決戦④
「それじゃあ、い た だ き ま す!!」
【暴食の悪魔】マキシはクロエに向かって走り出した。
1度戦っているので、マキシの戦法はわかっている。
マキシの手は触れた者の魂を引きずり出すことができる。
マキシの腕に胸を貫通されると、自分の魂が抜かれてしまうのだ。
だから接近戦は極力避けたい。
でも実は私には遠距離攻撃がないのだ。
「【穢土掌握:魂ノ収穫祭】!」
マキシが呪文を唱えると、世界の色は一瞬だけ反転した。
白は黒に。黒は白に。
その瞬間、心臓の当たりがキリキリと痛む。
マキシの【穢土掌握】は、流体のように体中に流れる魂を
一か所に集中させ、魂を刈り取りやすくする技だ。
その効果で胸の当たりに集まった魂の存在感がキリキリとさせる。
「この前、食べられませんでしたからね!今度こそいただきますよ!」
あの時はマキシのスピードに着いていくのがやっとだったが、
ウチもちゃんと成長してる!
「遅なったんとちゃう?【神力展開:縁切り・金毘羅】!」
バチィンッ!
マキシが伸ばした手に触れて呪文を唱えると、
激しい衝撃が発生し、マキシを元のいた場所に弾き飛ばす。
「グッ!!!」
その衝撃でマキシの眼鏡にヒビが入る。
「なるほど。少しは強くなっているようですね。
ならこちらも本気の食事をさせていただきます!」
マキシは眼鏡を放り投げる。
「【穢術:喰紅―赫―】!」
パァン!!!
マキシの呪文と同時に世界が真っ赤に染まる。
空も地面も私さえも赤色に見える。
「―赫―は警戒の色。魂に直接語りかけています。一歩たりとも動けまい!!」
マキシは右手を黒く光らせて、魂を抜き取ろうと近づいてくる。
「クロエ!!危ない!」
リークが叫ぶ。
でも心配ご無用!
「何遍も同じ技くらうわけないやろ!【神力展開:縁舞】!」
「なに!?」
マキシの腕の横を華麗に舞いながら避ける。
「【神力展開:縁切り・天眼】!!」
ドンッ!!
「グハッ!!」
鈍く重い衝撃がマキシの体内に入り弾け出し、また元のいた場所まで飛ばす。
「クソ……。小娘が調子に乗りやがって!!」
「乗せさせてもらってまーす!」
これなら倒せる。一気に畳み掛ける!
「【神力展開:縁華得慈】!」
呪文を唱えると、クロエの後ろに白色に輝く一輪の花が現れる。
そして、クロエの背中に妖精のような羽が生える。
「一気に決めるで!」
クロエはその羽を利用して空を飛び、マキシに向かっていく。
「力を解放する……。後悔するなよガキがぁ!!」
マキシの身体はメキメキと音を立てる。
前回の戦いでは内なる自分に負けて理性を失い変形したが、
今回はそれもコントロールしているようだった。
それの証明として、前回の化け物のような体つきとはまったく違っている。
体系は少し筋肉質になっただけで変わっておらず、
頭に角が生えただけのように見て取れる。
「変身したってもう遅いで!【神力展開:繧繝縁】!」
「【穢術:喰紅―蒼―】。」
世界が一瞬にして青色に染まる。
「な!?」
その瞬間、世界のすべてが青に包まれ存在が消える。
「なんや!?何が起きてるんや!?」
周りを見渡しても何もない。
ただ青色が広がっている。
さっきまで頬を触れていた風の感触、草の揺れる音、におい。
すべてがこの世から消え去っている。
この世界に残っているのはただただ自分ひとり。
妙な焦りのような感覚が湧き上がってくる。
なんや?この感覚は?
孤独……?
ザシュッ!!!
「―蒼―は孤独。一人の世界で息絶えるがいい。」
クロエの後ろで咲いていた華の花弁が1つ、悲しそうにひらりと散った。




