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終わりの始まり⑥

 コーリンとリップは【大罪の悪魔】と共にどこかへ消えてしまった。

 二人とも裏切り者だったのか?


「まさか【大罪の悪魔】が神殿に攻めてくるとは思わなかったな。」

 

 ディードは黒い空間が消えた箇所を見つめている。


 コーリンもディードに神力の回路を作ってもらうために

 修行を付けてもらっていた。


 ディードにとってはコーリンも可愛い弟子なのだ。

 それが【悪魔】側についてしまった悲しみは計り知れないだろう。


「まぁなんとか追っ払えたから、遅刻して正解だったな。」


 ディードは大きな口を開けて笑っている。

 あれ?悲しんでない?


「それにしても卜部、久しぶりだなってお前!腕がちょん切れてるじゃねぇか!」


 やっぱりこの人にシリアスなムードは向いていないようだ。


「ディードさーん。」

「おぉ。ちょうどいいところに来たな。卜部を治してやってくれ。」


 そこに【癒しの神】ハンナさんとリーリィとリークがやってきた。

 ハンナさんは修道院での修行時に何度も俺の身体を治してくれた。


「ハンナさん……。先にアセナさんとケーゴの方をお願いします。」

「わ、分かりました。」


 俺は、腕が斬られただけでまだ致命傷ではない。

 しかし、ケーゴやアセナさんは危ない状態だ。


「卜部さん!」

「あぁ、リーリィ。無事でよかった。」

「卜部さんが無事じゃありません!」


 リーリィはいつだって俺の心配をしてくれる。


「完全に切断されてるな。私に任せろ。くっつけてやる。」

「あ、いやハンナさんがいるから大丈夫だよ!」


 ハンナさんの治癒は痛みを伴わない。

 しかしリークの治療は激痛との戦いになる。

 正直に言ってやめてほしい。


「遠慮するなよ。ほら。【神力展開:修理(リペア)】」

「いてぇええええええええ!!!」


 俺の腕はくっつきました。

 とてつもない激痛を伴ってね!


 そうこうしているうちに、ハンナさんは二人の治療を済ませていた。


「ハンナさん。ありがとうございます。」

「いえいえ。アセナさんお久しぶりですね。」


「ケー坊。少し身長が伸びたようだな。」

「う、うるせぇ!少しじゃなくて15cmもだ!」


 ハンナさんとディードは神様陣営と顔なじみのようだ。


「それにしても、まずいことになったな。【時の神】が連れていかれたか。」

「連れていかれたって、俺達を裏切ったんじゃないないんですか?」

「裏切るもんかよ。

 神が悪魔と手を組んで良いことなんてない。穢れでしんどいだけだ。」

「それじゃあ……。」


 リップやコーリンは裏切っていないのか?

 それじゃあ何故、あいつらと一緒にいるんだ?


「おそらく何かを握られてるんだろうよ。

 コーリンはリップがそんな状態じゃ従うしかない。

 俺はあいつの目を見た。それで十分わかった。」


 何かを握られている。

 それはなんなのかは分からない。

 でも、コーリンやリップが裏切り者じゃなくてよかった。


「ディード様、あいつらの目的はなんなのでしょうか?」

「アセナ。様は止めてくれよ。照れるじゃねぇか。」

「いえ、しかし偉大な神職者でありますから。」

「まぁそれが今回影響しているみたいだ。

 あいつらの目的はずばり、【絶望の復活】だ。」


 【絶望の復活】?

 

 その後、ディードは【神】対【悪魔】の歴史について語ってくれた。


 昔、【始まりの神】というものがいた。

 【始まりの神】は、この世界を一人で創りあげたのだ。


 この世界を創るのに力を使い切った【始まりの神】は

 最後の力をふり絞り【創造の神】を創った。


 この世界がより繁栄するために住民である人間を創らせた。


 しかし、人間は争い合い世界の資源を無駄に消費し始めたのだ。

 そこで【創造の神】は人間が信仰すべき【神】という

 役職をつくり世界を統治するように進めた。


 【神】という神聖なものを創るには、正の力を多く必要とする。


 誰しも正と負のエネルギーを持ち合わせており、バランスを保っている。


 【神】を創り過ぎた【創造の神】は自分に負のエネルギーが

 溜まっていることを感じ、その保管場所とし分身を創りだした。

 それが【負の創造の神】だ。


 厳重に飛び込めておいたはずだったが、ある時

 【負の創造の神】は神殿から姿を消した。


 神殿という拠点を創り、【神】たちを集めて

 【負の創造の神】の捜索を開始したが見つけることが出来なかった。


 それもそのはずだ。


 【負の創造の神】は、この世界とは別の世界。

 【魔界】を創りあげていたのだから。


 そこでは、住民である【魔物】や【悪魔】という役職が作られ

 魔力を駆使して独自の文化が芽生えていた。


 そして【負の創造の神】は負のエネルギーを使い果たす前に自分を作り変えた。

 自分を閉じ込め、まるで無いもののように扱った、自分自身に復讐するため。



 それが【絶望の悪魔】だ。



 ディードはそう言って、紙芝居を片づけ始める。


「え?もう終わりですか?【絶望の悪魔】はどうなったんですか?」


 みんなが紙芝居の前で練り飴をクネクネしながら座っている。


「あー、復讐にきた【絶望の悪魔】をドガーンってやって封印しましたとさ。」


 ディードは紙芝居をぽいっと投げ捨てる。


「ちょ、ちょっと適当すぎるでしょ!」

「うるせぇ!状況が分かればいいだろ!?」


 ディードはそそくさとその場を後にする。

 飽きてしまったのだろうか?


「ディードさんは照れ臭いんですよ。」


 ハンナさんがみんなが解散する前に、話の続きをしてくれるようだ。


「ディードさんが封印したんです。【絶望の悪魔】を。」



「えぇええええええええ!?」


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