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決戦②


「うわああああ!!【嫌悪解放:万力(ヴァイス)】!!」



 スイは黒い空間からの落下の衝撃を地面を殴り中和した。



「きゃああああ!」


 上から叫んでいるハンナと無言のケーゴが落ちてくる。

 スイは咄嗟にハンナの着地点に先回りし、お姫様だっこのように受け止める。


「あ、ありがとうございます。」

「いえいえ。」

「【神力展開:神器開放・八手団扇】。」


 ケーゴは魔法陣から団扇を取り出し、

 地面に向けて仰ぎ風を起こして難なく着地した。


「やるわね。」

「これぐらい余裕だ。」


 ハンナを下し、周りを見渡すとそこは神殿ではない果てしない草原だった。


「ここどこだろ?僕は知ってる?」

「俺はケーゴだ。僕じゃねぇ。知らねぇよ、こんなとこ。」

「そっかぁ……。!?」



 草原を撫でる心地よい風と共に、今まで感じたことのない威圧感が流れてくる。



「こ、これは?」

「3日ぶりだな。【悪魔】。」



 黒い空間から【憤怒の悪魔】ガレノス・ダーガインが姿を現した。



「ちょっとは強くなったか?神様よ。」


 ガレノスは、3日前と変わらず上半身に包帯を巻いた姿をしている。

 ただ、新しくしたのか包帯は真っ白だ。


「すぐにその包帯を赤く染めてやるよ。」

「お前らの血でか?」



 次の瞬間、ケーゴは目に追えない速さでガレノスへと飛びかかる。



「おぉ!?成長してるじゃねぇか!!」


 しかし、初段をガレノスに受け止められてしまう。


 ケーゴの右ストレートを受け止めたガレノスは油断しており、

 左手に武器を隠し持っていることに気が付かなかった。



「【神力展開:神器開放・金剛杵(ヴァジュラ)】!!」



 ケーゴが持ち出した武器は、雷を纏いガレノスの身体に命中する。


「ぐぁああああ!!!」

「終わりじゃねぇーぞ!【神力展開:神器開放・蜻蛉切(トンボギリ)】!」


 ケーゴは、電撃によって離された右手に槍を召喚し、ガレノスへと突き刺した。



ザシュッ!!



「グッ……。」


 す、すごい……。

 僕なんて呼んでしまったけど、ここまで強いとは。


 この子なら、【憤怒の悪魔】なんて一瞬で倒してしまうんじゃないだろうか?


「一瞬じゃつまんねぇぞ?」

「ふふふふ……。やるじゃねぇか……。」



 ガレノスは、自分に貫通している槍を掴み握力でそれをへし折った。



「なに!?」

「これからがショータイムだぜ……。」



ゴゴゴゴゴゴッ!!



 ガレノスから溢れる黒きオーラが濃度を増す。

 ケーゴもそれを察知してガレノスから距離を取る。


 ガレノスは、何を思ったのか腹に自分の腕を貫通させる。



ドスッ!!



「な、なにしてんだてめぇ!」

「ふふふふ……。もっと……、もっとだ!もっと俺を痛みつけろ!!

 【穢土掌握:怒首領覇(ドドンパ)】!!!!」


 ガレノスが呪文を唱えると、世界の色は一瞬だけ反転する。

 白は黒に。黒は白に。



「さぁ、始めようか。殺し合いをよぉ!!」






「うぉおおおお!?」



ドスーーーンッ!!



 空中に出現した黒い空間によってバーンは地面に叩きつけられてしまった。



ストンッ



 その横に何喰わない顔できれいに着地したアセナと、

 地面を水のようにして高飛び込みの要領で衝撃を避けたギョギョがいた。 


「やっぱり水は最強ギョギョ。所詮、炎は馬鹿ギョギョね。」

「あぁん!?なんか言ったか魚類!!焼き魚にすんぞ!?」

「ギョギョは半魚人ギョギョ!!!」


 炎と水。

 あまり相性は良くないようだ。


 修行の時からチラチラ意識していたようだが、直接的な接点はなかった。


「おい。喧嘩をするな。」

「喧嘩するほど仲が良いって言うかんねー。」

「!?」


 アセナが振り向くと、そこには黒い空間から顔を出している【悪魔】がいた。

 そして、一瞬のうちに黒い空間は消滅しバーンたちの目の前に姿を現した。



「ウチは【嫉妬の悪魔】ククル・ヘヴァリウス。

 下の名前は可愛くないからククルちゃんでよろー。」


 二つ括りの髪の毛を指でいじりながらククルは自己紹介をした。


「あぁ?ヘンバリだが、ヘバウスだが知らねぇが、早くここから出せ!」


 バーンの怒りは【悪魔】の方へ向いたみたいだ。



「ククルちゃんつってんでしょ?マジむかつくんですけど。」

「ククル。お前を倒せばここから出られるんだろうな?」

「そうだよー。話の分かるお姉さんは好きだよ。」


 とりあえず、この状況を脱する為には【嫉妬の悪魔】を倒すことが先決だ。

 すぐにでも倒して、儀式の間に向かわなくては。



「それにしてもラッキーだな。弱そうな【悪魔】だ。」

「それは同感ギョギョ。」

「さっさと倒させてもらうぞ!!【嫌悪解放:バーニングソウル】!!」



 バーンは右手にはめていた手袋を外し、激しい炎を纏う。


「おい!油断するな!」



ザシュッ!!



「あ?」


 突如、バーンの左腕がどこかへ消える。

 な、なにが起きているんだ?


 見渡すと、ククルの姿がない。



「ぐぁあああああ!!!」



 遅れてくる痛みにバーンはもだえる。


 バーンの悲痛な叫びの後に黒い空間が出現し、

 そこからバーンの左腕を持ったククルが現れる。

 

「やっぱ、筋肉って憧れるなー。マジカチカチじゃん。」

「くそがぁ!」



 バーンは炎を操り切断面を焼いて、出血を止めた。



「いいなー。そっちの腕も欲しくなってきたなぁー。」



 ククルは舌なめずりをする。



「そっちも頂戴よ。」


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