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真の正義④

「私はスイ・パンデリア。【力の神に嫌われている】。

 それでこいつがローレン。【感化の神に嫌われている】。」


 【感化の神に嫌われている】のであれば、

  話をして相手を洗脳することは出来ないんじゃないのか?


  スイはメンバーの説明を続けてくれる。


「見張りをしてたこの子がユララ。【地味の神様に嫌われている】。

 あなたたちを連れてきたのがボンド。【鍵の神様に嫌われている】。」


  ドジっ子のユララちゃんは恥ずかしそうにしている。

  ボンドはいつもニコニコしていてちょっと怖い。


「すみません。まだ術を解いていませんでしたね。」


 ボンドはそういうとマントを羽織った。

 そうするとコーリンの刀から音がなり、抜けるようになった。


「それでこいつが魚。」

「ギョギョだギョギョ!!」


 なるほど、やっぱりこいつはいじられキャラか。



「私達は魔術師に対抗するために、ある手段を開発したの

 それが【嫌悪解放】よ。自分たちの【嫌悪】をコントロールして戦うの。

 ヨーデルにいたバーンなんかがそうね。」



 【嫌悪】をコントロールする?

 そんなことが出来るんだろうか?



「それでローレンは、自分の話では相手を【感化】させられないから

 【嫌悪】を逆転させて相手を【洗脳】してるの。

 ちなみに私は、【力の神に嫌われている】から力加減が

 馬鹿になってるんだけど。」



 そういうとスイはマントを脱ぎ、

 床に落ちていた酒瓶を掴んで握りつぶした。

 

パリィン!


「【嫌悪】を調整してるってわけ。【嫌悪解放】のコツはこの2つ。」

「教えてくれるのか?」


「で、ここからが本題。もし仲間になるんだったら

 【嫌悪解放】と【嫌悪】の影響を受けないマントを上げる。」



 交換条件という奴か。

 さっきよりもよっぽど理性的な話し合いだ。


 しかし、俺達には神職者として果たさねばならない使命がある。


「ごめん。俺達は辞めとくよ。」

「言うと思った。コーリンさんも一緒だよね?」

「あぁ。すまない。」

「いいんだよ。こっちこそ馬鹿なマネしてごめんね。」



 【嫌悪解放】という技が取得できないのは悔しいが、

 こいつらが神側の敵ではないことは分かった。

 それだけでも十分な収穫だ。


 それに既に取得しているバーンだって神殿にいるんだ。

 帰ったらやり方を教えてもらおう。


 こうして俺達は扉の方へと向かい小屋から出ようとした時、

 辺り一面が一瞬で暗くなった。



「な、なんだ?まだ昼間だぞ!?」

「ユララ!電気付けて!」

「う、うん!わっ!!」


ドンガラガッシャーン


「なんでユララ、マント外してるのよ!」

「だ、だってー……。」

「私が電気をつけよう。」



 ローレンが電気を付けてくれて、部屋は明るくなった。

 しかし窓の外は暗いままだ。ついでにユララはこけてパンツが見えている。



「おんやー。熊さんパンツかぁ。これは珍しい。」

「!?」


 ローレンの後ろには、黒い服を身にまとった魔術師が立っていた。



「ローレン避けろ!【嫌悪解放:万力(ヴァイス)】!」

「うぉおお!?スイさん私に当てないでくれよ!?」


ドガーンッ!


 スイの拳で小屋は半壊状態となり、外に出られるようになった。

 それにしてもすごい威力だ。



「おー、怖い怖い。でも外は私の独壇場だよぉ。

 【魔術:一寸先は闇(ノー・フューチャー)】。」



 敵の術によって、自分の手さえも見えないほどの暗闇が広がる。


「みんな声を出して!居場所を知らせて!」

「私はここだ!」

「こ、ここだよー!」

「ギョギョ!!!」


 お互い声を出して、位置を確認しようとするが

 正確な位置までは把握できない。


 これではスイの力で暴れまわるのは危ない。

 味方に当たってしまったら大怪我ではすまない。



カチンッカチンッ



 刃物が揺れてお互いにぶつかる音が聞こえる。

 なんの音だ?


「これは私のシザーハンドの音だよぉ。

 私は闇の暗殺者 ヌル。まぁ名前は覚えなくていいよぉ。

 ここでみんな死んじゃうんだから!」


ガキンッ!!


「へぇ~。見えるんだ君。」

「あぁ、暗がりは慣れているのでな。」


 何が起きているのか分からないが、声から推測すると

 ヌルの攻撃をコーリンが受け止めたようだ。



「【十種刀:光明の礎】!」


 コーリンはヌルの攻撃を上に向かって大きく払いのけた。

 その斬撃は光り輝き、俺達を照らしてくれる。



「ちぃっ!!私の闇がぁ!」

「見えたらこっちのものよ!【嫌悪開放:万力(ヴァイス)】!」



ドガーンッ!!



 スイは全力で駆け寄り、ヌルに向かって拳をぶつけた。


「な、なに!?」


 スイの攻撃は黒の魔術師ヌルには届かず、壁のようなものに阻まれていた。

 ヌルの後ろから白の魔術師が現れる。


「油断するなとあれほど言っただろ?ヌル。」

「ごめんよ兄ちゃん……。」


 魔術師は二人いたのか。

 それにヌルの口ぶりだと二人は兄弟のようだ。


 しかし顔はまったく似ていない。

 ヌルはお世辞にも整った顔とは言えないが、

 白の魔術師は誰が見ても美形といった顔立ちだ。



「あんまり弟をいじめてくれるな。【魔術:一閃】。」



 白の魔術師は、手からレーザーのような鋭い光を

 スイに向かって放った。


「グッ!!」


 その光がスイの右肩を貫通してしまう。

 光が細く鋭かったため、致命傷にはなっていない。


「スイ!」


 そこにボンドが駆け寄り、スイの貫通した穴を両手で抑えた。


「【嫌悪解放:施錠(ロック)】。」

「ありがとう、ボンド。」


 スイの貫通した穴から血の流れが止まった。

  おそらく穴に鍵を掛けて血が流れ出すのを止めているのだろう。


「やはり周りが明るいと、真っ直ぐ飛んでくれないな。

 おい、ヌル。もう一度闇を放て。」

「わ、わかったよ。兄ちゃん。【魔術:一寸先は闇(ノー・フューチャー)】。」


「ヌルはいい子だな。たくさん褒めてやるよ。

 こいつらを屠った後でな!」


 ヌルの魔術で辺りはまた真っ暗になってしまった。

 こんな状態で攻撃されたらひとたまりもない。


 ひとまず光が必要だ。俺の炎で辺りを灯す!


「【神術解放:豪火(ゴウカ)】!」

「居場所を教えてくれているのかい?【魔術:一閃】。」


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