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修道院⑧

 リーリィと契約を交わしてからクロムの姿や声を感じることはなくなった。

 安心してくれたのだろうか?


「よーし。今日が修行最終日だ。」

「え?まだ何かあるんですか?」

「馬鹿野郎。お前はまだ神職者になったばっかで、神力の使い方もロクにわかってねぇだろ。」


 それから、師匠に神力を使った肉体強化や、瞬発的な運動能力強化などを教わった。

 これまでの修行が嘘のように簡単にできて実践することができた。


「よし。これ以上俺が教えることは何もない。卒業だ。」

「ありがとうございます!そうだ。いくつか聞いてもいいですか?」

「おう。なんでも聞いてくれ。」


 俺は、昨日の戦いで師匠が話していたことが気になり尋ねることにした。

 これからの俺達の旅では知っていなければいけない気がした。


「魔術師ってなんなんですか?それに神職者になれなかったって?」

「あー。そのことか。」


 師匠は、神職者と魔術師の関係について話してくれた。



 神職者は、

 神に仕える護衛役であり神様から 神力 を受け取りそれを駆使して神術で戦う。

 神職者はこの世界では上位の職業であり、世間体的ステータスでも非常に評価が高い。


 一方

 魔術師は、

 魔力 を使って魔術で戦う。

 一般的には、神職者を目指して半ば挫折したもの達がなる職業らしい。

 回路の入り口までは開けることができた人が大半で、【嫌悪臭】は認識できる。


 しかし回路が開通していないので、神からの神力を受け取れない。

 なので【嫌われ者(ヘイター)】を狙い、神様からの恩恵を狙っているハイエナのような連中らしい。


 おそらくリーリィと神殿を目指すにあたって、1番の壁となるのはその魔術師だろう。

 俺の【嫌悪臭】を辿って集まってきやがるし、もしリーリィがやられてしまったら能力ごと奪われてしまう。


「まぁ、そう固くなるな。敵が来たら倒す。それでいい。」

「ははは……、それができるのは師匠だけですよ。」

「そんなことねぇよ。俺の【神術解放:(ゴウ)/(ゴウ)】を教えたじゃねぇか。」

「いや、違いが分かりませんでしたよ。」

「なんでだよ!【剛】はめっちゃ強く殴って、【豪】はめちゃくちゃ強く殴るんだよ!」

「一緒ですって!」


 二人で笑いながら、修行の最終日が終わりを告げた。



「お二人ともよく頑張りましたね。」

「卜部さんはともかく、私はただ子供たちと遊んでいただけですので……。」

「そんなことありませんよ。実はこれも神力を高める修行だったのです。」


 ハンナさんは、リーリィに神力の修行について話してくれた。

 簡単に言えば、信仰や愛情を受けることが神力の強化に繋がるということだ。


 現に、子供たちはリーリィと今日でお別れだということを知ると、泣きながら行かないでとすがっていた。


「そうだ。お前たちこれから神殿まで旅をするんだったら、武器がいるだろ。」

「そうですね。」

「この先にリアパークって小さな村がある。そこで俺の知り合いのカガリって奴が小汚い武器屋をやってんだ。そこに行くといい。」


 小汚い武器屋で大丈夫なのか?

 でも口利きしてくれるのは非常にありがたい。


 だってこっちは、豚の丸焼きにすらお金を払えないような状態なので。


「本当にありがとうございました!!!!」

「おう!!達者でな!!!」

「お元気で。」


 こうして俺達は、神殿への第一歩を踏み出したんだ。



「卜部さん。ここが、リアパークですか?」

「そうみたいだね。看板に書いてあるし。」

「たしかディードさんは、小さな村って言ってませんでした?」

「言ってたねぇ。それに小汚いって。」

「でも、これはもう王都レベルの栄えようですよ!?」



次回 【 金の成る街 編】 スタート


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