時計仕掛けの因縁⑥
「さぁ、反撃開始よ。」
リークは俺におぶさり、少し楽しそうに笑った。
リークの神力をあんなに必死に避けたんだ。
エジリン本体のロボットにはきっとリークの神力も効くはずだ。
それなら無理やりにでも近づいて、神力をぶち込むしかない。
俺はリークをおんぶしながら足に神力を溜めて、飛び込んだ。
思った以上のスピードが出て、一瞬で間合いを詰めることができた。
いける!
「【神力展開:解体】!」
バシュッ!
「どこ向いてるの~?」
「!?」
ジェットを装備したエジリンは一瞬にして俺達の背後に回っていた。
ジェットを付けただけでこんなにも機動力が上がるのか!?
「お仕置きだよ~。」
「ぐはぁ!!!」
俺はなんとか振り返り、巨大な右手の拳を俺だけで受けきる。
しかし、その衝撃はすさまじく吹き飛ばされてしまう。
おんぶしていたリークは無傷だ。
「隙あり~。ドリル~!!」
エジリンは、がら空きになった時計台に向けてドリルを噴射した。
まずい!
「【神力障壁】!」
リーリィがドリルが時計台にぶつかる瞬間にし障壁を貼った。
しかし、受け止めきれず障壁にどんどんひびが入っていく。
「う、卜部さん……、これ以上は……もちません……。」
「うぉおおおお!!!」
俺は殴られた痛みをこらえながら、ドリルに向かってリークを運んだ。
「【神力展開:解体】!」
バリィイイン!!
障壁が壊れるのと同時になんとか、ドリルを解体することが出来た。
「はぁ……はぁ……。なんとか間に合った……。」
「頑張るねぇ~。」
「リーリィ。時計台の中から私のメンテナンス道具を取ってきて。」
「わ、わかりました!」
リーリィはリークの指示で時計台の中に入る。
何とかしても守り抜かなければ。
「卜部。リーリィが帰ってくるまで時間を稼いでくれ。」
「わかった。」
リークは俺の背中から降りて、リーリィの帰りを待つようだ。
「もっとスピードを上げろ。じゃないとエジリンに追いつけない。」
「む、無茶言うなよ……。」
「言ったはずだ。身体を動かすのは脳からの電気信号に過ぎない。」
俺は脳裏に、時計台の中の小さな小部屋での出来事を思い出していた。
体中に電気が走り、なんとか手を離さないといけないと
思考がぐるぐるとすごいスピードで回ったことに。
もしかしたらいけるかもしれない。
身体への命令が電気信号なのであれば、
その命令をもっと早く強く与えてやれば……。
「やってみるよ。【神術解放:豪雷】!」
ズドーーーン!!
身体の中心に一本の大きな落雷が落ちたような感覚に襲われる。
身体のそこからパワーが湧き上がってくる。
いけるぞ!
「うぉおおお!!!」
俺はさっきと比べものにならないスピードでエジリンに近づけている。
「おぉ~。早くなったねえ~。」
バシュンッ!
それを見てエジリンはジェットを使って、逃げていく。
しかし、もう遅れはとらない。
すかさずエジリンの背後に回る。
「【神術解放:豪】!!」
「うわぁ!?」
俺の拳が効いた!
この速さと強さならなんとかなる!
「痛いなぁ~。ドリル!!」
エジリンは時計台に向かって腕をのばす。
俺はドリルが発射する前にエジリンの腕を掴んで無理やり上を向かせる。
「させるぁあああああ!!!」
「うわぁあああ!?」
バシュッ!!
ドリルは何もない空高くへと放出されていった。
「邪魔するな~!」
エジリンは焦っているのか、俺には効かない機関銃を放った。
ダダダダダッ!
「俺に銃は効かない!」
俺に当たる瞬間に、銃弾はあらぬ方向へと飛び去ってしまう。
しかし今回はそれが悪い方向へと飛んで行ってしまった、
俺から逸れた銃弾は、
時計台の側でリーリィの帰りを待っているリークへと向かっている。
「リーク危ない!!」
ダーーーンッ!!!
銃弾がリークに命中してしまった。




