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抜け殻のベルク⑥

 俺がいまできる最大の攻撃を

 虫を払うかのように払いのけられた。


 そして、その衝撃で俺の右腕は無残にも切断され

 俺の目の前に転げ落ちている。



「お前は最後だ。女の魂の方が美味いからな。」



 じわじわと黒い感情が俺の中を満たされていく。


 これは、腕の切断による痛みなのか?

 それとも死への恐怖?


 いやちがう。



 自分の無力さへの後悔と悔しさだ。


 昨日のナタやセンドーシュとの戦いで

 修行の成果が出せて、自分は強くなったと過信していた。

 うぬぼれていた。



 化け物は、ゆっくりとリーリィに向かっていく。


 道の端には、ぐったりと倒れて動かないクロエがいる。


 まだ何か、俺にできることはないのか?


 思考を巡らせるが、ズキズキと痛む右腕の切断面が

 もう諦めろ、お前には無理だ。

 と諭してくる。


 立ち上がるんだ。

 まだ、諦めちゃいけない。


「あ?」


 俺は化け物の足に噛み付いた。


「行かせるもんか!リーリィは俺が守るんだ!」

「うっとおしい!!」

「ぐはっ!!」


 意図も簡単に振り解かれてしまった。


 そして化け物は俺の頭を掴み、

 片手で軽々と俺を持ち上げた。


「お前には、守れない。お前が雑魚だからな。」


 化け物はニヤニヤと笑いながら

 リーリィの元へと俺を投げ飛ばした。


「隣で見てろ。この女の魂が喰われるところをな!」


 俺はすぐに起き上がり、

 リーリィを背中にして守る姿勢を取る。


「チッ、うっとおしい!

 ならお前から喰ってやるよ!!!」


 化け物の腕が黒くオーラを纏う。

 見覚えがある。

 これは、マキシがまだ人間だった姿の時に使用していた

 魂を掴む技だ。



 俺は覚悟を決める。


 ごめんよ。リーリィ。

 守れなくて。


 俺は強く瞼を閉じた。



「ぐぁぁぁぁぁあああああ!!!!」

「!?」


 その時、目の前の化け物の叫び声が聞こえた。


 咄嗟に瞼を開けると、

 そこには桃色に輝く一閃が

 化け物の右手を切断している光景が見えた。


「な、なんだ!?」


 気が付くと、俺の目の前に一人の女性が立っていた。


「大罪の悪魔によく持ちこたえました。100点満点です。」


 その女性は、振り返り微笑んで俺の頭を優しく撫でた。

 目の奥にハートの光が見え、桃色の服を着ている。


 この人は誰だ?


 どうして助けてくれるんだ?


「さぁ、暴食の悪魔さん。覚悟はできていますね!!」


 その女性は、そう言ったあと前には見えないように小さくガッツポーズをし、


「よしっ!かっこよく決まった。」


 と小声でつぶやいた。

 背後にいるので、全部筒抜けだ。


 この人大丈夫なのか?


「お、お前は誰だぁ!?」


 右腕を切断された化け物は、うろたえている。



「え、私!?わ、私はアイナ!【愛の神様】をやってる!」



 突然名前を聞かれたアイナもうろたえていた。


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