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時計仕掛けの因縁⑤

「【穢土掌握:贋作(レプリカント ・)資質(ライトスタッフ ・)ある両腕(アームズ)】」


 エジリンが術を唱えると、世界のすべての色が一瞬反転した。

 白は黒に、黒は白に。


 世界の色が元に戻った時、空が黒く染まりだす。

 

 気が付くとエジリンの近くに機械で出来た両腕が現れていた。

 どういった力で動いているかもわからないが、その2本の腕は宙に浮いている。


「この術は、僕の頭で考えたものを自動で作ってくれる機械を

 出現させるんだ~。素材は領域内にある最適なものを勝手に

 収集してくれる優れものだよ~。」


 腕はバチバチと電気を発し、右手と左手の間で何かを作り出している。


 まずい!このまま作らせてはだめだ!

 俺は、全力で近づいて拳を振りかざす。


「【神術解放:(ゴウ)】!」


バシンッ!


「邪魔しちゃだめだよ~。」


 大きな左手が俺の術をいとも簡単に受け止めた。

 こいつ!戦いもできるのか!?


 そして左腕は、俺の身体以上ある大きな握りこぶしを作って殴りかかってくる。


「うぉおお!?」

「【神力展開:宙を舞う金貨(ヘッド・オア・テイル)】!」


ブンッ!


 俺はギリギリのところで機械の攻撃を避けることが出来た。

 リーリィの術で回避の確率をあげていなかったら危ない所だった。


「ありがとうリーリィ。」

「無事でよかったです。」


 俺はリーリィたちの所まで戻って、エジリンと距離を置く。

 さすがに近距離戦は危ない。


「ねぇリーク。この手にはモデルがいるんだけど、誰だかわかる~?」

「知りたくもないわ。」

「ちぇっ。つれないな~。あ、出来たみたいだよ。ドリルとジェットだよ~!」


 両腕はドリルとジェットを作り出し、エジリンのロボットに装着させる。


「かっこいいでしょ~!」


バシュンッ!


「!?」


 ジェットを装着した瞬間、一瞬のうちに距離を詰められた。

 エジリンは左腕に装着されているドリルをすでに振りかぶっている。


「【神力展開:解体(ブレイク)】!」


ババッ!!


 リークの術を、機械の腕がエジリンを守るように大きく手を広げた。

 大きな手のひらに阻まれて、リークの術はエジリンまで到達しなかった。


 あの機械の腕にはリークの神力は通用しないようだ。

 魔力によって覆われている機械の腕は怪しげに煌めいている。


 エジリンは解体されては困ると、その場で高くジャンプした。


「ここなら届かないよね~。ドリル発射~!」


 エジリンは左手に装着されているドリルの先端を放出し、

 無数のドリルを生み出し俺達に飛ばしてくる。


「物理法則を無視するな!【神力展開:解体(ブレイク)】!」


 リークは腕をアーチ状に動かすことで、

 飛んでくる全てのドリルを一気に解体した。


「魔力があればなんだってできるんだよ~。」

「ルールや制約のないモノづくりほど、つまらないものはないよ。」


 エジリンは少し離れたところに着地し、すかさず左手を構える。


「そうかな~。魔力があればこんなこともできるんだよ~?」


ドガガガガッ!!


 左腕に装着されていたドリルは、

 直径5mはあるだろう大きさまで巨大化した。


「壊れちゃえ。」


ギュイィイイイイイン!!!


 巨大なドリルはけたたましい回転音と共にこちらに飛んでくる。

 俺達の後には時計台がある。避けるわけにはいかない。


「ど、どうすればいい!?」

「慌てるな。素材ははそこらじゅうに落ちてる。」


 俺達の足元には先程エジリンが飛ばしてきたドリルの残骸が落ちていた。


「【神力展開:創造(クリエイト)】」


 リークの腕が神々しく輝きだす。

 すると、辺りに落ちていた鉄くずが浮かび上がり一箇所に集まって形を成す。


 こ、これはドリルストッパー!?


ガキィイイイン!!!


 エジリンのドリルは、

 リークが創造したドリルストッパーによって空中で回転を止めた。


「す、すごすぎる……!」

「リーリィ。時計台の中から私のカバン持ってきて。」

「は、はい!」


 リーリィはリークちゃんの指示を受けて、時計台の中へと戻っていく。


「卜部、私をおんぶして。」

「え?うわっ!」


 リークは勢いをつけて俺に飛び乗ってくる。


「卜部は私をあいつの近くまで連れてって。

 ロボットを解体して直接話をつける。」


 何故だか知らないが、リークはさっきよりも少し嬉しそうな顔をしている。



「さぁ、反撃開始よ。」


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