時計仕掛けの因縁④
「発明家エジリンは死んだ!
あんたは魔力に魅入られた【怠惰の悪魔】だ!」
リークは手を振るわせながら大声で叫んだ。
このロボットに乗っているのがエジリンなのか?
街の人にあんだけ慕われていた奴が、
どうして【怠惰の悪魔】なんかになってしまったんだ?
球体のロボットの正面には黒く輝く石がはめ込まれている。
その石がより黒く輝きだす。
「そっか~。僕はもう発明家じゃないのか~。
だったらこの時計台も心置きなく壊せるね。」
「な、なに!?」
ガシャンッ!
ロボットの腕から機関銃が現れる。
その機関銃でどうするつもりだ!?
「な、なに言ってんだよ!発明したあんたが1番
よく分かってるんだろ?これを壊したら街ごと爆発するって!」
「知ってるよ~。だから街の人はみんな避難させたよ~。」
周りを見渡すと街の人が誰もいないことに今更気が付いた。
「どうして……、壊すの?」
「今の時計台の原理だと、千年に1秒くらいずれちゃうんだよ~。
それって全然完璧とは言えないよね~。」
「そ、それくらい良いじゃないですか!」
リーリィも合わせて反論する。
しかしエジリンはそれをまったく受け付けない。
「だめだよ~。クリエイターは完璧を目指すべし。
これを教えてくれたのはリークだからね~。
だ、か、らぁ~。退いてよ。」
エジリンは機関銃を構え、俺達に目掛けて乱射した。
ダダダダダダッ!!!
この距離で銃を撃たれて避けきれるスピードなんて持ち合わせていない。
まずい、やられる……!
「【神力展開:解体】」
リークが術を唱えると、
飛んできた弾丸は全て解体され俺達のところに届く前に崩れ落ちた。
「す、すごい……。」
「へぇ~、やるねぇ~。」
「……本当に壊す気なの?」
リークは下を向いて、拳を握りしめている。
「もちろん。もっといい原理を思いついたんだ~。
これならなん億年たっても1秒もズレやしないよ~。」
「どうせ魔力を使うんでしょ?」
「せいか~い。」
エジリンは再度、機関銃を構える。
しかし今度は俺達にではなく、時計台に向かってだ。
「させるかぁ!」
俺はエジリンに向かって走り出し、全力でロボットを殴る。
「【神術解放:豪】!!」
ガキーーーンッ!!!
「硬ってぇ!!」
エジリンのロボットは俺の拳ではビクともしない。
「邪魔しないでよ~。」
エジリンは機関銃を俺に向けて、放射する。
殴った後なので近距離になっており、さすがのリークの術も間に合わない。
「卜部さん!」
ダダダダダッ!!!!
「……?」
おかしい。
あんな近距離で銃を撃たれて、痛くない訳がない。
でもちっとも痛くないし、身体を弾丸が貫通した感触もない。
「なんで当たらないの~?もう一回~!!」
ダダダダダッ!!!
もしかして……、これは!
【銃の神様に嫌われている】!!!
俺に目掛けて飛んでくる弾丸は、当たる瞬間に軌道を変えて
あらぬ方向へと飛んでいく。
これならいけるぞ!!
「なんでだよ~。」
俺はその場で立ち止まり、力を貯める。
最大出力の一発なら【怠惰の悪魔】でもダメージくらいは与えられるだろう。
「いくぞ!!【神術解放:豪氷】!!」
ガチーーーーンッ!!!
俺の拳がエジリンの乗るロボットに接触した瞬間に、
氷がロボットを覆う。
そして全体が氷漬けになった瞬間、ロボットの動きが止まった。
やったのか……?
「卜部さん!すごいです!」
「いや、まだだ。」
氷の中のロボットの色が徐々に赤く染まっていく。
ま、まさか……!
バリーーンッ!!
「ふぅ~。熱いからあんまりやりたくなかったんだけどね~。」
「熱暴走による体表面温度上昇を意図的に操作したのか。」
「その通り~。さすがリークだね~。」
俺の新しい技もあっさりと破られてしまった。
機械に打撃は通用しない。
炎で溶かすことも難しそうだ。
どうしたらいいんだ……。
「やっぱりさ~。一緒に時計台作り直そうよ。
リークとならもっと凄いものが作れると思うんだよ~。」
「……断る。」
「なんでだよぉ~。」
「この時計台が刻んできた人々の歴史、思い出を守るためだ。」
「そんなのないよ~。ただの時計台だよ?」
「ただの……時計台……?」
リークにとってこの時計台は何物にも変えられない
エジリンとの大切な思い出なんだ。
それをただの時計台だなんて言われて我慢できるはずがない。
「まぁ手伝ってくれないなら、この子に手伝ってもらうよ~。
後で混ぜてって言っても入れてあげないから。
【穢土掌握:贋作 ・ 資質ある両腕】」




