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終わりの始まり④

「あばよ!!」


 ガレノスは俺の右手をがっちり掴み、逃げられなくした状態で

 俺の顔面に目掛けて拳を振るった。


「やられる!!」


 俺は咄嗟に目を瞑ってしまった。


 しかし、顔面への衝撃は訪れない。


 な、なにが起きてるんだ?

 目を開けると、ガレノスの拳が顔面の前で静止している。


「戦い中に目を瞑る奴がいるかよ。興ざめだ。」


 ガレノスは俺の手を離し、そっぽを向く。


「お、おい!どこ行くんだ!」

「弱い奴に興味はねぇ。放っといてもどうせそこらへんで死ぬだろ。」



 確かに戦い中に視界を自ら絶つなんて愚の骨頂だ。

 しかし、アセナさんやケーゴがやられたんだ。

 戦わないわけにはいかない。



「逃げるな!【神術解放:(ゴウ)】!!」


バシッ


 ガレノスはノールックで振り向きざまに俺の拳を止める。


「戦いから逃げたのはお前の方だ。雑魚が。」



ボキボキッ!



 ガレノスは受け止めた手を握り、俺の拳の骨を折った。


「ぐぁあああ!!」


 手を握るだけで骨を折れるほどの握力。

 拳に激痛が走る。


「まぁいい。殺しておくか。」

「待てよ……。」



 ガレノスの後ろに人影が映る。


 そこには倒れていたはずのケーゴがいた。


「へぇ!まだ立ち上がるのか!やるなお前!」

「なめやがって……。こちとらまだ全力出し切ってねぇんだよ!

 【神力展開:神器解放・雨羽々斬(あまのはばきり)】!!」

「だが、まだまだ未熟。」


パリィン!!


 ガレノスは、ケーゴの出した剣を人差し指と中指で挟みへし折った。


「な……。」

「出直してきな。」


ドスッ!


 ガレノスの拳がケーゴの腹をえぐる。



「グハァッ!!!!!」



 その攻撃と同時にガレノスの腹のから血が吹き出す。

 ケーゴは一滴の血も流さずに、再度倒れ込んでしまう。


「やっぱり殺しとくか。今ので機嫌が良くなった。」


 ガレノスはコツコツと機嫌よく俺に近づいてくる。



 だめだ……。

 勝てるわけがない……。


 アセナさんやケーゴが一瞬でやられてしまったんだ。

 そんな化け物に敵うわけがない……。


 拳の痛みに座り込んでしまっていた俺のすぐ近くに、ガレノスは歩み寄った。


「弱い自分を恨むんだな。」



 ガレノスが拳を高く振り上げた瞬間、強烈な悪寒が走った。



「!?」



 ガレノスも何かに気づいたように、攻撃を止めた。


 な、なんだ感覚は?



ズズズズズッ



 得体のしれない悪寒の正体は突如、空間を割って現れた。


 空中に黒い空間が現れて、そこから一人の男が出てくる。

 そいつの放つオーラによってこの悪寒は発生しているんだと瞬時に理解することが出来た。


 そしてその後ろから二つ括りの女の子が遅れてやってくる。



 二人とも見たことがあるぞ。

 女の子の方は、【暴食の悪魔】を助けた空間を移動できるギャル。


 男の方は、【強欲の悪魔】との戦い中に忠告をしに来た奴だ。


 こいつらも【大罪の悪魔】なのか?



「ガレちゃん帰るよー。ありゃ、お取り込み中だった?」

「いや、そんなことない。こんな雑魚相手にするだけ時間のムダだ。」


 ガレノスは拳を降ろし、二人の方へ歩き出す。



「だめだよ。ガレノス。最後までやらないと。」



 男はニコニコと笑いながらガレノスへ話しかける。


「でも旦那。こいつは雑魚ですよ。」

「わかってるよ。僕が言ってるのは神の方だよ。」


 男は倒れこんでいるアセナさんとケーゴの方を指さす。


「神は僕たちの計画の邪魔だからね。

 あ、そうだ。せっかくだから彼女にやってもらおう。」


 このままではまずい。

 アセナさんやケーゴまで殺されてしまう。


 まだ二人はギリギリのところで持ちこたえているのに。



「恥ずかしがってないで出てきなよ。コーリン。」

「!?」



 そ、そんなことあるはずがない。

 コーリンが【大罪の悪魔】たちと一緒にいる訳が無い。



 しかし、そんな願望にも近い言葉はあっさりと否定されてしまう。



 黒い空間の中から、コーリンが現れる。



 そんな……。

 コーリンが悪魔側の内通者だったのか……?


 これは何かの間違いだ。

 だって、あんなに一緒に戦ってきたじゃないか。



 コーリンが裏切り者な訳がない!!!!




「ちぃっとばかし遅れちまったな。」

「ちょっとじゃありません。大遅刻です。皆様に怒られますよ。」

「仕方ねぇじゃねぇか!出発の日に限って、メレルさんが玄関で待ち伏せしてんだからよ。」

「メレルさんだって、こっそりツケにされてたら怒りますよ。」


 一組の男女が神殿に今しがた到着した。

 男の方は神殿を懐かしむような眼で見つめている。



ドガーーンッ!!



 神殿の方から轟音が聞こえる。



「お出迎えパーティーをしてくれてるみたいだな。行くぞ。」



 二人は神殿内部へと走っていった。


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