修道院④
「はい、皆さん。今日は新しい先生を紹介したいと思います。リーリィ先生です。」
「みなさんおはようございます。リーリィです。よろしくお願いします。」
「お願いしまーす。」
ハンナさんの紹介で、修道院の子供たちにご挨拶をしています。
ここでは、先生という立場で子供たちに勉強を教えたり、一緒に遊んだりすることがお仕事のようです。
「それじゃあみんなお昼まで遊んでおいでー。」
「わー!リーリィ先生一緒にあそぼ!」
「いいですよー。」
男の子が私の手を引っ張って外へと連れ出してくれる。
「子供たちをよろしくお願いしますね。」
「はい!わかりましたーー!」
5歳くらいの男の子って意外と力が強いんですね。
あっという間に外に到着し、鬼ごっこをすることになった。
卜部さんは、今日が2日目だけど大丈夫でしょうか?
卜部さんならきっとやれます。
私信じていますので。
「よし。遅刻せずに来たようだな。」
温泉で言われた通りに、朝8時に教室に集合した。
昨日と教室の雰囲気が少し変わっていた。
机と椅子は両側にまとめて置かれており、真ん中がやけに空いている。
「今日から最終日まで、同じことを繰り返す。気を抜くと死ぬから覚悟しとけ。」
「押忍!師匠!」
「説明より先に見てもらった方が早いだろうから移動するぞ。そこどけ。」
「あ、はい。」
そう言うとディートは床におもいっきり指を突き刺し、持ち上げた。
すると、ギギギと床がめくれ上がり、そこに下へと続く階段が現れた。
地下室!?
「よしいくぞ。」
ディードは迷わず階段を降りていった。
地下で何が始まるんだ?
緊張と不安が入り混じりながらも俺は、地下へと足を進めた。
そこにあったのは、、、
「闘技場!?」
階段を降りた先には、コロッセオのような闘技場が広がっていた。
おあつらえ向きに観客席まである始末。
修道院の地下になんでこんなもんがあるんだよ!
「なんで修道院の地下にこんなもんがあるかって?そんなもん俺も知らん。気付いたらあった。」
そんなパッと出てきたみたいな言い方あるか。
「今日から最終日まで、お前はここで俺と戦ってもらう。」
「戦う!?ディードさんと!?」
「あぁ、戦うって言っても殺し合いとかじゃねぇ。まぁ勢いあまってやっちまうことはあるかもしれねぇが。」
人聞きの悪いことを言わないで下さい。
やっちまったらそれはもう立派な犯罪ですから!
「俺は、今から拳でお前に神力を流しまくる。それに根性で耐えるのが修行だ。」
その後、根性論やら精神論で無茶苦茶な説明があったから要約する。
神力を受け入れる回路の入り口は、昨日開通した。
しかし、まだ身体の中に回路が出来ていないらしい。
地道に修行するのであれば、入り口からゆっくりと回路を掘り進めていく。
だが、特急修行では身体全体に一気に神力を投入し、その神力を入り口に逃がすことで無理やり回路を作るそうだ。
「そんで、特急修行では戦闘レベルも同時にあげる為に俺と戦うって寸法だ!完璧だろ!」
だ、そうです。
これを今日から最終日まで6日間続けて実施する。
俺は生きて帰れるんだろうか?
「よーし。それじゃあ始めようか。」
「お、押忍!!」
「よーい。スタートだ!」
「!?」
スタートと言い切った後、一瞬で間合いを詰められた。
巨体でなんでそんなスピード早いんだよ!?
「記念すべき1発目だ!噛みしめろ!!」
俺はなんとか両手でガードを固めることができた。
これならなんとか――!?
考えが甘かった。
ディードさんの拳が腕に触れた瞬間に、俺の身体はコロッセオの壁に打ち付けられていた。
「ガハッッ!!」
そして遅れて痛みがやってくる。
両腕の骨は折れ、口からは血を吐き出している。
嘘だろ……、一発でこれかよ……。
「ははは。少しやりすぎたk……。」
どんどん視界が狭くなっていく……。瞼が重い……。
ディードさんが何かを話しているが、耳も遠くなっていく……。
俺……、死ぬのか……。
「はっ!!!俺生きてる!?」
「おー、お目覚めか。」
俺は、ベットの上で目を覚ました。
ベットの側には、ディードさんといつぞやの巨乳シスターが立っていた。
「ディードさん。やりすぎですよ。」
「ははは。まぁ初日はこんなもんさ。」
さっき感じた痛みが身体のどこにもない。
両腕も折れていない。
どうなっているんだ?
「あれ、俺死んだんじゃ?」
「ははは。死ぬわけねーだろ。いや、ちょっと危なかったか?な、ハンナ。」
「もう……。気分はどうですか?卜部さん。」
「はい。大丈夫です。」
「2日目はここまでだ。明日も同じことするから今日の反省を活かせるようにな。」
「お、押忍。」
こうして2日目の修行が終了した。
今日の反省を活かすって言ったって、どう活かせばいいんだよ!!




