から殿下の傍にはキャサリン様がいた。二人は婚約者であり従兄妹同士であり幼馴染でもあった。いわば完璧なるお膳立てが出来ていたのだ。近過ぎたせいか、それとも殿下の優柔不断な性格のせいか、キャサリン様が殿下に惚れる事は終ぞなかった。それでも出来の悪い弟のような愛着はあったようで、なにくれと世話を焼く姿が見られた。

教育係からの厳しい指導に殿下も最初はついていけなかったそうだが、キャサリン様が「勉強会」などを開いて教えていたそうだ。そのお陰か、殿下の()()()()()()()()は上昇したと聞く。ただ、惜しむべきなのは「点数は良かった」ことだ。殿下は「優秀な点数を取る」のを目的としていた。つまりテストが終われば習った課程はきれいさっぱり忘れさるといったもの。どこの一夜漬けの学生なのかと父上(宰相)が零していた。勉強する意味がないと思われがちだが、所作は完璧で学園の成績もトップクラス入りなので「それは違います」と言える者がいない状態でもあった。

教育係たちも頭を抱えてはいた。だが「エドワード殿下は結果を出していますが勉学が頭に入っていません」と国王陛下にいう訳にもいかなかったらしい。国王陛下自身も同じような教育を受けてきたのだ。しかも殿下は「結果」という証拠を揃えている。非難出来なかった。

それでも何とかなると皆が思ったのは、婚約者にキャサリン様がいたからだろう。




キャサリン様は優秀だ。天才といっていい。キャサリン様がいれば次期国王が少々残念な人物であろうとも王国は上手く運営出来る思われた。


その天才肌のキャサリン様は、常に殿下を支えていた。殿下が考えをまとめる前に答えを目の前に差し出していたのだ。


茶会、パーティー、夜会、学園。


きっと他にもあるのだろう。

ありとあらゆる場所でエドワード殿下とキャサリン様は行動を共にしていた。

当時は婚約者同士だったのだから当然だと思っていたが、今思えば二人は一緒に居すぎていた。アリス嬢と恋仲になってからもキャサリン様を優先していた。だから、まさか婚約破棄を宣言するなど思いもしなかった。アリス嬢は「愛妾」にするだろうと思っていたのだ。



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