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騎士団長の息子3

エマヌーレ国王。

かの人を暗愚の王と呼ぶ者もいれば、有能な経営者だという者もいる。一方で()()()()()()()であり()()()()()()だという者もいた。

ここまで極端に意見が分かれる君主も珍しいだろう。


そしてどちらも間違ってはいない。

 

天才であり愚かな王であったのだ。


挫折を経験した事のない人間はいざそうなると浮上する事が出来ない、というのは本当の事らしい。

しかもそれが権力を持った人間ならばなおの事認められないらしい。


生まれて()()()()()()()()したエマヌーレ国王は、そのショックから対外戦争を止め、平和路線に切り替えた。それ自体は間違っているとは言い難い。大なり小なり戦争には金が掛かる。エマヌーレ国王よりも前の治世が経済的に低迷をしていた大きな要因が度重なる戦争であったからだ。一時的にせよ、それが無くなれば国庫はかなり支出を抑えることが出来る。

だからこそ、初めはその国策が「善政」と讃えられた。

もっとも、それ以降が極端な「平和路線」であったため「愚策」となってしまったが……。


エマヌーレ国王は「平和」を目指す余り、あろうことか「国軍」を解体したのだ。行き過ぎた行為に当然反発する者は続出したが、王は止まらなかった。反対する者は「国家反逆罪」として処刑された。その中で最も血を流したのは我が一族だ。


ベデヴィア伯爵家は元々「軍閥」だった。

それも建国当初からの軍の名門。軍の解体には一番反対した。エマヌーレ国王にとっては「平和を乱す邪魔者」にほかならず、一族の大半が「反逆者」として公開処刑にされた。軍の要を失い、弱体化した国防。そこに付け込まない敵国などいない。粗方の粛正が終了するのを待っていたように攻め込まれた。守る軍がない国などあっという間に制圧されるのがオチだ。異変に気付いた文官たちが生き残っていた武官と共にグランデン帝国に助けを求めなければとっくの昔に敵国に蹂躙されて終わっていただろう。


グランデン帝国の支援のお陰で国はなんとか守れた。

その代償が主権国家でなくなることであったが敵国の手に堕ちるよりかは遥かにマシだ。


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