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狂気  作者: 山川俊則
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The Dark Side of the Moon

それからというもの道ゆく全員にネジが刺さってる。街ゆくおっさんも、2番目の駅のあのこも、会社の女同僚も、なんなんだ。うざい、ウザすぎる。いつもなら女部長に怒られてる時胸を見てグチャグチャにおかしてやるからなと怒りを狂気で発散してるのだが、ネジが気になって仕方ない。それどころかこの頃、むねや下腹部、尻などになんの官能性も感じなくなった。なんなんだ?何を見ても何も感じない。息子もしばらくご無沙汰だ。さらには味覚も死んできている。これはタバコのせいだと言われそうだがそういう訳じゃない。なぜならタバコの味がわからないからだ。

何を吸っても何も感じない。謝っている時に感じる狂気も何も感じない。というかなんなら感情が薄い、物事が全部コピーのコピーのそのまたコピーみたいな。解像度のひくい写真みたいにどんどん薄れていく。どうなっちまったんだ。

ただそんな中一つ上達したことがある。それは感情を偽ることだ。 嬉しくないのに嬉しいふりをし楽しくもないのに笑う。うまくもない飯をうまいと言ったり、今まで狂気的と感じていたものを造作もなくできるようになった。

家も散々積み上げたストゼロのやまもなくなり。ものが無くなった。前までは馬鹿にしてたミニマリストみたいにゴミで溢れかえった我が家が、綺麗に何もなくなった。ベットなどの必要最低限の家具。テーブルの上にはキャンドル。

その上人付き合いも良くなった。おしゃれな感じを出していたり、上司の面白くない話もわらい。へこへこ頭を下げる。これの繰り返しの日々が続いた。すると自分の薄れゆく感情に反比例するように昇進が決まっていった。

今では六本木の本社に勤めてる。一般的にみると人生は薔薇色だ。でも俺の中で何かが変わっているのは事実だった。

家であんなに面白がって見てたタランティーノの映画は見るのをやめたくなるくらい退屈だし、前の同僚と話すくだらない世間話も何も面白いと感じなくなった。あんなに好きだった音楽も、高校時代に死ぬほど打ち込んだバスケットボールも何も楽しいと感じない。俺はどうなっちまったんだ。電車の雑音を消すために流す。音楽はただ耳を阻害するためのもの。ちょうど今の曲が高校時代にハマっていたlost control だということに気づく。あんなに熱狂していたのに。くだらないなあ。会社から帰るタクシーの中一人窓の外の東京の景色を眺めていた。

反応が良かったら続きをかいてみようと思います

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