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トンブ討伐大作戦②

「卜部さん!崖ですよ!どうするんですか!?」


 このまま走るのをやめてしまったら、おそらくトンブの体当たりにあって即死は間違いない。

 覚悟を決めるしかない。


「ねぇリーリィ、【落下死の神様】っていると思う?」

「え!?分からないです!」

「それじゃ、いることを信じよう!そして嫌われてることもぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


 俺達は、スピードを止めることなく崖の下へと勢いよく飛び降りた。


 高所から飛び降りる時のこの空気抵抗、つい最近味わったばかりだがやっぱり慣れない。

 リーリィは両手を合わせて、詠唱を始めた。


「【神力展開:宙を舞う金貨(ヘッド・オア・テイル)】!!!これで落下死する確率は、2分の1です!」

「50%で死ぬとかこわすぎるぅぅぅぅ!!!」


バキバキバキッ!!


 木の折れる音がする。

 走るスピードを落とさなかったからか、崖の下に生えている木までジャンプが届いたようだ。

 木が落下の衝撃を抑えてくれたのか、奇跡的に切り傷だけで済んだ。


「痛ててて……、リーリィ大丈夫?」

「はい、なんとか……。」

「生きてる……、俺達。50%を勝ち取ったんだ!!」


ドスーーン!!


「へ?」


 振り返ると、そこには先ほどまで俺達と追いかけっこをしていたトンブの姿があった。

 嘘だろ、あそこから飛び降りてきたのか!?


「リーリィさん。もう1度さっきの使えますか?」

「えへへ、明日になれば……。」

「1日1回!?」


 大きな声を出した瞬間、トンブは俺達に向かって飛びかかってきた。

 もうだめだ!と思ったとき、


「【神術展開:|介添人(セコンド・)の錠前(ハンド・ロック)】」


 その言葉と同時に、トンブは空中で停止した。

 正確にいうとトンブの時間が止まったかのように見えた。


「すまない。苦しまずに逝ってくれ。【十種刀:(かすみ)】」


 そう言うとシスターの格好をした彼女は一瞬にして持っていた刀でトンブの首をはねてしまった。

 その斬撃は目で追うことができないほど早く、鞘に刀を収める音だけが響いた。

 空中のトンブとの彼女の距離は、俺達を挟んでいるので、数メートルはある。


 斬られたトンブの首の断面は霞がかかっており、血が出ていない。

 トンブは地面に落ち、身体がみるみるうちに小さくになり子豚状態に戻っていった。

 振り返ると、すぐ近くまで彼女が近づいていた。


「あ、ありがとう。」


 彼女はゴミを見るような目で俺に一瞥し、すぐにリーリィの前でひざまずいた。


「なぜ神様がこんなところに一人でいらっしゃるのですか?」

「え?」

「いやいや、一人じゃないでしょ?俺もいるでしょ?」

「……。失礼。神様はなぜこんな ゴミ虫 と一緒にこんなところにいらっしゃるのですか?」


 こいつ、むかつくな。


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