はぁ.....またかぁ....
「みなさん....100回ぐらい死んだほうがいいですよ!」
受付嬢のニアさんからこんなことを言われてしまった。
僕たちは、自称世界1位のパーティーだ。
自称ってなんかかっこいいだろ?
ニアさんがこんなに怒っているのはきっと、ルジーシュのことだろう。
あいつはなんでも『力』で解決しようとするからなぁ。
さっきCランクのクエストを受けてきたんだけど、
ルジーシュが、「薬草?!いちいち摘むのが面倒くさいから生えてる土ごと持っていこう。うん、そうしよう!」って言って今に至るんだ。
流石の僕でもこれはダメだと思うよ。
「アカさん!ランク上がりましたか?」
彼女はサヨサン。僕たちのパーティーの回復士だ。
ちなみに『アカ』は僕の名前。
髪が少し赤いから名前がそうなった。
僕たちのパーティーはみんな幼馴染で孤児だ。
男2人と女2人。仲良しだ。
「サヨさん。また、ダメでした。」
「はぁ.............あの脳筋野郎め。食事抜きだ。」
「サヨさん?」
「あの筋肉め.....グギギギギ。」
「サヨさーん?」
サヨさんはよく独り言を言う。僕は耳がちょっと悪いから聞こえないけど。
「いったい、いつになったらまともに....ハッ!」
「サヨさん。大丈夫ですか?」
「私ったら、すみません!ついルジーシュの事を考えたら.........」
「今日も野宿ですかね?」
「あぁはい。そうなると思います。場所取っときますので、ご飯などの買い出しをお願いしてもいいでしょうか?」
「うん!わかったよ。魔法で教えてね。」
「はい。では。」
僕たちはパーティーとしてはCランクだけど、一人一人だとBランクとかAランクの実力を持っているんだ。
でも何故かクエストがうまくいかなくて、いつも橋の下や穴の中、椅子の上なんかで生活しているんだ。
僕は食料担当。サヨさんは場所取り担当。ルジーシュは力持ち担当。最後に、キュキュさんが交渉担当だ。
食料を買い出しに行かないと。
ギルドから少し歩けばすぐそこだ。
「おじさん。りんご4つください。」
「1個10シェルだ。」
「じゃあ35シェルだね。」
「ん?40シェルだが?」
「あれ?ちょっと持ってて。」
1個10シェルで....4個だから.........40シェルだ!
「すみませんでした。40シェルでお願いします。」
「あいよ。確かにもらったぜ。りんご落とすなよ!」
「ありがとうございます。」
りんご4個あれば、6日はもつだろう。
いい買い物をしたなぁ。そろそろ連絡が来ると思うけど。
《コール》(あーあー。聞こえる?場所見つかったかい?)
(.........うん!今連絡するところだったの。)
(ありがとうサヨさん。)
(場所はギルドの北側の橋の下だよ!)
(あそこは雨風しのげるし、快適なんだよなぁ。)
(そうよ。もうみんないるから早く来てね。)
(うん!今すぐ行くよ!じゃあ。)
《コールエンド》
さあ、りんごを持って、行こう!