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抜け殻のベルク④


「【穢土掌握:魂ノ収穫祭(サンクス・キリング)】。ようこそ。私の世界へ。」


 マキシの放った術によって、世界が一変して闇に包まれた。

 クロエが術名に反応していたが、何か知っているのだろうか?


「クロエ、この術はなんだ?知ってるのか?」

「うっ……。」

「リーリィ!?」


 リーリィが急に苦しみだした。

 よく見ると、クロエも少し苦しそうだ。


「詳しくは知らんけど……、神様にはこの空間は毒なんや……。」

「毒!?苦しいのか?」

「まぁ……ちょっとだけやで。」


 ちょっとなんてのは嘘だ。

 その中でもリーリィは、クロエやコンよりも

 深くダメージを追っているように見えた。


「うちは半妖やからまだマシや……。一緒に戦える。」

「無理をするな。俺がなんとかする。」


 みんなよりも一歩前へ出て、自分を鼓舞する。


 それにしてもなんだ、この胸騒ぎは。

 ずっと心臓の辺りがキリキリと痛む。


「魂は1つに固まり身体に一箇所に停滞しているものではなく、

 体中に流れる血液のように流体なのです。

 恐怖したり、驚いたりした時、心臓の辺りが

 ヒュッとすることありませんか?

 あれは、魂が危機を感じて一点に集中する現象です。」


 マキシは、意気揚々と説明をしだした。


「私の【穢土掌握:魂ノ収穫祭(サンクス・キリング)】は

 それを常時化される技です。

 その方が、食べやすいでしょう?」


 舌なめずりをして俺達の品定めしているのか?


「あかん……。卜部ひとりじゃ勝てへん。うちも手伝う……。」


 ダメージを受けながらもクロエは立ち向かう。

 恥ずかしい話、非常に有り難い。


 マキシから溢れ出る殺気やオーラに

 正直どうやって戦えばいいか迷っていた。


「それに……、あいつには聞きたいこともあるんや。」

「聞きたいこと?」


「おしゃべりは終わりです。

 美食家として、美味しそうな魂を前にして

 お預けされるほど屈辱はありません。それでは。

 い た だ き ま す。」


「コン!」

「ぐわぁ!?」


 コンがいきなり俺の横腹に体当たりしてきた。

 こんなときになにしてんだよ!

 

 と次の瞬間、目の前にマキシの姿があり

 右手の攻撃を飛ばされた衝撃で避けることができた。


「た、助かった。」


 マキシの移動がまったく見えなかった。

 それほどの速さなのか。

 これまで戦ってきた奴の誰よりも速い。

 師匠以上だ。


「【神力展開:縁切り】!」


 クロエに触られたマキシは、弾かれるように

 元の居た場所に飛ばれた。


「ほう。こんなこともできるんですか。」

「こんな汚い空気の中じゃなかったら

 あの世まで飛ばしてたで。」


 クロエは、さっきよりも毒の状態が

 少しマシになったように見える。


 リーリィは先程と変わらず苦しそうだ。

 半妖と人間ではそこまで違いがあるのか?


「卜部!手伝ってや!

 うちがもう1回【縁切り】するから

 戻ったところを叩いて!」

「わ、わかった!」


 この状態でまともに一撃を与えられるのは俺だけだ。

 俺がなんとかしっかりしないといけない。


「コン!円月輪!」

「はい!」


 コンは輪形に成形された巨大な刀に変身し、

 クロエの周りを回りだし

 フラフープのような状態となった。


「見たところ、お手々で魂を食べるやろ?

 行儀悪いで?」


 なるほど、これでマキシを近づけさせない作戦か。

 クロエは戦い慣れている。


「なんで蟹は美味しいか知ってますか?」

「は?何言ってんねん。」

「それはですね。食べづらいからなんですよ。」


 一気にマキシが近づいてくる。

 だめだ。まったく見えない。


 俺が視認できたとき、

 既にマキシはクロエの円月輪を指で止めていた。


「なっ!?」

「蟹の殻をパキッとするところも美味しいポイントです。」


バリィン!!


 指だけでクロエの円月輪は軽く粉砕されてしまった。

 コンは、変化が解けて弾き飛ばれた。


 この距離はまずい!クロエがやられる!


「それでは。【魔術:魂喰い(ソウル・イーター)】。」


 マキシの腕が黒くオーラを纏いだし、クロエの胸を貫通した。


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