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王子2

注:会話で「」の時は王国語、『』の時は帝国語になります。因みに帝国語は共通語でもあります。


 

ヒソヒソと王族たちの囁き声が聞こえてきた。


『やはりこの程度か』


『所詮は()()()()()()()だ。仕方のない事だろう』


馬鹿にされている事に気付いた瞬間、恥辱で顔が赤くなるのが分かった。

幾ら、この国の貴族階級とはいえ失礼極まりない。ここは抗議するべきだと立ち上がろうとした途端、「エドワード殿下」と声を掛けられた。声のする方向へ振り向くとアレックスとヴィクターがいた。


「国元から急ぎ御連絡がございましたので、少々よろしいですか?」


なに!?

国からの連絡だと?


「ああ、分かった」


 

抗議するために立った足で、そのまま二人に誘導されるように部屋を後にした。連れられた場所は先ほどいた部屋から二つ離れた処であった。小さなテーブルと椅子が四つ程ある。控えの間のような空間だ。あの場所で話さなかったからには何か良くない事が王国に起こったという事だろうか?



「一体何の連絡だったんだ?」


椅子に座るのも惜しいと思い、立ったままの状態で訊ねた。


「国からの連絡はありません」


「な、なんだと!?なら何故このような場所に連れて来たんだ!」


「あのままでいれば殿下は先ほどの方々に抗議していたからです」


「それの何が悪い!」


「エドワード殿下、()()()()()ご存知ですか?」


「この国の貴族だろう!」


「貴族ではありません。()()です」


「なっ!?王…族?」


「そうです」


「な、何を言うのだ!謁見の場に彼らはいなかったぞ!?」


「当然です。謁見の場で挨拶を交わしたのは『国王一家』だけです」


「それこそおかしな話ではないか!国王一家でないのなら王族な訳がない!()()()()()()()()()()の間違いだろう!!」


僕はアレックスの言葉のおかしさを指摘した。

幾ら王家の血を引いているとはいえ、王族と貴族とでは立場が違う。

僕が失態を犯した東の国の貴族と違ってヴィエンヌ王国は我が国同様に三百年ほどの歴史の国だし、貿易はさほど行っていない。ほとんど交流がないといってもいい位だ。そんな国から王子の僕が侮辱されたのだぞ?


「殿下、国王一家でないからと申して、何故彼らが貴族だと断言なさるのですか?彼らから()()()()なさったと聞いたのですか?」


「国王一家でないなら貴族位に降りるのは常識だろう」


「それは()()()()()()()()です」


何を言われたのか分からなかった。

アレックスの言葉が理解できない。

国王の家族でない者が王族だとでもいいたいのか?

コムーネ王国だけの常識……だというのか?

そんなバカな!

周辺国は我が国と似たり寄ったりの政治体制だろう!

現にコムーネ王国と仲の良いベニス王国の外交官は()()()()()()()()()だぞ!?


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