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終わりの始まり③


 神殿の奥へ進むにつれて爆発の音が近くなってくる。


 1度目の爆発とは違い、まるで激戦を繰り広げているかのような音。

 誰かが神殿の中で戦っているのか?


「アセナさん。これって……。」

「あぁ。おそらく悪魔の仕業だ。穢れを感じる。」


 やっぱりそうか。


 それにしてもタイミングが良すぎないか?

 さっきまで神様が大勢いたのに、出発した隙を突いて来るなんて。


 悪魔側との内通者の存在が色濃く浮き彫りになってくる。

 信じたくはないが、俺達の中にいるのか。裏切り者が。


 思考を巡らせていると、さっきまでの爆音が止んでいることに気が付いた。


「決着がついたのか?」

「急ごう。」


 廊下を進んでいくと、壁の壊れ具合が増していき

 最終的には吹きさらしのようになっている。


 そこに倒れている人影とその近くに血まみれ男が立っていた。



 そ、そんな……。



「おーい。一瞬はつまんねぇんじゃなかったのか?」



 ケーゴが倒れている。



 リークちゃんの話では、あいつが神様の中で1番強いんじゃなかったのか?

 それが負けるだなんて。


「ん?お前らこいつの仲間か?」


 血まみれの男は、俺達に気付いて近づいてくる。



 上半身をぐるぐると巻いている包帯が、血で真っ赤に染まっている。

 それに比べて、倒れているケーゴはあまりにも綺麗すぎる。


 ケーゴが倒れていなければ、どっちが優勢かなんて一目瞭然だ。


 しかし、現実は逆でケーゴが倒れている。

 どうなっているんだ?


「おぉ、姉ちゃんも強そうじゃねぇか。」


 男は血まみれの包帯で巻かれた拳を突き合わせる。



「卜部。気をつけろ。あいつは【悪魔】だ。」

「そう。俺は【憤怒の悪魔】ガレノス・ダーガインだ。」

「!?」



 いつの間にか後ろにつかれていた。

 一瞬のことで全く反応できなかった。


「クッ!!」

「遅せぇよ!」


 アセナさんは振り向きざまに獣の爪で引っ掻こうとしたが、

 ガレノスはそれを屈んで躱し、右の拳をアセナさんに浴びせる。


 拳が当たった瞬間、ボキボキと骨が砕ける音が聞こえる。


「グッ!!!」

「アセナさん!!!」


 その瞬間、男の身体から血が吹き出す。


「くぅーー!!たまんねぇ!!」


 攻撃で吹き飛んだアセナさんをガレノスは追いかけ、

 上からたたきつけて地面に落とす。


「グハッ!!!!」


 その衝撃の瞬間に再度、男の身体から血が噴き出る。



 何が起きているんだ?



 攻撃を受けているアセナさんは、

 骨が折れた音はしたものの血を出していない。


 一方、ガレノスは攻撃を与えている側なのに血が出ている。


「きたきたきたぁ!!最高だぜ!」


 アセナさんはガレノスからの2発の攻撃で、動けなくなっている。

 こいつ……強すぎる……。


「さぁ。最後はお前だ。」


 ガレノスはゆっくりと俺に近づいてくる。

 俺がここでやられてしまったら、リーリィやリークにまで危険が及ぶ。


 どうにか俺が食い止めなければ。


ドクンッ!


「!?」


 何か鋭いもので心臓を刺されたかのような刺激を感じる。

 しかし、実際には何もされていない。


 なんだ……この感覚……。


 今まで経験したことのない奇妙な感覚に襲われた瞬間、

 ガレノスの拳が目の前に現れる。


「わぁ!?」


ブンッ!


 俺は間一髪のところでガレノスの攻撃を躱すことが出来た。


「おぉ!躱すのか!すげぇ!」


ドクンッ!


 まただ。

 またこの感覚。


ブンッ!


「やるじゃねぇか!」


 何故だか知らないが、ガレノスの攻撃が来る時にこの感覚に襲われる。

 しかも、攻撃が来る方向までわかる。



 これはもしかして。


「なるほど。お前、セチュラを倒した神職者だな。」


 やっぱりそうだ。

 これは、【強欲の悪魔】のセチュラが使っていた相手の注意が見える技だ。


 それを使ってセチュラは俺達の技を呼んでいた。


 神殺しによって神様の力が奪われるなら、

 悪魔を倒せばその能力が手に入るという理屈も頷ける。


 いけるかもしれない!


「くらえぇ!!【神術解放:(ゴウ)】!!」

「だが、調子には乗らない方がよかったな。」


ガシッ


「な!?」


 ガレノスは俺の右腕を掴んで攻撃を余裕で止めた。


ドクンッ!


 まずい……。またあの感覚だ。

 しかし、腕を掴まれていて攻撃を躱すことができない……!!


「あばよ!!!」


 ガレノスは俺の顔面目掛けて拳を振るった。


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