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王都防衛⑬

「で、なんで私も一緒なんだよ!?」

「いや、チケット2枚貰っちゃったからさ。」


 俺はリークちゃんと一緒に、近くのコンサートホールに来ていた。

 今日はここで 神様フェスティバル というイベントが開催されるらしい。


 それにしても最前列のど真ん中という最高の席を用意してくれた。


 どんどん客が入ってくる。

 人気のイベントなのか?


「はぁー……。やっぱり慣れないな。」

「え、どういうこと?」

「穢れだよ。」


 そう言うと、リークちゃんは親指で見ずに他の客を指さした。


「ぶひぃーー!!今日は最前列ですので

 エリたそのおパンツを拝めますな!」

「うぬ!脳内記憶領域展開!ですな~。」


「あー……。そういうことね。」


 すると、急に照明が落ち、音楽が流れ出す。

 それに合わせて観客は歓声を上げる。


「お集まりの皆様!お待たせしました!!

 神様フェスティバルスタートです!!」


わぁああああああ!!!!


「まずは、突如現れた期待の大型新人!

 幸運があなたに訪れますように。ラッキーガール!!

リーリィちゃんでーーーす!!!」


わぁあああああああ!!!!!


 観客の熱い声援で、会場が揺れる。

 魔獣の雄叫びよりすごいんじゃないか?


 司会の紹介が終わると、音楽が流れそれに合わせて

 観客達はコールを打つ。


「みんなー。神様フェスティバル盛り上げていくよぉー!」


 袖からリーリィが登場する。

 アイドルの衣装を身にまとい、正直少しドキッとしてしまった。


 リーリィは観客を煽りながらステージの中央まで歩いてくる。


 そして、中央にたどり着いた瞬間。

 確実に目があった。


「!?」


 リーリィは赤面し下を向いてしまったが

 すぐに首を振って、歌いだした。



「へー。強くなったんじゃない?心。」



 リークちゃんは感心しながらリーリィの歌を聞いている。


 リーリィの歌声を初めて聞いたが、悪くない。

 いや、めちゃくちゃかわいい。


 ダンスも練習したんだろう。


 ちゃんとアイドルをしている。


 そんなキラキラとしたリーリィに何故だが目が離せなかった。


「ほら、いくよ。」


 リーリィの出番を終わったらリークちゃんはすぐに

 俺を会場の外へ引っ張り出した。


「はぁー……。久々の穢れはやっぱきついわ。

 それじゃ行くよ。」

「え、どこに?」

「楽屋に決まってるだろ。」



「卜部さんなんでいるんですか!?」


 楽屋に入るなり、リーリィは泣きそうになりながら

 俺を問いただした。


「いやー、リーリィちゃんの頑張りを卜部くんに見てほしくって。」

「アイナさんだったんですかー!」


 リーリィはアイナさんをポカポカと叩いている。

 仲良くやっているようで少し安心した。


 それにしても、2,3日であそこまでの完成度を出せるなんて

 相当練習したんだろう。


「いやー、昨日はハードだったね。

 1日100ステージくらい立ったもんね?」

「はい……、正直昨日は本当に死ぬかと思いました。」


 なるほど、確かに心に来るなそれは。



 アイナさんの修行は、アイドルとして活動し人気を集めること。


 曲の練習をすることで基礎体力の向上を目指し、

 ステージに立ち、ファンを作ることで愛情や信仰を集めることができる。


 また、何故かは分からないが現場に立てば立つだけ穢れへの耐性もつく。


 神様の修行として非常に効率がいいらしい。


 聞いた話だと、リップも同じ修行をやったらしい。

 リップ一人では心配ということからコーリンとのデュオで。


 今度あったら聞いてみよう。



 そんなことを考えていると、後ろからリークちゃんに小突かれた。


「ほら、感想言ってやんなよ。」

「え。」


 リーリィもその声が聞こえたようで、こっちを向いて

 そわそわしている。


 そうだよな。

 リーリィも強くなるために頑張ったんだもんな。


 正直に言ってあげないと。



「ん、その……、すごい、かわいかったよ……。」

「え……!?あ、ありがとうございます……。」



 二人は照れながら下を向いてしまった。

 それを見てアイナさんとリークちゃんはニヤニヤしている。


 なんだよこの空間は!?


「ア、ア、アイナさん!それで修行はこれで終わりなんでしょうか?」

「んー。そうだね、これで修行は完了だよ。かわいいリーリィちゃん。」

「もう!!」


コンコンッ


「失礼しまーす。お弁当でーす。」

「あ、はーい。」


 楽屋にスタッフさんがお弁当を届けに来てくれた。


 しかし、スタッフさんがこけてしまい

 お弁当が俺の顔面にめがけて飛んでくる!


「うわぁ!?」

「あぶない!」


 瞬時にリーリィは俺の前に移動し

 神力で障壁を作り、お弁当はその障壁に辺り防がれた。


「す、すごい。すごいよ!リーリィ!」

「えへへ、なんか身体が勝手に動いちゃいました。」


 すごい。

 本当にアイドル活動が修行になっていたんだ。

 本当に強くなったんだ。


 アイナさんは俺の気持ちがわかったのかドヤ顔をしている。

 すると、急にアイナさんとリークちゃんが片耳を押さえだした。


「リーリィちゃん。修行の成果を発揮する時が来たよ。」

「え?なんですか?」

「指令だよ。半妖の街 ヨーデル で不審な反応ありだってさ。

 卜部も良いとこ見せて来い。」


 恐らく神様だけに聞こえる通信手段で、

 連絡があったんだろう。


 リーリィも強くなっている。

 着実に神様に近づいているんだ。


 俺ももっと強くなって、リーリィを護れるようにならなければ!


次回【半妖の街 ヨーデル 編】 スタート


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