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最終決戦⑪


「それじゃあ、最終ラウンドと行こうかぁ。」


 ノーネームは漆黒の白衣を纏い、そう言い放った。

 白衣を着ただけで奴のオーラは何倍にも膨れ上がるのを感じた。


 視野に入れているだけで、目がヒリヒリする。

 それほどのやばいオーラを感じる。



 ゆっくりとノーネームは腕を前に出す。


 掌がこちらに向いた瞬間に、

 地上に居れば避けようのない大きな矢印が俺に突き刺さる。


 これは【強欲の魔術】を倒したことによって手に入れた力で

 相手の攻撃の向きと威力が矢印で見える。



 発動条件はランダムでまだマスターできていない。

 しかし、今発動していなかったら確実に死んでいた。



「【魔術:上級・切(シェーレヴィント)創風(・オーベン)】。」

「リーリィ、掴まって!飛ぶよ!」



ドガーーーーーンッ!!!!



 俺達はなんとか大きくジャンプすることで、攻撃を回避することができた。

 下を見ると、奴の攻撃が通ったであろう場所が地面ごとズタズタになっている。



「避けると思ったよ。いや、避けてくれないと面白くないね。」

「!?」


 ノーネームは一瞬にして空中の俺達に近づいてきた。


 俺はそれを迎撃するため、神力を込めて拳を握る。

 その拳は金色に輝きだす。



 いけるぞ!



「私は大丈夫です!」



バッ



 リーリィが俺から離れる。

 うまく着地してくれよ。



「神力を食らいにきたのか?」

「どーだろね。」



 ノーネームも俺に掌底を食らわそうと右手を構える。



「【神術解放:(ゴウ)】!!!」

「【魔術:臓止縛打(アレスト)】。」



バサッ



 ノーネームは白衣を引っ張り、俺の拳を受け止める。


「な、なに!?」


 そしてすかさず俺の胸に向かって掌底を食らわせる。



「ガハッ!!」

「これで終わりじゃないよ?」



 俺は地面に着地してすぐに体勢を立て直し、再度拳を握りこむ。



……ドクンッ



 な、なんだ……?

 心臓が一瞬止まった?



 それに、神力が金色に輝かない!?



「一発で止まらないのは流石だね。でも2回ならどうかな?

 【魔術:臓止縛打(アレスト)】。」

「ク、クソッ!」



 俺は腕で掌底を受け止めたが、衝撃は腕を伝って心臓へと達する。



「ガハッ……!!」



「回路は、心臓とも深く関わっているからね。

 そこを攻めれば神力もコントロールできなくなっちゃう。」

「く、くそ……。」



 だめだ……。

 心臓の鼓動が徐々に弱くなっていくのを感じる。


 このままじゃ本当に止まってしまう。


 あいつの放った掌底によって心臓が縛り付けられているような感覚。



 そうか、魔力によって心臓が縛り付けられているなら……。



「リーリィ!短剣を出してくれ。」

「は、はい。」

「おや、そんなことして大丈夫かい?」



 リーリィが自分の神力で短剣を作り出し、それを俺に渡してくれた。



 ノーネームは俺がこれからする行為に察しがついたようで、わくわくと見守る姿勢を取る。



 大丈夫だ。

 魔力で縛られているなら、神力で浄化するだけだ!!



「うぉおおおおお!!!」



グサッ!!!



「卜部さん!?」



 俺は全力で短剣を心臓に向かって突き刺した。



 身をえぐる痛みに耐え、なんとか切先が心臓に達する。

 その瞬間、想像を絶する痛みを感じる。



「ぐぁあああああああああ!!!!」

「あはは!!おもしろいよ君!」

「卜部さんやめてください!死んでしまいます!」


 肉体強化術を三重に掛けているが、この痛みに何度も気を失いそうになる。


 しかし、俺の腕を掴んでくれているリーリィの手の温もりから意識をなんとか保てている。



 すると、俺の身体から白い煙が湧き上がる。



「こ、これは……?」

「神力が魔力を浄化しているんだろうねぇ。

 でも完全に浄化するまで彼は耐えられるかなぁ?」



 ノーネームは俺の顔を覗き込み、にやにやと笑っている。



「も、もう少しだ……!!」



 俺はラストスパートを掛けるため、さらに剣を強く押し込む。

 すると、白い煙が徐々に金に色を変えていく。



「当たり前だ……。」


 激しい糸の収縮に耐えながら、ディードは口を開いた。



「こいつは【回路の神に嫌われて】、なかなか回路が開通しなかった。

 それでもこいつは諦めずに俺から神力を受け続けたんだ。」

「なにが言いたいんだ?」



 ノーネームは先の読めない話に少しイラつく。



「人間には許容範囲ってもんがあんだよ。

 回路開通の才能が無い奴は神力の許容範囲が狭い。だから回路が作れない。

 だが、こいつは才能があるのに【回路の神】によって開通が遅れたんだ。」


「だからなんだっていうんだよ!」


「こいつの許容範囲は馬鹿でけぇってことだ。

 身体中魔力回路になってやがる。だが、それでも開通しなかった。

 なら、その余った神力はどこに保管されていたと思う?」


「ま、まさか……?」



 ノーネームは俺の方へ向き直る。



「その通り、心臓の中だ。」



ピカーーーーンッ!!!



 白い煙はもはや金色の光となっていた。

 その眩しさにみんな直視できないでいる。



「ははっ……、もう神様みたいじゃねーか。」



 俺の身体から金色のオーラがあふれ出ている。



「ふざけるなぁ!!【魔術:縫合Ⅲ(ナート・スリー)】!!」



 ノーネームが術を唱えると、巨大なメスが現れる。

 それを全力で振るい、俺を切り刻もうとする。



ガシッ!



 しかし、俺はそれを腕で簡単に受け止める。




「終わりだよ。ノーネーム。」

「くそがぁあああ!!」



「【神術解放:(ゴウ)・極】!!!」



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